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過去(出会い)編
友達と親友の距離感(16)
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「………見返りが欲しくてお前と一緒に居るんじゃねえんだわ」
「ぇ?」
嫌に耳に馴染む低い声だった。良かれと思って、小鳥遊の為を思って考えたことだ。なのに向けられた視線が刃となって俺に突き刺さる。自分の立ってる場所が分からなくなるようなそんな感覚に思わず足が震えた。
「そういうのムカつく」
ハァと目の前で深いため息を吐かれた。間違えた。それだけは分かったけど、何を間違えたのかが分からなかった。血の気が引く。そんな思いをしたのは初めてだった。何か言わないとそう思って口を開くけど、ハクハクと息を吐きだすばかりで言葉が出ない。言うべき言葉が見つからなかった。
小鳥遊が立ち上がる。俺を置いて離れてく後ろ姿を追いかけたいのに追いかけられなくて、座ったままただ見つめる事しかできなかった。伸ばした手もどうすれば良いのか分からない。
俺に小鳥遊を追う権利なんて、あるんだろうか…?
「神崎」
呼ばれた名前に肩が跳ねる。数歩進んだところで小鳥遊がこっちを振り返った。
「こねえの?」
「い、行く…!」
呼び掛けられた名前にやっと縫い留められた足を動かすことができた。黙ったまま後ろを追う。
「ぇ?」
嫌に耳に馴染む低い声だった。良かれと思って、小鳥遊の為を思って考えたことだ。なのに向けられた視線が刃となって俺に突き刺さる。自分の立ってる場所が分からなくなるようなそんな感覚に思わず足が震えた。
「そういうのムカつく」
ハァと目の前で深いため息を吐かれた。間違えた。それだけは分かったけど、何を間違えたのかが分からなかった。血の気が引く。そんな思いをしたのは初めてだった。何か言わないとそう思って口を開くけど、ハクハクと息を吐きだすばかりで言葉が出ない。言うべき言葉が見つからなかった。
小鳥遊が立ち上がる。俺を置いて離れてく後ろ姿を追いかけたいのに追いかけられなくて、座ったままただ見つめる事しかできなかった。伸ばした手もどうすれば良いのか分からない。
俺に小鳥遊を追う権利なんて、あるんだろうか…?
「神崎」
呼ばれた名前に肩が跳ねる。数歩進んだところで小鳥遊がこっちを振り返った。
「こねえの?」
「い、行く…!」
呼び掛けられた名前にやっと縫い留められた足を動かすことができた。黙ったまま後ろを追う。
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