4 / 63
本編
四月に花が咲く(2)
しおりを挟む
「小鳥遊先生」
「あ、はい!」
呼ばれた自分の名前に返事をしながら走る。そうだ、今は修学旅行の下見中だった。これが俺が教師としてやる初めての仕事だ。
例年、集合場所として使わせて貰ってる場所。トイレの位置、迷子になった生徒がでた場合や忘れ物があった時の問い合わせ場所の確認を直接目でおこなう。
それから予定してる所要時間に問題がないか、一学年の人数と小学生の頃の自分の感覚、歩くスピードを思い出しながら確かめていく。はっきり言って観光どころではない。
自分より二回りも歳上の先生をたくさん歩かせる訳にもいかず指示に従って右へ行って左へ行って。
卒業と同時に煙草はやめたけど、失われた体力までは戻ってなくてぜぇぜぇと息を切らせていれば少し休もうかと気を遣わせてしまった。
夜も実際に予定してるホテルに宿泊する。
一緒にご飯を食べて併設されてるバーに場所を移して酒を飲んで。長い夜になる事は覚悟してたが本当に長い。開放されたのは日付が変わった後だった。
部屋に向かう途中、今日一日通知を切っていたスマホを取り出す。どうせ、たいした連絡は来てない。その筈だったのに。
「はぁ!!?」
俺たちの関係はあの大学にすべて置いてきた。
その考えが外れてたことを知るのは意外にも早かった。いや相手が神崎だから早く感じただけで、普通に遅い。卒業してからもうすぐ一ヶ月だ。
でもまさか殆どなかった神崎からの連絡がこのタイミングであるなんて夢にも思わないじゃないか。それにしても間がかなり悪いんだが。
こんな廊下じゃ電話もできないと早足で部屋へと向かった。
「あ、はい!」
呼ばれた自分の名前に返事をしながら走る。そうだ、今は修学旅行の下見中だった。これが俺が教師としてやる初めての仕事だ。
例年、集合場所として使わせて貰ってる場所。トイレの位置、迷子になった生徒がでた場合や忘れ物があった時の問い合わせ場所の確認を直接目でおこなう。
それから予定してる所要時間に問題がないか、一学年の人数と小学生の頃の自分の感覚、歩くスピードを思い出しながら確かめていく。はっきり言って観光どころではない。
自分より二回りも歳上の先生をたくさん歩かせる訳にもいかず指示に従って右へ行って左へ行って。
卒業と同時に煙草はやめたけど、失われた体力までは戻ってなくてぜぇぜぇと息を切らせていれば少し休もうかと気を遣わせてしまった。
夜も実際に予定してるホテルに宿泊する。
一緒にご飯を食べて併設されてるバーに場所を移して酒を飲んで。長い夜になる事は覚悟してたが本当に長い。開放されたのは日付が変わった後だった。
部屋に向かう途中、今日一日通知を切っていたスマホを取り出す。どうせ、たいした連絡は来てない。その筈だったのに。
「はぁ!!?」
俺たちの関係はあの大学にすべて置いてきた。
その考えが外れてたことを知るのは意外にも早かった。いや相手が神崎だから早く感じただけで、普通に遅い。卒業してからもうすぐ一ヶ月だ。
でもまさか殆どなかった神崎からの連絡がこのタイミングであるなんて夢にも思わないじゃないか。それにしても間がかなり悪いんだが。
こんな廊下じゃ電話もできないと早足で部屋へと向かった。
11
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
【完結】終わりとはじまりの間
ビーバー父さん
BL
ノンフィクションとは言えない、フィクションです。
プロローグ的なお話として完結しました。
一生のパートナーと思っていた亮介に、子供がいると分かって別れることになった桂。
別れる理由も奇想天外なことながら、その行動も考えもおかしい亮介に心身ともに疲れるころ、
桂のクライアントである若狭に、亮介がおかしいということを同意してもらえたところから、始まりそうな関係に戸惑う桂。
この先があるのか、それとも……。
こんな思考回路と関係の奴らが実在するんですよ。
夢では溺愛騎士、現実ではただのクラスメイト
春音優月
BL
真面目でおとなしい性格の藤村歩夢は、武士と呼ばれているクラスメイトの大谷虎太郎に密かに片想いしている。
クラスではほとんど会話も交わさないのに、なぜか毎晩歩夢の夢に出てくる虎太郎。しかも夢の中での虎太郎は、歩夢を守る騎士で恋人だった。
夢では溺愛騎士、現実ではただのクラスメイト。夢と現実が交錯する片想いの行方は――。
2024.02.23〜02.27
イラスト:かもねさま
告白ゲーム
茉莉花 香乃
BL
自転車にまたがり校門を抜け帰路に着く。最初の交差点で止まった時、教室の自分の机にぶら下がる空の弁当箱のイメージが頭に浮かぶ。「やばい。明日、弁当作ってもらえない」自転車を反転して、もう一度教室をめざす。教室の中には五人の男子がいた。入り辛い。扉の前で中を窺っていると、何やら悪巧みをしているのを聞いてしまった
他サイトにも公開しています
キミと2回目の恋をしよう
なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。
彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。
彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。
「どこかに旅行だったの?」
傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。
彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。
彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが…
彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?
【完結】遍く、歪んだ花たちに。
古都まとい
BL
職場の部下 和泉周(いずみしゅう)は、はっきり言って根暗でオタクっぽい。目にかかる長い前髪に、覇気のない視線を隠す黒縁眼鏡。仕事ぶりは可もなく不可もなく。そう、凡人の中の凡人である。
和泉の直属の上司である村谷(むらや)はある日、ひょんなことから繁華街のホストクラブへと連れて行かれてしまう。そこで出会ったNo.1ホスト天音(あまね)には、どこか和泉の面影があって――。
「先輩、僕のこと何も知っちゃいないくせに」
No.1ホスト部下×堅物上司の現代BL。
消えたいと願ったら、猫になってました。
15
BL
親友に恋をした。
告げるつもりはなかったのにひょんなことからバレて、玉砕。
消えたい…そう呟いた時どこからか「おっけ〜」と呑気な声が聞こえてきて、え?と思った時には猫になっていた。
…え?
消えたいとは言ったけど猫になりたいなんて言ってません!
「大丈夫、戻る方法はあるから」
「それって?」
「それはーーー」
猫ライフ、満喫します。
こちら息抜きで書いているため、亀更新になります。
するっと終わる(かもしれない)予定です。
可愛くない僕は愛されない…はず
おがこは
BL
Ωらしくない見た目がコンプレックスな自己肯定感低めなΩ。痴漢から助けた女子高生をきっかけにその子の兄(α)に絆され愛されていく話。
押しが強いスパダリα ✕ 逃げるツンツンデレΩ
ハッピーエンドです!
病んでる受けが好みです。
闇描写大好きです(*´`)
※まだアルファポリスに慣れてないため、同じ話を何回か更新するかもしれません。頑張って慣れていきます!感想もお待ちしております!
また、当方最近忙しく、投稿頻度が不安定です。気長に待って頂けると嬉しいです(*^^*)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる