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磐越西線
会津の北方(喜多方)へ
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列車は会津若松を出発すると右手に磐梯山系の山々を望みながら、列車は屋号とのれんの町塩川に続いて、ラーメンでお馴染みの喜多方と通って行く。喜多方は会津盆地の北部に広がる町で「北方」から「喜多方」へと変わった。
お馴染みの喜多方ラーメンは札幌、博多と並んで日本三大ラーメンの一つに数えられている。昭和初期に日本に移住した中国人藩欽星(ばんきんせい)さんによって始められた。
彼は親戚のつてで当時喜多方市の近郊にあった加納鉱山に職を求めたが、力仕事が不向きで鉱山の仕事には定着せずに屋台を引いて中華蕎麦を売り始めた。やがて屋台で稼がれたお金でお店を構えるようになった。故郷に帰りたいと思う気持ちや、日中戦争勃発による中国人への差別などの逆境に負けるどころか、お腹空いている方に無料でラーメンを振る舞ったことも含めて地元に溶け込んで行った。それが喜多方ラーメンの始まりである。
行列が出来るお店もあちこちで見られる程全国的に有名になったのも、かつて喜多方の街で屋台を引いていた藩さんを始め、多くの方々が汗と涙と血を流したからであるのは言うまでもない。
豚骨とあっさりした醤油味がスープの基本であるが、お店によっては塩味や味噌味のスープもある。縮れたやや太い麺が特徴である。
具は食感の柔らかいチャーシューなどがとても良く合う。私のおすすめのお店はあるのだが、好みには個人差もあるしおすすめのお店の宣伝になってしまうのでここでは教えないでおく。地元の方やネットなどの口コミなどであらかじめチェックしてから、途中下車して召し上がると良いのではないか。但し駅から数キロ離れているお店も多いので駅からのアクセスは少々注意が必要だが、蔵の町である喜多方らしい落ち着いた街並みを散策しながらラーメンを味わえれば、それだけでも喜多方の旅を満喫出来る。また駅前から人気のあるラーメン屋も点在する市の中心部付近を廻る循環バスも出ている。
そもそも喜多方の街に蔵が多いのは、喜多方市は昔からお米やその地元のお米を原料とした地酒など特産品を取り扱った商売が盛んであったからであろう。かつて武士の方が多く住んでいて朱子学が盛んな会津若松市に対して、農民や商人や職人が多く住んでいた喜多方市では
「人の道から外れなければ財を成す(お金を儲ける)のは悪いことではなく正しいことである」
などの教えのある儒学者の一人であった中江藤樹氏の思想の影響を受けた藤樹学が浸透した。
「男四十にして蔵を建てずは一人前とは言えず」
と言われてきた程である。蔵は喜多方市内だけでも4,000戸程建てられており、商売用の倉庫のみならず、個人の書斎や近隣の住民同士の社交の場としても活用される。消費者金融などに借金をする以前に商人が出し合ったお金で商人同士が持ちつ持たれつの関係でお金を援助(相互扶助)する「無尽」など、喜多方の方々は独り勝ちではなく皆で繁栄しようとする。いかにも儒学を基にした精神を大切にする会津地方らしい。世界中にて一部の大国が独り勝ちの状態になっていることによって生じている、地球規模の資本主義経済や、温暖化対策の行き詰まりを打開するヒントにならないだろうか。
喜多方駅でも天候など条件が合えば磐梯山系と飯豊連峰と2つの名峰が120度くらいの差で同時に望める。喜多方駅も含めて磐越西線から見えるそれら2つの名峰には何だかそれぞれ違ったイメージを持つ。磐梯山は猪苗代湖の辺りから喜多方を含めた会津盆地からわりと近めに堂々と聳えるのがハッキリ望めて男性的なのに対して、飯豊連峰は盆地の周りの山あいのさらに奥に十二単衣をきた貴婦人のように幾つかの山を連ねて奥床しい感じに聳えているように見えて何処か女性的な雰囲気を持つ。
お馴染みの喜多方ラーメンは札幌、博多と並んで日本三大ラーメンの一つに数えられている。昭和初期に日本に移住した中国人藩欽星(ばんきんせい)さんによって始められた。
彼は親戚のつてで当時喜多方市の近郊にあった加納鉱山に職を求めたが、力仕事が不向きで鉱山の仕事には定着せずに屋台を引いて中華蕎麦を売り始めた。やがて屋台で稼がれたお金でお店を構えるようになった。故郷に帰りたいと思う気持ちや、日中戦争勃発による中国人への差別などの逆境に負けるどころか、お腹空いている方に無料でラーメンを振る舞ったことも含めて地元に溶け込んで行った。それが喜多方ラーメンの始まりである。
行列が出来るお店もあちこちで見られる程全国的に有名になったのも、かつて喜多方の街で屋台を引いていた藩さんを始め、多くの方々が汗と涙と血を流したからであるのは言うまでもない。
豚骨とあっさりした醤油味がスープの基本であるが、お店によっては塩味や味噌味のスープもある。縮れたやや太い麺が特徴である。
具は食感の柔らかいチャーシューなどがとても良く合う。私のおすすめのお店はあるのだが、好みには個人差もあるしおすすめのお店の宣伝になってしまうのでここでは教えないでおく。地元の方やネットなどの口コミなどであらかじめチェックしてから、途中下車して召し上がると良いのではないか。但し駅から数キロ離れているお店も多いので駅からのアクセスは少々注意が必要だが、蔵の町である喜多方らしい落ち着いた街並みを散策しながらラーメンを味わえれば、それだけでも喜多方の旅を満喫出来る。また駅前から人気のあるラーメン屋も点在する市の中心部付近を廻る循環バスも出ている。
そもそも喜多方の街に蔵が多いのは、喜多方市は昔からお米やその地元のお米を原料とした地酒など特産品を取り扱った商売が盛んであったからであろう。かつて武士の方が多く住んでいて朱子学が盛んな会津若松市に対して、農民や商人や職人が多く住んでいた喜多方市では
「人の道から外れなければ財を成す(お金を儲ける)のは悪いことではなく正しいことである」
などの教えのある儒学者の一人であった中江藤樹氏の思想の影響を受けた藤樹学が浸透した。
「男四十にして蔵を建てずは一人前とは言えず」
と言われてきた程である。蔵は喜多方市内だけでも4,000戸程建てられており、商売用の倉庫のみならず、個人の書斎や近隣の住民同士の社交の場としても活用される。消費者金融などに借金をする以前に商人が出し合ったお金で商人同士が持ちつ持たれつの関係でお金を援助(相互扶助)する「無尽」など、喜多方の方々は独り勝ちではなく皆で繁栄しようとする。いかにも儒学を基にした精神を大切にする会津地方らしい。世界中にて一部の大国が独り勝ちの状態になっていることによって生じている、地球規模の資本主義経済や、温暖化対策の行き詰まりを打開するヒントにならないだろうか。
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