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信仰
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※やおい穴的な要素(人外だから勝手に濡れる・拡張も出来てる)
かつて故国のために働いていたシェルトは、新しい主に仕えている。
その人はただの人間にとってはおぞましい生き物なのだろう。尊ぶもののために人間を喰い物とし、それを欠片も悪びれない。シェルトに何もなければきっと大多数がそうするように、彼に嫌悪を覚えただろう。
けれど全てを理不尽に奪われたシェルトにとって、満身創痍のシェルトを拾い上げ、憎い者全てを滅ぼしてくれた彼は……そう、正に神だった。
神がシェルトを気にかけ、可愛がってくれるのならばそれは身に余る光栄であった。
「……お前がシェルトとやらだったのか」
新しい町で教えを広めていたある日。普段ならシェルトを常に傍に置いてくれる彼、レネは一人で何処かへ行ってしまい、帰ってきたら男を連れ込んでいた。
シェルトの記憶に僅かに残る男はレネが紛れ込んでいた聖騎士達の旅団をまとめていた男だった。らしい。レネに助けられ契約を持ちかけられた見知らぬ天幕の中に入り込んできた姿を見たのを覚えていた。
ヴィレムと名乗った男はかつてレネと愛を誓ったのだと言う。べたべたとレネに貼り付き、まろい頬に口付けては鬱陶しく愛を囁く。優しいレネはヴィレムを蔑ろにせず頭を撫でて構ってやっている。
「そんなに怒らないでよ」
子供を宥めるような、慈しみすら滲んだ声を出されるとシェルトも少し大人げない気がしてしまう。無言でいると頭を撫でられる。
「ヴィレムは確かに可愛いけど、貴方も同じくらい可愛いよ。初めて出来た駒だもの」
事実だった。
美しい姉妹と違い、レネの容姿は特徴がない。そこらに溢れて紛れる、ごく平凡な顔立ちという外見に求心力はないが便利だという。
目立たないからこそ聴衆に溶け、教祖として甘言を説く姉妹に傾倒した信者のふりが出来る。誰か一人が初めの堕落を踏み出せば、迷っていた者達は我も我もとつられて堕ちていく。
美しい姉妹の容姿に、声に、苦悩からの解放に――言葉巧みに唆され邪神の腹へ喰い堕とされる信者の姿は滑稽で愛おしく、愉快だと笑う。その笑顔は本当に血が繋がっているかのように、三人ともによく似ていた。
「こんな平凡な男に全てを捧げて。姉さん達ならいざ知らず、こんな男の体を抱いて。おかしいと思わないの?」
自虐的な言葉と共に嘲笑を浮かべてみせるが、嘲笑う相手は自分(レネ)ではない。レネの体に絡みついて離れようとしない男と、そんな男を睨みつけるシェルトに対してだ。
「思うわけがない」
互いに存在を知ってまだそれ程時間が経っていない。それでも腹の底から嫌い合っているというのに、二人の意見は一致し、声を揃えた。
偽りだったとはいえ共に苦難の旅路を過ごし愛を誓ったレネを、全て知った今なおヴィレムは愛している。濁りきった心は善徳を捨てた。
憤りしか残らなかったシェルトは自分を見つけ、神の御前へ掬い上げてくれたレネへ感謝と忠義と愛を捧げた。レネはそれに応え、死んだら共に神の腹で溶け、一つになる。どんな求愛の言葉も敵わないだろう。
男達の返事に満足気に笑うと、褒美としてその頬に口付けてやる。背後から抱き込むヴィレムへ先に、その後に正面で待つシェルトにも。
男達の手が体を這いずり始めても。シェルトの唇が重なってきても。ヴィレムの舌が首筋を舐めても。レネはちっとも動じず、奉仕を受け入れた。
