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異なる世界(1)
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「お待たせしました」
乱れた息を整えて読書を続けるメルロ様に近づく。声を掛ければ視線だけが此方を向いた。
読んでた本を閉じて片手で持ち、逆の手で俺の手を掴む。無言で歩き出したメルロ様の後に続く。前に本を持つと伝えた時、首を横に振られた。まだ信頼は勝ち得てないらしい。ただ側にいる事は許して貰えている。俺がメルロ様付きの騎士になる事は確実なので見極めてる途中なのかも知れない。
そのままメルロ様の自室に通される。いつものように入口付近で待機しようとすれば不機嫌顔のメルロ様に呼ばれた。
「何を読んでいるのですか?」
「……古代語に関する文献だ」
メルロ様の後ろから本を覗き込む。主に対して失礼だがメルロ様はそれを許してくれる。書かれてる文字は現代の文字と違っていた。絵柄にしか見えないそれに目を通すメルロ様はきちんと書かれてる内容を理解してるのだろう。本当に聡明な方だ。
体を鍛える事に時間を費やし、学はそこまで深くない。俺には一文字も読めない本だ。
そう思った瞬間、メルロ様と自分では見てる世界が違うのだと突きつけられた気がした。
「メルロ様、少し席を外させて頂きます」
「どこへ行く」
ずっと伏せられてた目が真っ直ぐに此方をみる。俺の行動を測る綺麗な紺色。
乱れた息を整えて読書を続けるメルロ様に近づく。声を掛ければ視線だけが此方を向いた。
読んでた本を閉じて片手で持ち、逆の手で俺の手を掴む。無言で歩き出したメルロ様の後に続く。前に本を持つと伝えた時、首を横に振られた。まだ信頼は勝ち得てないらしい。ただ側にいる事は許して貰えている。俺がメルロ様付きの騎士になる事は確実なので見極めてる途中なのかも知れない。
そのままメルロ様の自室に通される。いつものように入口付近で待機しようとすれば不機嫌顔のメルロ様に呼ばれた。
「何を読んでいるのですか?」
「……古代語に関する文献だ」
メルロ様の後ろから本を覗き込む。主に対して失礼だがメルロ様はそれを許してくれる。書かれてる文字は現代の文字と違っていた。絵柄にしか見えないそれに目を通すメルロ様はきちんと書かれてる内容を理解してるのだろう。本当に聡明な方だ。
体を鍛える事に時間を費やし、学はそこまで深くない。俺には一文字も読めない本だ。
そう思った瞬間、メルロ様と自分では見てる世界が違うのだと突きつけられた気がした。
「メルロ様、少し席を外させて頂きます」
「どこへ行く」
ずっと伏せられてた目が真っ直ぐに此方をみる。俺の行動を測る綺麗な紺色。
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