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小海線(高原列車)
信濃川上~高原野菜の産地より~
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野辺山駅を出発して、もしばらく高原野菜畑や牧場などどこか日本離れした広大な景色が続くなかで、八ヶ岳の見える位置が次第に列車の後方になって行く。八ヶ岳の山々が見えなくなると列車は再び森のトンネルに入る。八ヶ岳山麓ではなく今度は文字通り甲州(山梨県)武蔵(埼玉県)信州(長野県)の3つの県境に聳える標高2475mの甲武信ヶ岳など関東山地の関東地方とは反対側の麓に入り、山の中をカーブも描きながら下っていく。関東方面から山梨県もしくは群馬県を経由してはるばると信州に来たのに、山を一つ越えたらまた直ぐに関東地方って何だか変な感じもする。
野辺山を出発して10分くらいで信濃川上に着く。駅のある川上村は文字通り日本一長い川千曲川(信濃川)の源流がある。駅から少し歩くだけでも千曲川の上流も見える。川上村は野辺山(南牧村)と同様に高原野菜の栽培が盛んである。信濃川上の近くでも列車からよく見ると少し遠くに畑が広がっている。学生時代にバイクで埼玉県秩父地方から林道で、甲武信ヶ岳から10キロくらい離れた三国峠を越え川上村を通った時は、まるで本州から北海道に来たような景色の変化に驚いた。高原野菜作りも繁盛すれば年収1千万を超え、川上村が平均年収2500万円の農村という景気の良い話を聞く。レタスなど収穫の最盛期を迎える7~8月頃には早朝から深夜までの過酷な長時間労働は欠かせないという。私も学生時代インターンシップでレタス農家ではないが農業を従事されている方々に2週間程お世話になった事があるが、朝から晩まで働き通しで休日もなく田舎の長閑な景色を味わう余裕が殆ど無かったのを覚えている。当然人手も必要となりかつては都会などに住む若者もアルバイトなどで来ていたが、あまりの過酷さと低賃金で日本人はあまり集まらなくなり代わりに「外国人研修生」として中国、フィリピン、インドネシアなどの東南アジアの方々に来ていただいているという。彼らの故郷である国や地域にて月に数万円程度でしか稼げない場合、日本人にとって低賃金の所でも日本で立派に勤めを果たしてお給料もいただき無事に帰れれば、彼らは故郷ではお金持ちになれる。しかし我々日本人同士でも生まれ育った環境や価値観の違いなどで悩む、職場の人間関係は当然彼らにもついて来る。彼らの場合はそれだけではなく言葉など文化の違いの壁や、故郷の家族や友人から離れる寂しさなどを克服せねばならない。
それに日本人によるパワハラや賃金の未払いなど、国籍の違いによる差別が加わり挫折することもよくあると聞く。川上村の農家でこうした挫折があったと私は聞いた訳ではない。低賃金で重労働の環境に置かれがちな仕事にて、人手不足により外国人労働者を雇っているのはもちろん川上村の高原野菜の農家のみではない。近年日本政府が少子高齢化による人手不足の解消にと外国人労働者の受け入れ拡大を図るなかで、こうした彼らの挫折の話を聞くだけでも、日本社会は全体的に外国人労働者を受け入れる準備がまだまだできていないように思える。
日本人にとって低賃金で重労働の環境にも関わらず、しっかり働いている方々に対して大いに感謝をしなければならないのと同時に稼ぎと労働量のバランスだけでも
「世の中は不公平である」
と改めて感じる。
野辺山を出発して10分くらいで信濃川上に着く。駅のある川上村は文字通り日本一長い川千曲川(信濃川)の源流がある。駅から少し歩くだけでも千曲川の上流も見える。川上村は野辺山(南牧村)と同様に高原野菜の栽培が盛んである。信濃川上の近くでも列車からよく見ると少し遠くに畑が広がっている。学生時代にバイクで埼玉県秩父地方から林道で、甲武信ヶ岳から10キロくらい離れた三国峠を越え川上村を通った時は、まるで本州から北海道に来たような景色の変化に驚いた。高原野菜作りも繁盛すれば年収1千万を超え、川上村が平均年収2500万円の農村という景気の良い話を聞く。レタスなど収穫の最盛期を迎える7~8月頃には早朝から深夜までの過酷な長時間労働は欠かせないという。私も学生時代インターンシップでレタス農家ではないが農業を従事されている方々に2週間程お世話になった事があるが、朝から晩まで働き通しで休日もなく田舎の長閑な景色を味わう余裕が殆ど無かったのを覚えている。当然人手も必要となりかつては都会などに住む若者もアルバイトなどで来ていたが、あまりの過酷さと低賃金で日本人はあまり集まらなくなり代わりに「外国人研修生」として中国、フィリピン、インドネシアなどの東南アジアの方々に来ていただいているという。彼らの故郷である国や地域にて月に数万円程度でしか稼げない場合、日本人にとって低賃金の所でも日本で立派に勤めを果たしてお給料もいただき無事に帰れれば、彼らは故郷ではお金持ちになれる。しかし我々日本人同士でも生まれ育った環境や価値観の違いなどで悩む、職場の人間関係は当然彼らにもついて来る。彼らの場合はそれだけではなく言葉など文化の違いの壁や、故郷の家族や友人から離れる寂しさなどを克服せねばならない。
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