現在の根城はフィロメナに傾倒する貴族の屋敷だ。好色な彼女は今頃屋敷の主をさらに骨抜きにしていることだろう。レネのように。
客室に設えた調度品はどれも品が良く、男三人が寝られる大きさのベッドは一目で気に入った。二人を侍らせるのなら広い方が不便が少ない。
当然のようにレネは愛する男達と睦み、絡み合う。服を脱ぎ捨て寝転がるシェルトの股座へ四つん這いになり顔を寄せたレネは、小さな口で雄を可愛がる。竿を扱き、玉を弄び、亀頭に吸い付いて舌先で穴をほじる。口を開けて喉奥まで咥え込むと可愛らしく鳴かれた。普段なら鳴かされてばかりのレネは僅かにいい気になる。
「ひあっ」
シェルトの反応ばかりを見ていたレネに存在を思い出させるように、レネの小さな尻を大きな両手が鷲掴み、広げられた孔を舐めた。
邪神によって眷属へと生まれ変わったレネの体はただの人間のものとは違う。レネの体液を啜れば理性は溶け、魔性に満ちた肉体は構造からして変わっている。男を咥え込むことを覚えた体は男の尻孔すら勝手に濡らす。
ひくつく孔はくっぽりと大きく開き、思わず揺れた尻にヴィレムは食らい付いた。入り込めと誘う孔に舌を突き入れる。嫌悪も躊躇も微塵もない。
「あっ、あっ……ひっ……いいっ……」
「……レネ……」
肉襞を舌に擦られ喘ぐレネを呼ぶ声は切なく、自分も構ってくれと声音だけで主張する。ヴィレムに孔を舐めらる快感に流されながら、レネは放り出してしまったシェルトを再び咥えた。すっかり育ち上がった長大なそれを口一杯に頬張ると喘ぎは呻きに変わってしまう。
男に孔を舐めほぐされ、悦びから尻を振りながら自分を咥えるレネの姿は淫らだった。顔を上下させ、舌で雄を扱かれ、気持ち良さに呻くシェルトをレネの喉は飲み込んだ。
喉奥まで迎え入れた雄を腹の中へ送るかのように強い力で吸い付かれる。
「……レネっ、それはっ……」
「……んんっ…………だして……」
ぷはっ、と口を離しただけで音が立つ。強い刺激を与えられても射精には至らない我慢強い雄を、白い指先が褒めるようにすりすりと撫でた。
「シェルトの精液、僕にちょうだい。僕のお腹に……いっぱい飲ませて……あんっ……」
シェルトへのねだりを咎めるように、レネの中から舌を抜いたヴィレムは代わりに長くがっしりとした指を二本突き入れた。柔らかい肉孔は抵抗なく指を受け入れていく。
「ああっ! んあっ……ヴィレム! ヴィ……あっ……ああっ……んんっ……」
勢いをつけて指を抜き差しされ、抉られる刺激にレネが声を上げる。快楽に媚びていた。
「やだっ……おく、もっと奥! ヴィレム……指じゃとどいてない……」
「どうしたらいい?」
顔だけで振り返り、名前を呼ぶレネにヴィレムの機嫌は目に見えて変わる。今までヴィレムだけのものだったレネがシェルトという新しい男を作ったことにレネの想像より遥かに腹を立てていた。
いつもならレネの言葉を察して賢い犬のように従ってみせるのに、今のヴィレムは意地悪く問うだけだ。
「……ヴィレムの、よく育った……大きなち◯ぽ、僕にちょうだい……」
あけすけな言葉を選ぶ。それだけで機嫌が良くなると思っている。実際その通りだった。
間男への嫉妬は何処へやら。レネのねだり言葉で相好を崩し、望み通りに突き入れる。肉筒は愛する男を苦もなく受け入れ、よく締めて可愛がった。
「ああくそっ……レネ、レネ……!」
ヴィレムの多きな手がレネの腰を掴み、奥底まで入り込む為に腰を振って肉を打つ。レネによって得られる快楽と興奮から息を荒げる。
健気な奉仕を受けながら、レネはもう一人を可愛がっていた。シェルトを頬張り、思いつきを告げてみる。
