【完結】内緒事のある友人との離れ方

琉海

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本編

五月の憂い(4)

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前にこんなに苛立ったのは、いつだっけ。そうだ前も神崎相手だった。

何の連絡もなしに音信不通、やっと帰ってきて心配して声をかけたのに”小鳥遊には関係ないから”と初めて言われた時、あの時もブチッと頭の中で何かが切れた。

「部屋戻るわ」

そう言って食べかけの皿と箸を掴んで背中を向ける。

「っ、小鳥遊まっ…!」
「そっちにあるの神崎の飯だから。風呂も沸いてるし。ぁ、俺、明日早いから鍵よろしく。じゃ、オヤスミ」

会話を拒否するように扉を閉める。俺は案外、性格が悪い。イライラした時、相手に向ける言葉が刃物として突き刺さればいいのにってわざと傷つける言葉を選んで言ってしまう。

そんで相手を傷つけて、落ち着いた時にそんな言葉を言ってしまった自分に落ち込むんだ。

この苛立ちは一過性。俺が本気で神崎を嫌う日なんて来るはずがない。だからこそ傷つける言葉を投げつけないように今は拒絶する。

片手で机の上の書類を端によせ、空いたスペースに皿を置く。それからスマホで音楽をかけて、口いっぱいにご飯を頬張りながら一番上の書類に目を通す。

頭の中の情報量や同時進行にしてる事柄が増えれば嫌なことは直ぐにどこか行く。


と、その時。

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