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足りない言葉(1)
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廊下を歩く度に周りの視線が突き刺さる。幼い頃ならまだしも主に手を握られ歩く従者など何処にいるだろうか。
『誰も頼んでない』
その言葉が今だに何度も胸を突き刺してくる。
本当は俺にだけ国を出る計画の話をされなかった事が悲しかっただけなのだ。その話を知っていたのは前の時に偶然聞いてしまったから。
前回知らされなかったのは仕方がないだろう、元より連れて行く気もなかったと思う。でも今生は話して貰えるだけの距離にはいると思っていたのだ。
メルロ様に捨てられると考えただけで悲しかった。それならいっそメルロ様の為に自分から離れると思えたほうが、幾分気持ちはマシだった。
あぁ、やはり俺は主よりも自分を優先してしまう騎士失格の男だ。
「申し訳御座いません、メルロ様。私は貴方の側にいる資格など御座いません」
「は?」
「っ!」
壁に強く押しつけられる。打ちつけた体が痛い。眉を潜めていれば顔の横に片方ずつメルロ様の手をつかれ、上から見下ろされた。
『誰も頼んでない』
その言葉が今だに何度も胸を突き刺してくる。
本当は俺にだけ国を出る計画の話をされなかった事が悲しかっただけなのだ。その話を知っていたのは前の時に偶然聞いてしまったから。
前回知らされなかったのは仕方がないだろう、元より連れて行く気もなかったと思う。でも今生は話して貰えるだけの距離にはいると思っていたのだ。
メルロ様に捨てられると考えただけで悲しかった。それならいっそメルロ様の為に自分から離れると思えたほうが、幾分気持ちはマシだった。
あぁ、やはり俺は主よりも自分を優先してしまう騎士失格の男だ。
「申し訳御座いません、メルロ様。私は貴方の側にいる資格など御座いません」
「は?」
「っ!」
壁に強く押しつけられる。打ちつけた体が痛い。眉を潜めていれば顔の横に片方ずつメルロ様の手をつかれ、上から見下ろされた。
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