「シェルトも入れる?」
ひくつく亀頭を舐め、穴を舌先でいじめる。何を言われたかわからない様子でレネを見ていたシェルトが小さく喘いだ。
「ヴィレムと一緒に……あんっ……あっ……僕の中……んんん……こすって、いじめて……」
「うっ……ぐっ、あぁ……っ」
雄を口内におさめると強く吸い付く。今度こそシェルトは達し、レネの喉奥へとねばついた熱い精子が流れ込んでいく。戸惑いもなく嚥下し、動く喉を見るシェルトの眼差しは熱く、興奮に満ちていた。
シェルトから口を離したレネの体がゆるりと立ち起き、後方へ向けて倒れていく。繋がったままヴィレムの逞しい体に支えられ、そのまま男の上へ寝転がる。体勢が大きく変わってもヴィレムは腰を上下させ、レネの中を抉っている。体が密着したのをいいことに、レネの頭部へすり寄ったり背筋へ音を立てて吸い付き始めた。
ヴィレムの好きにさせながら尻を少し上げ、体を伸ばし、男を咥え込む自分の尻孔へ指を差し入れてレネが命じる。ここへ来いと。
言葉にせずともシェルトは従い、男の上で淫らに踊るレネの孔へ、再び勃ち上がった雄を擦り付ける。孔から這い出た細い指に促されるままに入り込んでいく。
肉襞の感触だけでなく、他人の肉棒も擦り合いながら狭い肉路に包まれる新しい肉の刺激。至近距離で見せつけられるいけすかない男とレネの嬌態。
「レネ……レネ……!」
「くっ……うぉっ……出る……!」
ヴィレムは盛った犬のようにひたすらレネを呼びながら。
シェルトは顔を染め、隠せない興奮のままに声を上げながら。
二人の男は揃ってレネの中に精を吐き出した。胎の奥へ流れ込んでくる熱い種の味に、レネは舌を舐めて喜んだ。
それきりで終わる筈もなく、夜が更けるまで男達はレネと絡み、愛し合っていた。
夜明けまであと数刻。一目から隠れた遠い土地の大きな屋敷。その地下深くに祀られた祭壇には一糸纏わぬ青年の姿があった。
「……お父様、用って、なに……?」
体中に情交の痕を色濃く残し、気怠げな様子に艶を持ったレネは可愛い男達との戯れの後、父の呼び声を聞いた。
父の住まう屋敷から遠く離れた町にいても、彼らがその声を聞き逃すことはない。父から与えられた力を使えば瞬時に屋敷へ帰ってこれる。
しんと静まった部屋の中に風が起きる。地下という閉鎖空間に不自然に起きたそれはレネの父たる邪神の声だ。眠たげなレネに気を使い、地響きは避けた親心だった。
「…………食べたい男を見つけたの? そんなの姉さんに頼めばいいのに……姉さんならどんな男も虜に出来るでしょ」
風が起きる。レネの頬を擽り、髪を優しく撫でていく。
「……信心深くて真面目な神父。清廉潔白。ふぅん、僕好み」
風が起きる。レネの耳にひそやかに囁く。
「…………女はダメなんだ。ふぅん」
苦悩している。弱っている。それでも信徒の理想の聖者であり続けようと必死に抗っている。
続く囁きに「美味そうだ」とレネが笑う。すっかり目は覚めていた。
「そんな男が僕に堕ちて。お父様へ毎日毎日欠かさずに祈りを捧げる」
風が起きた。少し強く。
「神の愛を語った口で僕への愛とお父様への信心を語るんだよ」
小刻みな風が吹く。笑っている。
「そして死んだら僕と一緒に貴方の腹へ還るんだ」
最早迷うこともなく、レネは次の仕事を始めることにした。片田舎の教会で布教に励む年若い神父。彼を喰うのだ。
レネの一生をかけて味付けされた人間を喰らう。それが父の楽しみなのだから。
レネの体が闇に包まれる。一瞬で祭壇から姿を消し、そこにはただ邪神が残った。
『楽しみにしているよ』
