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本編

六月に芽吹く(7)

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流れる景色。体に酒が回って熱くて窓を開けて風に当たる。

「小鳥遊、身を乗り出したら危ない」
「…あれ、かんざきだ。何でいんの?」
「小鳥遊を迎えに来たんだ」
「何で?」
「何で、か」

真っ直ぐとまるで此処ではない何かを見るような顔。神崎が言いにくい事がある時にする顔だ。どうやらこれは俺が踏み込んじゃいけない話らしい。

別にいつもの事だ、慣れてる。そう自分に言い聞かせて笑って見せた。

「また隠し事かよー。いいよ、そんな興味ねえし」
「隠し事?隠し事の方じゃなくて。これは俺自身さっき気づいたばかりで、まだよく分かっていないんだ」

隣で神崎が何か言ってるが頭に入ってこない。酷く眠たくて目を閉じる。緩やかな揺れだけが伝わる神崎の安全運転が逆に眠気を誘う。

「待ってくれ。違うんだ、小鳥遊、話を…」

神崎の焦ったような声が聞こえた気がする。
今は本当にムリだから続きは後にしてくれ、そう伝えたつもりだが本当に言えていたかはっきりとした記憶はない。
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