旅鉄からの手紙

山形新幹線

米沢～上杉家ゆかりの地～

米沢は上杉家米沢藩の城下町であった。上杉家と言えば戦国武将でおなじみの上杉謙信公であるが、謙信公の後は上杉景勝公が跡を継ぐ。その時の家臣が２００９年ＮＨＫ大河ドラマの主人公でもある直江兼続公らであった。秀吉公による天下統一後越後から会津へと１００万石を超える広大な領地へと石高加増による国替えとなるが、関ヶ原の戦いで家康公に敵対した為に会津から米沢３０万石に減封された。減封による収入源を補うために新田開発などを行い内高５１万石まで増やしたという。少し遠目の山並みをバックに水田が広がる車窓からも上杉家のそのような歴史が伺える。

兼続公はじめとする米沢の方々の努力でも減封による財政難は代々解消せず、江戸時代中期の藩主上杉鷹山公が財政や産業に明るい人材の登用、自らも含めた領地全体の倹約、更なる新田開発、米沢織などの殖産興業など財政改革に努めることによって、領地を幕府に返上で米沢藩が破綻する危機を救った。また鷹山公は 

「為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人のなさぬ成りけり」

など現代にも通じる名言を残している。 

「国家人民の為に立たる君にて君の為に立たる国家人民にはこれ無く候」
（国家は人民の為にあり、人民は国家の為にあるのではない） 

の名言から封建社会と言われている江戸時代に、民主主義に近い考え方を持って政治を行っていた事には改めて感銘を覚える。江戸時代には米沢、会津、江戸の町も含めて全国のあちこちで民衆の心を掴む政治が行われたのも、２５０年以上も続いた大きな要因の一つに思えてならない。

山形県にも内陸部を中心にさくらんぼ、ぶとう、洋なし、りんごなどフルーツの産地があちこちにある事でも知られているが、米沢市の山形市よりの隣の高畠町でも高畠ワインで有名でワイナリーもあるくらい、米沢市や高畠町などある米沢盆地でもぶとうなどの栽培が盛んである。それが特に車窓からわかるのが赤湯駅を出て盆地を山形市に向かって抜けて山を登る時である。赤湯温泉を中心とした盆地の見晴らしのみならず山の斜面にも作られているぶどうなど果樹園の広がる眺めである。正に米沢盆地を代表する車窓の一つではないか。赤湯温泉は２０軒ほどの旅館と公衆浴場が赤湯駅からは２キロほど離れたところの市街地を中心に点在し、タクシーやバスなどでもアクセス出来るし開湯９００年以上を誇る湯加減も肌で感じてみたい。それらの絶景を後に列車は再び山あいに入る。