遠く離れていても聞こえる父の言葉に、レネは小さく頷いた。
かつて故国のために働いていたシェルトは、新しい主に仕えている。
その人はただの人間にとってはおぞましい生き物なのだろう。尊ぶもののために人間を喰い物とし、それを欠片も悪びれない。シェルトに何もなければきっと大多数がそうするように、彼に嫌悪を覚えただろう。
けれど全てを理不尽に奪われたシェルトにとって、満身創痍のシェルトを拾い上げ、憎い者全てを滅ぼしてくれた彼は……そう、正に神だった。
神がシェルトを気にかけ、可愛がってくれるのならばそれは身に余る光栄であった。
「……お前がシェルトとやらだったのか」
新しい町で教えを広めていたある日。普段ならシェルトを常に傍に置いてくれる彼、レネは一人で何処かへ行ってしまい、帰ってきたら男を連れ込んでいた。
シェルトの記憶に僅かに残る男はレネが紛れ込んでいた聖騎士達の旅団をまとめていた男だった。らしい。レネに助けられ契約を持ちかけられた見知らぬ天幕の中に入り込んできた姿を見たのを覚えていた。
ヴィレムと名乗った男はかつてレネと愛を誓ったのだと言う。べたべたとレネに貼り付き、まろい頬に口付けては鬱陶しく愛を囁く。優しいレネはヴィレムを蔑ろにせず頭を撫でて構ってやっている。
「そんなに怒らないでよ」
子供を宥めるような、慈しみすら滲んだ声を出されるとシェルトも少し大人げない気がしてしまう。無言でいると頭を撫でられる。
「ヴィレムは確かに可愛いけど、貴方も同じくらい可愛いよ。初めて出来た駒だもの」
事実だった。
美しい姉妹と違い、レネの容姿は特徴がない。そこらに溢れて紛れる、ごく平凡な顔立ちという外見に求心力はないが便利だという。
目立たないからこそ聴衆に溶け、教祖として甘言を説く姉妹に傾倒した信者のふりが出来る。誰か一人が初めの堕落を踏み出せば、迷っていた者達は我も我もとつられて堕ちていく。
美しい姉妹の容姿に、声に、苦悩からの解放に――言葉巧みに唆され邪神の腹へ喰い堕とされる信者の姿は滑稽で愛おしく、愉快だと笑う。その笑顔は本当に血が繋がっているかのように、三人ともによく似ていた。
「こんな平凡な男に全てを捧げて。姉さん達ならいざ知らず、こんな男の体を抱いて。おかしいと思わないの?」
自虐的な言葉と共に嘲笑を浮かべてみせるが、嘲笑う相手は自分(レネ)ではない。レネの体に絡みついて離れようとしない男と、そんな男を睨みつけるシェルトに対してだ。
「思うわけがない」
互いに存在を知ってまだそれ程時間が経っていない。それでも腹の底から嫌い合っているというのに、二人の意見は一致し、声を揃えた。
偽りだったとはいえ共に苦難の旅路を過ごし愛を誓ったレネを、全て知った今なおヴィレムは愛している。濁りきった心は善徳を捨てた。
憤りしか残らなかったシェルトは自分を見つけ、神の御前へ掬い上げてくれたレネへ感謝と忠義と愛を捧げた。レネはそれに応え、死んだら共に神の腹で溶け、一つになる。どんな求愛の言葉も敵わないだろう。
男達の返事に満足気に笑うと、褒美としてその頬に口付けてやる。背後から抱き込むヴィレムへ先に、その後に正面で待つシェルトにも。
男達の手が体を這いずり始めても。シェルトの唇が重なってきても。ヴィレムの舌が首筋を舐めても。レネはちっとも動じず、奉仕を受け入れた。
現在の根城はフィロメナに傾倒する貴族の屋敷だ。好色な彼女は今頃屋敷の主をさらに骨抜きにしていることだろう。レネのように。
客室に設えた調度品はどれも品が良く、男三人が寝られる大きさのベッドは一目で気に入った。二人を侍らせるのなら広い方が不便が少ない。
