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秋田内陸縦貫鉄道(秋田内陸線)
秋田美人を思わせるアテンダントさん
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代行バスが阿仁合に着いた時に少しでも良い席をと列車に急いで乗り換えた。その時列車に乗る時に迎えてくれた秋田美人を思わせる女性の車内アテンダントさんにより、素朴な感じのローカル線に急に華やかさが加わり何だかとても新鮮な気分となった。そして乗り鉄には最良の窓側進行方向でしかも阿仁川の流れが望める良い席が取れた。
阿仁合駅を出発すると列車は阿仁川に沿って秋田杉などの山林を縫うように山を登って行く。車窓から阿仁川をよく見ると川底まで見える程でいわゆる清流を見ながら旅が出来る。阿仁川に架かる大又川橋梁を渡り川の車窓が反対側に変わると、それにつられて空いている反対側のボックスシートに移動したくらい清流に惹きつけられた。特にその大又川橋梁と阿仁川の支流比立内川に架かる比立内橋梁と高い鉄橋から見る渓谷は圧巻で車窓を楽しんで貰おうと鉄橋を渡っている時列車は速度を落としてくれた。いずれも内陸線の人気のカメラスポットでもある。今回乗り合わせた女性のアテンダントさんの車窓や沿線のガイドもとても丁寧で秋田美人を思わせるような女性の声と山を登って行く汽車の力強いディーゼルエンジン音をBGMに聴きながらの贅沢な旅がしばらく続いて行く。今回乗った急行「もりよし」は通過するが途中の駅で「笑内(オカシナイ)」急行「もりよし」も停車する「比立内(ヒタチナイ)」とあるが「ナイ」というのはアイヌ語で「洪水などをあまり起こさない流れが緩やかで穏やかな川」という意味がある。地図で見てもこの辺りの「内」の付く地名が多いのも昔から地元の方々にとって清流が生み出す風景や水の恵みそしてこの辺りでよく釣れる鮎、イワナ、ヤマメの川魚などの自然の恵みは生活に欠かせないものである事をよく表しているようにも思える。生活までは到底及ばずとも我々旅人にとってもこの辺りの旅の情緒には欠かせない。
また「笑内」駅名のから笑顔のニコちゃんマークが焼印されチーズを白餡で包んだ独特の締まった味のする笑内饅頭も内陸線の名物にもなっている。
比立内を出て比立内橋梁を渡り列車は阿仁川の支流打当(うっとう)川沿いと山里の中を阿仁地方から仙北地方(角館方面)へ抜ける十二段トンネルまで登っていく。引き続き清流やその周りに広がる雪化粧した山林のみならず水田のような雪による真っ白なスペースにも惹かれる。この辺りは運転席の前から延びる線路とその周りに広がる車窓が特に楽しめる。
トンネルの手前にある阿仁マタギ駅。「マタギ」という駅名が使われている。駅のホームにはマタギの木像が立てられていた。急行「もりよし」も停車して阿仁マタギ駅から2 km 程離れたマタギの湯とも言われている打当温泉の隣にある、マタギ資料館に立ち寄りマタギの方々のお話を伺うツアーや、マタギの活動を体験出来るツアーに参加するだけでもマタギについて知るきっかけになるだろう。この辺りは「狩猟」を専業としていたマタギの生活習慣が今でも残っているという。「狩猟」を専業から思い浮かぶのはアメリカのインディアンや北海道を中心としたアイヌのような狩猟民族であるが、彼らは自然界からの獲物にあたる動植物を自然の恵みとして感謝しそれにより自然を大切にする心が自然に生まれてくるような話を聞いたことある。阿仁合から阿仁マタギ、十二段トンネルの阿仁合側入り口まで阿仁川やその支流の打当川の清流とその周辺に広がる緑の美しい自然の車窓も自然の恵みに感謝する心を持つマタギ達によって今日まで残されて来たのか?
