旅鉄からの手紙

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肥薩線

韓国岳〜静寂な山登り〜

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霧島連山を列車から見てそれらの絶景にも感動した翌年の、九州をツーリング旅をした時に、昔の火口に雨水などが溜まってできた大浪池まで歩いて行った。緑に囲まれた青い大浪池から見た緑の台形の上2つの角を丸くした連山最高峰の韓国岳(標高1,700m)は印象に残っていていつか登ってみたいと思っていた。

あれからさらに20年くらい後に鹿児島県を一人旅した時にようやく韓国岳に登頂できた。登山口から大浪池までは30分足らずで、大浪池から韓国岳までは1時間半くらいで登れた。ミヤマキリシマが見頃を迎えるだろう1ヶ月ちょい前でまだ枯れ木の状態ではあったが、快晴で暖かい上に平日で人が少なかった。山頂からは直径900m、深さ300mのクレーターや鍋にも見える韓国岳の火口跡が覗ける。黒や茶色っぽい溶岩などの中に黄緑色の若い草が点在していた。阿蘇山などとは違って噴煙は上げておらず大浪池とは違って水は溜まっていなかったが雨が降り続けると底に池ができるという。人は少なく韓国岳など霧島連山の麓に鹿児島空港があるからなのか、飛行機やヘリコプター以外の音がよく聞こえる時以外は静寂な空気を味わえた。静寂な空気に包まれた日本百名山の山頂から見た、その大きいお釜のような火口やその向こうに見える盆地、大浪池やいくつかの池も点在するえびの高原や、噴煙を上げる新燃岳や、その後ろに見える国家の安定の為に山頂付近の地面に刺されたと言われている天の逆鉾で有名な高千穂峰などの眺めは格別であった。

「テレビで時々放送されるシーズンオフの人が少ない北アルプスの一つの山の山頂で味わえそうな静寂な空気も恐らくそのような感じ、いや飛行機などの音もあまり聞こえないからそれ以上なのかな?」

と思えた。ほとんど一人で何時間も静寂な空気を味わったのみならず、下山後に思わず麓の霧島神宮にお礼参りに行ってしまう程韓国岳山頂では贅沢な時間を過ごせた。
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