当然のようにレネは愛する男達と睦み、絡み合う。服を脱ぎ捨て寝転がるシェルトの股座へ四つん這いになり顔を寄せたレネは、小さな口で雄を可愛がる。竿を扱き、玉を弄び、亀頭に吸い付いて舌先で穴をほじる。口を開けて喉奥まで咥え込むと可愛らしく鳴かれた。普段なら鳴かされてばかりのレネは僅かにいい気になる。
「ひあっ」
シェルトの反応ばかりを見ていたレネに存在を思い出させるように、レネの小さな尻を大きな両手が鷲掴み、広げられた孔を舐めた。
邪神によって眷属へと生まれ変わったレネの体はただの人間のものとは違う。レネの体液を啜れば理性は溶け、魔性に満ちた肉体は構造からして変わっている。男を咥え込むことを覚えた体は男の尻孔すら勝手に濡らす。
ひくつく孔はくっぽりと大きく開き、思わず揺れた尻にヴィレムは食らい付いた。入り込めと誘う孔に舌を突き入れる。嫌悪も躊躇も微塵もない。
「あっ、あっ……ひっ……いいっ……」
「……レネ……」
肉襞を舌に擦られ喘ぐレネを呼ぶ声は切なく、自分も構ってくれと声音だけで主張する。ヴィレムに孔を舐めらる快感に流されながら、レネは放り出してしまったシェルトを再び咥えた。すっかり育ち上がった長大なそれを口一杯に頬張ると喘ぎは呻きに変わってしまう。
男に孔を舐めほぐされ、悦びから尻を振りながら自分を咥えるレネの姿は淫らだった。顔を上下させ、舌で雄を扱かれ、気持ち良さに呻くシェルトをレネの喉は飲み込んだ。
喉奥まで迎え入れた雄を腹の中へ送るかのように強い力で吸い付かれる。
「……レネっ、それはっ……」
「……んんっ…………だして……」
ぷはっ、と口を離しただけで音が立つ。強い刺激を与えられても射精には至らない我慢強い雄を、白い指先が褒めるようにすりすりと撫でた。
「シェルトの精液、僕にちょうだい。僕のお腹に……いっぱい飲ませて……あんっ……」
シェルトへのねだりを咎めるように、レネの中から舌を抜いたヴィレムは代わりに長くがっしりとした指を二本突き入れた。柔らかい肉孔は抵抗なく指を受け入れていく。
「ああっ! んあっ……ヴィレム! ヴィ……あっ……ああっ……んんっ……」
勢いをつけて指を抜き差しされ、抉られる刺激にレネが声を上げる。快楽に媚びていた。
「やだっ……おく、もっと奥! ヴィレム……指じゃとどいてない……」
「どうしたらいい?」
顔だけで振り返り、名前を呼ぶレネにヴィレムの機嫌は目に見えて変わる。今までヴィレムだけのものだったレネがシェルトという新しい男を作ったことにレネの想像より遥かに腹を立てていた。
いつもならレネの言葉を察して賢い犬のように従ってみせるのに、今のヴィレムは意地悪く問うだけだ。
「……ヴィレムの、よく育った……大きなち◯ぽ、僕にちょうだい……」
あけすけな言葉を選ぶ。それだけで機嫌が良くなると思っている。実際その通りだった。
間男への嫉妬は何処へやら。レネのねだり言葉で相好を崩し、望み通りに突き入れる。肉筒は愛する男を苦もなく受け入れ、よく締めて可愛がった。
「ああくそっ……レネ、レネ……!」
ヴィレムの多きな手がレネの腰を掴み、奥底まで入り込む為に腰を振って肉を打つ。レネによって得られる快楽と興奮から息を荒げる。
健気な奉仕を受けながら、レネはもう一人を可愛がっていた。シェルトを頬張り、思いつきを告げてみる。
「シェルトも入れる?」
ひくつく亀頭を舐め、穴を舌先でいじめる。何を言われたかわからない様子でレネを見ていたシェルトが小さく喘いだ。
「ヴィレムと一緒に……あんっ……あっ……僕の中……んんん……こすって、いじめて……」
