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過去(出会い)編

友達と親友の距離感(12)

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「ほい、完了」
「ありがとう…」
「ん、神崎が持ってて」
「いや、受け取れない」
「俺も要らねえよ、怪我しないし。要らないなら……捨てるか」

安もんだし別にいいか。縁だけを青で彩った透明な正方形の入れ物は確かに安物そうだ。でも中身は立派な救急セット。ワンコインじゃ足りないはずだ。手遊びするように手の中の救急セットを上に投げてキャッチするを小鳥遊は繰り返す。それに釣られるように俺も立ち上がった。ある程度ゴミ箱に近づいた距離で振りかぶりボールに見立てたソレを構える。その手を思わず止めた。

「ダメ」
「んぇ?」
「やっぱり欲しい。くれないか…?」
「ん、どーぞ」

あぁ、負けだ。本当はだいぶ前から気づいてた。どんなに自分の心を偽って嘘をついても望んでる事は一つだった。

「小鳥遊」
「ん?」
「……き…か?」
「え?」

聞き返さないで欲しい。少し恥ずかしいんだ。一度断ってしまったのは俺の方。今さら何言ってんだって今度こそ機嫌を損ねてしまうかもしれない。いや、きっと小鳥遊はそんな事で不機嫌になる奴じゃない。

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