【完結】敵対騎士の懐かせ方

琉海

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嫌われ者の末路(1)

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ゴホゴホと吐き出した血によって床が真っ赤に染まる。

嫌われ者の第二王子。その末路は部下全員の裏切りによる死だなんてよくある話にも程がある。 

王への反逆、反国軍との繋がり、違法武器の売買、財の着服、エトセトラ。

並べ立てられる罪状はよくもまあこれだけ好き勝手に思いつくものだと言いたくなるようなものばかり。その中には確かにディオがしている事もあったが、持ってる証拠は自分たちで作った偽物だろう。己の足跡を残すようなヘマはしない。

ディオを恐れ邪魔だと忌み嫌う者は多い。斬られた横腹からはとめどなく血が流れていた。

主人がこんな状態だというにディオを守る者は一人もいない。


結局、あの銀色も手に入らなかったしな。

苛烈な程にディオを睨みつける銀色が今も頭の中にいる。一ヶ月ほど前、ディオが将として参加した戦で敵の大将の騎士として立ち塞がった銀色がいた。

目の前でまるで舞うように振るわれる剣術。仲間たちが倒れていく中、どんなに斬られて血を流してもその銀色だけは猛攻を振るい続ける。間違いなくこの戦の中でディオの次に強かったのはあの銀色だ。本能的にそう理解した。

そして最後まで主君への忠誠心と誠実さをディオに見せつけたのだ。その真っ直ぐな銀色を欲しいと思った。向けられる視線の先が自分になれば良いと願った。

だから主人の後を追って自分の首を刎ねようとした銀色、カイルの手に持たれていた短剣を叩き落とし仇を討つチャンスをくれてやると側に置いたのだ。
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