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黒部峡谷鉄道と黒部ダム
黒部峡谷鉄道
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7時半くらいに宇奈月温泉駅を出発する一番電車に乗った。朝早いのに駅前の駐車場は既に半分以上は埋まっていた。やはり紅葉の時期だからであろう。少々寝不足気味ではあり、しかも少し寒かったけれど、朝早い風が入ってくるトロッコ列車はやはり清々しい。地元富山県出身の女優室井滋さんによる、車窓や沿線の見どころなどのガイドを録音したナレーションと共に旅は進んでいく。そのナレーションの一部の
「黒部峡谷鉄道は黒部川の水で(水力発電により)動いている」
を黒部川を眺めながら聞くだけでも何だか不思議な気分になる。黒部峡谷鉄道は元々は冬場に雪の量がとてつもなく多い、立山連峰や白馬岳、鹿島槍ヶ岳、鷲羽岳など北アルプスの山々からの雪解け水などで、水量が豊富な黒部川での水力発電所の開発のための資材運搬用に作られた。雪が積もる時期を避けた4月から11月までの運行する。発電所やダムは一年中稼働しているので、列車が運休となる冬の間も泊まり込みの勤務がある。その冬に備えてに大量の日用品や保存できる食糧が、11月下旬から12月上旬頃に貨車によって運ばれる。冬に入り列車が運休となると、生鮮食料品、業務書類、新聞などは逓送(ていそう)さんが線路とほぼ平行に続く雪避けのトンネルを歩いてくぐって運ぶという。雪を避ける為の雪除けのトンネルは、列車からもあちこちでよく見られる。機関車2両に窓のないトロッコの普通車両と、窓のついたリラックス客車と特別客車の3種類とある。それらの列車のメンテナンスは運休する冬場によく行われるという。レール幅も険しい渓谷であまり場所が取れないために 762mmで、鉄道でよく使われている標準軌(1435mm)や狭軌(1067mm)よりも狭く、先述した機関車や各客車も小さく、まるで遊園地のアトラクションに乗っているような気分にもなる。
宇奈月温泉の街並みも望める鉄橋を渡って、列車は黒部川の流れる峡谷を登っていく。その鉄橋は列車の渡る音が、やまびこのように温泉街に響くことから「やまびこ橋」と名付けられたという。
黒部川に対して線路とは反対側に、宇奈月温泉で使われる湯のパイプが見られる。宇奈月温泉は富山県では規模は最大であるが、宇奈月温泉から見て黒部川の上流にある黒薙温泉が源泉である。温泉を引くために7?にも及ぶパイプが使われているのも全国的に珍しいという。湯量が豊富なのも水量が豊富な黒部川沿いらしいとも言える。
規模が小さめながら、ヨーロッパのお城を思わせる古い洋風建築の新柳河原発電所もある宇奈月ダムを過ぎて、列車が森石橋を渡ると中部山岳国立公園に入って行き、車窓は更に美しさを増して行く。列車が黒部川本流から外れて支流の黒薙川に沿う辺りは、山深く手付かずの自然が残り、特に黒薙川を渡る後曳橋は黒部峡谷鉄道の列車旅のハイライトの一つともいえる。後曳の名は昔の旅人があまりの険しさに後退りしたところから付けられたという。それも豊富な雪解け水が地面を削ることにより作られた峡谷の深さを表している。列車は先述したように宇奈月温泉の源泉である黒薙温泉に山道を歩いて約15分で行ける黒薙駅に到着する。黒薙温泉の旅館でも内風呂と露天風呂が男女別で完備されているらしいし、立ち寄ってみたい温泉の一つである。黒薙温泉も含めて歩き以外では黒部峡谷鉄道でしかアクセス出来ない温泉はいくつかあり、いずれも峡谷ならでは秘境の湯(秘湯)の雰囲気が味わえるという。黒薙駅引き続きエメラルドグリーンの水面や、川沿いの山々や森林と峡谷の景観が楽しめる。途中で通過か列車の行き違いでのみで停車する笹平駅、出平駅も含めて始点の宇奈月、黒薙、鐘釣、欅平以外の駅では、工事など発電所やダムに関係される方々以外は乗車と下車出来ない。列車は更に登って行くに連れてトンネル区間も増えてくるが、真夏でもトンネルの中はひんやりとして涼みにもとてもよく、わりとよく冷え込む新緑や紅葉の時期などには風よけにもなる。その新緑や紅葉の時期などにはよく雪化粧している高い山も顔を出すようになる。
