【完結】逆行騎士は己の意志を貫きたい

久しぶりの再会(2)

本当は数ヶ月で戻るつもりだった。しかし、長期になると言われた任務がそう簡単に終わる筈がなかった。半年が過ぎ、一年が経って二年を向かえていた。そしてやっと大将首を討ち取り、今日、帰路する事ができた。

報告を終えて足早に廊下を移動する。共に遠征に行っていた者達から慰労を兼ねた飲みに誘われたが断った。

一秒でも早くメルロ様に会いたかった。


呼ばれた名前に振り返る。

「っ……」

そして数年ぶりに見たメルロ様に息を飲んだ。

前の時は初めて会った時からメルロ様を見上げていた。でも幼い頃から一緒にいる今はまだ俺よりも背は低かったのだ。いつかは抜かれる。分かっていたが実際に越されてしまうとショックが隠せない。立派になられた、そう受け入れるべきなのに側に入れなかった月日に心がついていけない。

少しだけ視線が上になってしまったメルロ様の眉間に皺が寄る。

「遅い」

その言葉に慌てて膝を付き頭こうべを垂れる。

「申し訳御座いません」

握りしめた拳の中で爪が皮膚に喰い込んだ。こうやって僅かに勝ち得た信頼さえも崩してしまうのだ。