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最期の時(1)

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元々喋るのは苦手だった。弁明もできぬまま月日は流れてしまった。

そんなある日、メルロ様が謀反を起こそうとしてると情報が流れ王立騎士団がメルロ様の屋敷に攻め込んできた。

前までの俺ならその情報を信じてたかも知れない。でも今なら嘘だと分かる。メルロ様はその様なこと絶対にしない。いや、語弊がある。賢明なメルロ様が本当に謀反を企てたのなら跡を残すはずがないのだ。

証拠が出てきた時点でそれは作られた偽物だと容易に想像する事ができた。


「メルロ様!」

放たれた大量の矢がメルロ様目掛けて降り注ぐ。それを上から覆い被さる事で庇った。幾本も背中に刺さる矢にもっと抱え込まなくてはと腕に力を込めた。

「お前、どうして…」

驚きに目を見開くメルロ様。初めて見る表情だ。最期にこの顔を見ることが出来たのなら、痛みさえ気にならないように思えた。

「ディエゴの所に逃げ帰ったんじゃねえのか」

そんな事、考えもしなかった。

メルロ様をこの身に代えても守る。その思いで頭の中はいっぱいだった。地に伏せそうになった体をメルロ様が受け止めてくれる。

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