阿仁マタギを出発すると列車はカーブを描きながら、マタギの山里を抜けて山に向かい列車は秋田県最長5697mの十二段トンネルに入って行く。トンネルに入ってしばらくして後方阿仁合側の入口の光が見えなくなると列車は登りから下りに入る。力強いエンジンの音からレールの繋ぎ目が殆どない長いトンネルを角館側に出てからは、レールの繋ぎ目を気持ち良さそうに踏むスピーディーな音へと変わって行った。列車がスピーディーでしかも車内販売や乗客の記念撮影案内など、他のお仕事を抱えてられているのにも関わらず引き続きアテンダントさんの丁寧な沿線ガイドは続いた。
上桧木内駅から徒歩7分くらいの降り積もった雪が広がる紙風船広場では、毎年2月10日に武者画や美人画などが描かれていたり、願い事などが書かれたりする灯火の紙風船が100個くらい真冬の夜空に舞い上がる紙風船上げが行なわれる。 灯火に照らされた夜空と白い雪の中で見る灯火の風船はとても幻想的なように思える。
松葉駅は内陸線の中では日本一深く真冬でも凍らない湖田沢湖(最大水深423m)に鉄道の中では最も近く、地図上の距離では秋田新幹線も止まるJR田沢湖駅よりも近い。その田沢湖から見上げるように聳えるのが先述した秋田駒ケ岳(標高1637m)である。有名なたつこ像など田沢湖畔や乳頭温泉郷にもタクシーにしては料金が安い周遊タクシー(要予約)も運転されている。内陸線と乳頭温泉の旅も素敵ではないかと思う。
八津駅では周辺にて列車から(線路沿い)にも咲くので車窓からも眺められると思うが、全国的に有名な東京ドーム約4個分のカタクリの自生群生地もあり、毎年4月中旬~5月上旬が見頃でゴールデンウィークを中心に全国各地から多くの見物客が訪れるという。また丹波と養老(岐阜県)の栗を配合した赤ちゃんの拳くらいの大きさもある大粒の栗(西明寺栗)でも有名で、列車からも立派な栗の木が何本も見られ「カタクリ」ともかけてまさに「クリ」の駅である。
終点の角館はみちのくの小京都と言われる武家屋敷の街並みで有名である。その武家屋敷の一角で地元にて伝わる「昔話」が聴けるという。「昔話」は上越線・飯山線の章でも記している「おばすてやま」のように、話を通じて昔から地元に伝わる生きるための教訓などが読み取れると思うので、出来るだけ時間を作り一話でも聴いておきたいものだ。
それらの丁寧なガイドのお陰もあり終点の角館まで飽きずにかつ、ローカル線の旅で終点に近づくとよくテンションが下がるのだが今回はそれはなく最後まで汽車の旅を楽しめた。沿線にマタギの文化が残る程の美しい自然による雪景色のみならず、最初に乗り合わせたアテンダントさん丁寧なガイドの影響もありまた内陸線に乗りたいと思えた。鉄道に限らず飲食店などでお客様にもう一度行きたいと思わせるような接客、また仕事やプライベートでの人間関係でももう一度あの人に会いたいと思わせるくらいの接し方と、人と接する時に真心を込める事によりポジティブな印象を持って貰う事の大切さを改めて痛感した。確かに人それぞれの好みや相性に逆らうのは不可能に近く、全ての方々に対しては難しい。
でも
「捨てる神あれば拾う神あり」
ということわざもあるが、ありのままに近い自分でも真心を込めて接していれば、それを理解してくれる方が誰かしらおられるという事を、私もその辺を改めて反省した。
阿仁合駅を出発すると列車は阿仁川に沿って秋田杉などの山林を縫うように山を登って行く。車窓から阿仁川をよく見ると川底まで見える程でいわゆる清流を見ながら旅が出来る。阿仁川に架かる大又川橋梁を渡り川の車窓が反対側に変わると、それにつられて空いている反対側のボックスシートに移動したくらい清流に惹きつけられた。特にその大又川橋梁と阿仁川の支流比立内川に架かる比立内橋梁と高い鉄橋から見る渓谷は圧巻で車窓を楽しんで貰おうと鉄橋を渡っている時列車は速度を落としてくれた。いずれも内陸線の人気のカメラスポットでもある。今回乗り合わせた女性のアテンダントさんの車窓や沿線のガイドもとても丁寧で秋田美人を思わせるような女性の声と山を登って行く汽車の力強いディーゼルエンジン音をBGMに聴きながらの贅沢な旅がしばらく続いて行く。今回乗った急行「もりよし」は通過するが途中の駅で「笑内(オカシナイ)」急行「もりよし」も停車する「比立内(ヒタチナイ)」とあるが「ナイ」というのはアイヌ語で「洪水などをあまり起こさない流れが緩やかで穏やかな川」という意味がある。地図で見てもこの辺りの「内」の付く地名が多いのも昔から地元の方々にとって清流が生み出す風景や水の恵みそしてこの辺りでよく釣れる鮎、イワナ、ヤマメの川魚などの自然の恵みは生活に欠かせないものである事をよく表しているようにも思える。生活までは到底及ばずとも我々旅人にとってもこの辺りの旅の情緒には欠かせない。
また「笑内」駅名のから笑顔のニコちゃんマークが焼印されチーズを白餡で包んだ独特の締まった味のする笑内饅頭も内陸線の名物にもなっている。
比立内を出て比立内橋梁を渡り列車は阿仁川の支流打当(うっとう)川沿いと山里の中を阿仁地方から仙北地方(角館方面)へ抜ける十二段トンネルまで登っていく。引き続き清流やその周りに広がる雪化粧した山林のみならず水田のような雪による真っ白なスペースにも惹かれる。この辺りは運転席の前から延びる線路とその周りに広がる車窓が特に楽しめる。
トンネルの手前にある阿仁マタギ駅。「マタギ」という駅名が使われている。駅のホームにはマタギの木像が立てられていた。急行「もりよし」も停車して阿仁マタギ駅から2 km 程離れたマタギの湯とも言われている打当温泉の隣にある、マタギ資料館に立ち寄りマタギの方々のお話を伺うツアーや、マタギの活動を体験出来るツアーに参加するだけでもマタギについて知るきっかけになるだろう。この辺りは「狩猟」を専業としていたマタギの生活習慣が今でも残っているという。「狩猟」を専業から思い浮かぶのはアメリカのインディアンや北海道を中心としたアイヌのような狩猟民族であるが、彼らは自然界からの獲物にあたる動植物を自然の恵みとして感謝しそれにより自然を大切にする心が自然に生まれてくるような話を聞いたことある。阿仁合から阿仁マタギ、十二段トンネルの阿仁合側入り口まで阿仁川やその支流の打当川の清流とその周辺に広がる緑の美しい自然の車窓も自然の恵みに感謝する心を持つマタギ達によって今日まで残されて来たのか?
