【完結】我が侭公爵は自分を知る事にした。

終わりの始まり(5)

だけど、今は違う。

どうやら愁玲が思ってる以上にヴァルガにも家族にも愛されてるらしい。

認めた瞬間、ボッと顔に熱が溜まる。慌てて頭を振って考えを取り払う。その動きの途中、腕を引っ張られた。

「何考えてる？」
「っ、別に…！」

心が叫んでる。

ヴァルガの目がずっと愁玲だけを映していればいいのに。もっとヴァルガに認められたい、もっとヴァルガに褒めて欲しい。

口には出したくない思いばかりだ。本人に言うつもりはない。なのに今のままじゃ、ヴァルガに伝わってしまう。

「選ばないなら俺が選ぶぞ」
「だから、要らないって言ってるだろ！」

綺麗な物は好きだ、高い物だって好き。ここにあるのは、すべて綺麗で高価な物ばかり。そういう目だけは嫌というほど養われた。