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本編

四月に花が咲く(1)

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東京に住んでる小学生の修学旅行先といえば栃木にある日光東照宮が定番だ。俺の幼い頃もそうだった。

イメージとしては金ピカな神社。大人になってから初めて訪れるけど、思い入れがあるわけでも神社が好きという訳でもない。自分の中で増えてる事といえば雑学くらいなものだ。

日光東照宮の建物には様々な動物の木彫像が彫られてる。観光客の殆どがそれを目当てに来てると言っても過言ではない。というか俺はそれしか見てなかった。

これらの動物のほとんどは平和を象徴して描かれてる。


平和の象徴。
俺にとってのそれは神崎だったのかも知れない。

ふらりと消えては戻ってくるアイツは影で悪と戦うヒーロー。そう考えると少しだけ面白い気がした。神崎が秘密にしたがるのだって頷ける。

ヒーローは人知れず世界を救うのが鉄則。守られるだけの一般人はいつだって蚊帳の外だ。


あぁ、最悪。またアイツの事を考えてた。

ため息をつきながら頭を掻く。教師としての人生を歩みだせば神崎の事を忘れられると思ってたのに、今だにこうやって何気ないときに俺の頭の中を支配する。

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