阿仁マタギを出発すると列車はカーブを描きながら、マタギの山里を抜けて山に向かい列車は秋田県最長5697mの十二段トンネルに入って行く。トンネルに入ってしばらくして後方阿仁合側の入口の光が見えなくなると列車は登りから下りに入る。力強いエンジンの音からレールの繋ぎ目が殆どない長いトンネルを角館側に出てからは、レールの繋ぎ目を気持ち良さそうに踏むスピーディーな音へと変わって行った。列車がスピーディーでしかも車内販売や乗客の記念撮影案内など、他のお仕事を抱えてられているのにも関わらず引き続きアテンダントさんの丁寧な沿線ガイドは続いた。
上桧木内駅から徒歩7分くらいの降り積もった雪が広がる紙風船広場では、毎年2月10日に武者画や美人画などが描かれていたり、願い事などが書かれたりする灯火の紙風船が100個くらい真冬の夜空に舞い上がる紙風船上げが行なわれる。 灯火に照らされた夜空と白い雪の中で見る灯火の風船はとても幻想的なように思える。
松葉駅は内陸線の中では日本一深く真冬でも凍らない湖田沢湖(最大水深423m)に鉄道の中では最も近く、地図上の距離では秋田新幹線も止まるJR田沢湖駅よりも近い。その田沢湖から見上げるように聳えるのが先述した秋田駒ケ岳(標高1637m)である。有名なたつこ像など田沢湖畔や乳頭温泉郷にもタクシーにしては料金が安い周遊タクシー(要予約)も運転されている。内陸線と乳頭温泉の旅も素敵ではないかと思う。
八津駅では周辺にて列車から(線路沿い)にも咲くので車窓からも眺められると思うが、全国的に有名な東京ドーム約4個分のカタクリの自生群生地もあり、毎年4月中旬~5月上旬が見頃でゴールデンウィークを中心に全国各地から多くの見物客が訪れるという。また丹波と養老(岐阜県)の栗を配合した赤ちゃんの拳くらいの大きさもある大粒の栗(西明寺栗)でも有名で、列車からも立派な栗の木が何本も見られ「カタクリ」ともかけてまさに「クリ」の駅である。
終点の角館はみちのくの小京都と言われる武家屋敷の街並みで有名である。その武家屋敷の一角で地元にて伝わる「昔話」が聴けるという。「昔話」は上越線・飯山線の章でも記している「おばすてやま」のように、話を通じて昔から地元に伝わる生きるための教訓などが読み取れると思うので、出来るだけ時間を作り一話でも聴いておきたいものだ。
それらの丁寧なガイドのお陰もあり終点の角館まで飽きずにかつ、ローカル線の旅で終点に近づくとよくテンションが下がるのだが今回はそれはなく最後まで汽車の旅を楽しめた。沿線にマタギの文化が残る程の美しい自然による雪景色のみならず、最初に乗り合わせたアテンダントさん丁寧なガイドの影響もありまた内陸線に乗りたいと思えた。鉄道に限らず飲食店などでお客様にもう一度行きたいと思わせるような接客、また仕事やプライベートでの人間関係でももう一度あの人に会いたいと思わせるくらいの接し方と、人と接する時に真心を込める事によりポジティブな印象を持って貰う事の大切さを改めて痛感した。確かに人それぞれの好みや相性に逆らうのは不可能に近く、全ての方々に対しては難しい。
でも
「捨てる神あれば拾う神あり」
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