実は、あの弾丸日帰り旅よりも以前に一度だけ黒部峡谷鉄道に乗ったことがあるが、その時は釣鐘駅近くの山荘で渓谷を眺めながら、コーヒーを飲んだり、畳で寝っ転たりと贅沢な時間を過ごした。
鐘釣駅を出発すると、列車は終点欅平駅に向かって行く。トンネル区間も更に増えて、それだけでも険しい山奥に来ている気がする。
釣鐘駅から20分程で終点欅平駅に到着する。
「黒部峡谷鉄道は黒部川の水で(水力発電により)動いている」
を黒部川を眺めながら聞くだけでも何だか不思議な気分になる。黒部峡谷鉄道は元々は冬場に雪の量がとてつもなく多い、立山連峰や白馬岳、鹿島槍ヶ岳、鷲羽岳など北アルプスの山々からの雪解け水などで、水量が豊富な黒部川での水力発電所の開発のための資材運搬用に作られた。雪が積もる時期を避けた4月から11月までの運行する。発電所やダムは一年中稼働しているので、列車が運休となる冬の間も泊まり込みの勤務がある。その冬に備えてに大量の日用品や保存できる食糧が、11月下旬から12月上旬頃に貨車によって運ばれる。冬に入り列車が運休となると、生鮮食料品、業務書類、新聞などは逓送(ていそう)さんが線路とほぼ平行に続く雪避けのトンネルを歩いてくぐって運ぶという。雪を避ける為の雪除けのトンネルは、列車からもあちこちでよく見られる。機関車2両に窓のないトロッコの普通車両と、窓のついたリラックス客車と特別客車の3種類とある。それらの列車のメンテナンスは運休する冬場によく行われるという。レール幅も険しい渓谷であまり場所が取れないために 762mmで、鉄道でよく使われている標準軌(1435mm)や狭軌(1067mm)よりも狭く、先述した機関車や各客車も小さく、まるで遊園地のアトラクションに乗っているような気分にもなる。
宇奈月温泉の街並みも望める鉄橋を渡って、列車は黒部川の流れる峡谷を登っていく。その鉄橋は列車の渡る音が、やまびこのように温泉街に響くことから「やまびこ橋」と名付けられたという。
黒部川に対して線路とは反対側に、宇奈月温泉で使われる湯のパイプが見られる。宇奈月温泉は富山県では規模は最大であるが、宇奈月温泉から見て黒部川の上流にある黒薙温泉が源泉である。温泉を引くために7?にも及ぶパイプが使われているのも全国的に珍しいという。湯量が豊富なのも水量が豊富な黒部川沿いらしいとも言える。
規模が小さめながら、ヨーロッパのお城を思わせる古い洋風建築の新柳河原発電所もある宇奈月ダムを過ぎて、列車が森石橋を渡ると中部山岳国立公園に入って行き、車窓は更に美しさを増して行く。列車が黒部川本流から外れて支流の黒薙川に沿う辺りは、山深く手付かずの自然が残り、特に黒薙川を渡る後曳橋は黒部峡谷鉄道の列車旅のハイライトの一つともいえる。後曳の名は昔の旅人があまりの険しさに後退りしたところから付けられたという。それも豊富な雪解け水が地面を削ることにより作られた峡谷の深さを表している。列車は先述したように宇奈月温泉の源泉である黒薙温泉に山道を歩いて約15分で行ける黒薙駅に到着する。黒薙温泉の旅館でも内風呂と露天風呂が男女別で完備されているらしいし、立ち寄ってみたい温泉の一つである。黒薙温泉も含めて歩き以外では黒部峡谷鉄道でしかアクセス出来ない温泉はいくつかあり、いずれも峡谷ならでは秘境の湯(秘湯)の雰囲気が味わえるという。黒薙駅引き続きエメラルドグリーンの水面や、川沿いの山々や森林と峡谷の景観が楽しめる。途中で通過か列車の行き違いでのみで停車する笹平駅、出平駅も含めて始点の宇奈月、黒薙、鐘釣、欅平以外の駅では、工事など発電所やダムに関係される方々以外は乗車と下車出来ない。列車は更に登って行くに連れてトンネル区間も増えてくるが、真夏でもトンネルの中はひんやりとして涼みにもとてもよく、わりとよく冷え込む新緑や紅葉の時期などには風よけにもなる。その新緑や紅葉の時期などにはよく雪化粧している高い山も顔を出すようになる。
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