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愁玲の拠り所(6)

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言葉も出てこない。頭の中が真っ白になる。
愁玲の中で何かが壊れた。

体が震えだす。我慢してた涙が頬を伝い溢れだしてきた。慌てて手で拭うが止まりそうにない。そんな愁玲にギョッと目を見開いたヴァルガはさっきまでの赤を潜めていた。でも俯いてた愁玲は気づかない。

それは防衛本能にも近かった。愁玲が思ったのは一つ。

"もうココには居たくない"


ヴァルガは嘘つきだ。思わせ振りな態度ばかりとる。愁玲の事なんて自分の物の一つとしか考えてない。飽きれば捨てて、二度と見向きもされない。

あの日の光景がよみがえる。弟を馬鹿にされて怒るヴァルガの姿。兄が弟を嫌うはずがないだろうって、じゃあ愁玲の存在はどうなる。

民にも兄にも嫌われてる。愁玲の事を本当に好きで気に掛けてくれてる人なんて、この世のドコにも居ない。

胸が痛い。うまく息が吸えない。涙が止まらない。

ヴァルガに嫌われた。

泣いたら負けだ。泣いたらヴァルガが好きって事を認める事になる。誰も受け取ってくれない思いを抱いてたって悲しくて辛くて嫌な思いをするのは自分だけなのに。

「愁玲?」

痛い、苦しい。もう嫌だ。

呼び掛けられた声にも気づかなかった。


本当にヴァルガの言葉が真実だっていうなら救ってくれよ。

"なあ、紫苑"

そう願った瞬間、愁玲の体を眩しい光が包んだ。

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