「うっ……ぐっ、あぁ……っ」
雄を口内におさめると強く吸い付く。今度こそシェルトは達し、レネの喉奥へとねばついた熱い精子が流れ込んでいく。戸惑いもなく嚥下し、動く喉を見るシェルトの眼差しは熱く、興奮に満ちていた。
シェルトから口を離したレネの体がゆるりと立ち起き、後方へ向けて倒れていく。繋がったままヴィレムの逞しい体に支えられ、そのまま男の上へ寝転がる。体勢が大きく変わってもヴィレムは腰を上下させ、レネの中を抉っている。体が密着したのをいいことに、レネの頭部へすり寄ったり背筋へ音を立てて吸い付き始めた。
ヴィレムの好きにさせながら尻を少し上げ、体を伸ばし、男を咥え込む自分の尻孔へ指を差し入れてレネが命じる。ここへ来いと。
言葉にせずともシェルトは従い、男の上で淫らに踊るレネの孔へ、再び勃ち上がった雄を擦り付ける。孔から這い出た細い指に促されるままに入り込んでいく。
肉襞の感触だけでなく、他人の肉棒も擦り合いながら狭い肉路に包まれる新しい肉の刺激。至近距離で見せつけられるいけすかない男とレネの嬌態。
「レネ……レネ……!」
「くっ……うぉっ……出る……!」
ヴィレムは盛った犬のようにひたすらレネを呼びながら。
シェルトは顔を染め、隠せない興奮のままに声を上げながら。
二人の男は揃ってレネの中に精を吐き出した。胎の奥へ流れ込んでくる熱い種の味に、レネは舌を舐めて喜んだ。
それきりで終わる筈もなく、夜が更けるまで男達はレネと絡み、愛し合っていた。
夜明けまであと数刻。一目から隠れた遠い土地の大きな屋敷。その地下深くに祀られた祭壇には一糸纏わぬ青年の姿があった。
「……お父様、用って、なに……?」
体中に情交の痕を色濃く残し、気怠げな様子に艶を持ったレネは可愛い男達との戯れの後、父の呼び声を聞いた。
父の住まう屋敷から遠く離れた町にいても、彼らがその声を聞き逃すことはない。父から与えられた力を使えば瞬時に屋敷へ帰ってこれる。
しんと静まった部屋の中に風が起きる。地下という閉鎖空間に不自然に起きたそれはレネの父たる邪神の声だ。眠たげなレネに気を使い、地響きは避けた親心だった。
「…………食べたい男を見つけたの? そんなの姉さんに頼めばいいのに……姉さんならどんな男も虜に出来るでしょ」
風が起きる。レネの頬を擽り、髪を優しく撫でていく。
「……信心深くて真面目な神父。清廉潔白。ふぅん、僕好み」
風が起きる。レネの耳にひそやかに囁く。
「…………女はダメなんだ。ふぅん」
苦悩している。弱っている。それでも信徒の理想の聖者であり続けようと必死に抗っている。
続く囁きに「美味そうだ」とレネが笑う。すっかり目は覚めていた。
「そんな男が僕に堕ちて。お父様へ毎日毎日欠かさずに祈りを捧げる」
風が起きた。少し強く。
「神の愛を語った口で僕への愛とお父様への信心を語るんだよ」
小刻みな風が吹く。笑っている。
「そして死んだら僕と一緒に貴方の腹へ還るんだ」
最早迷うこともなく、レネは次の仕事を始めることにした。片田舎の教会で布教に励む年若い神父。彼を喰うのだ。
レネの一生をかけて味付けされた人間を喰らう。それが父の楽しみなのだから。
レネの体が闇に包まれる。一瞬で祭壇から姿を消し、そこにはただ邪神が残った。
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遠く離れていても聞こえる父の言葉に、レネは小さく頷いた。
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