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山陰本線
山陰本線のハイライト~山陰海岸・餘部鉄橋~
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私にとって豊岡と言えば生まれて初めて山陰本線と出会った場所である。旧JR宮津線の終点は豊岡駅であり、先述したように乗り鉄の従兄とJR宮津線から山陰本線を走る米子行の普通列車に乗り換えた。これが私にとって初めて乗った山陰本線であった。
豊岡を出発して、さらに今では城崎温泉と改名されている城崎駅を出発すると、列車は西へカーブを描き鳥取方面へ向かう。トンネルも含めて山を抜けて、透明度が高く遠浅で夏には約50万人もの海水浴客で賑わう竹野浜海水浴場にも歩いて行ける竹野駅を出発すると、車窓から日本海が顔を出す。
いよいよ私にとっての山陰本線の汽車旅のハイライトゾーンに入る。
乗り鉄の従兄に連れて行って貰った時に、初めて乗った時の天気は曇りで海や空が白っぽいグレイ色に見えたけれど、海原や砂浜のみならず海面から顔を出す岩や岸壁がとても新鮮に映った。初めて山陰本線に乗って以来5回くらいディーゼルカーのエンジン音を聴きながらこの辺りの海、岩、山、川、集落や町
などバラエティーに富んだ車窓を楽しめたが、初めて楽しんだ時は、DD51に連結された客車に乗っていたので、DD51のエンジン音はあまり聞こえずに、「カタカタッ、ゴトン」という車輪のレールの繋ぎ目の音が聞こえ、エンジン音がよく聞こえるディーゼルカーや電車や自動車よりも静寂に近づいた状態で車窓を楽しめた。
この辺りの日本海に面して岩や岸壁そして海岸に迫る山々により入り組んだリアス式海岸は太古の昔の火山活動によるマグマが冷え固まった火山性の岩群が日本海からの冬を中心とした厳しい荒波や冷たくて強い季節風に侵食されるなどして形成されたと考えられている。但馬地方のリアス式海岸を主体とした日本海沿岸を但馬海岸という。
その但馬海岸のほぼ真ん中付近にある香住駅の次の鎧駅はリアス式海岸の入り江の中にある小さな漁港や日本海を見渡せる小高いところにある。ローカル情緒の溢れた無人駅でドラマやポスターのロケにも使われた事があるとも聞く。初めての鎧駅では列車の行き違いのみの停車で下り方面に見えたトンネルから列車が急に現われてびっくりした記憶がある。あれから20年くらいの間に私も2回途中下車をした事があるが、その2回ともに下の漁港までぷらっと歩いて行き、時間が少しだけ止まったような感覚を味わえた。
鎧駅を出発し4つトンネルを抜けると突然鉄橋を渡る轟音とともにほぼ真下に数十メートルの高さで飛んでいるような感じで集落が現れた。これが1912年(明治45年)に完成当時は東洋一高い鉄橋と言われた天下の余部鉄橋であった。鉄橋を初めて渡った後、初めての山陰本線の車窓は暗闇への変わって行った。
「日没まで(余部鉄橋を列車で)渡れて本当に良かった。」
と思えた。それ程山陰本線の旅は余部鉄橋なしでは語れないと個人的に思う。
長さ310.7mで高さ41.5mの鉄橋を渡ってすぐに無人駅である餘部駅がある。
初めて鉄橋を渡ってから4年後の、初めての泊まりの一人旅の時に鳥取砂丘へ行った後に、初めて餘部駅で途中下車をした。降りたホームから直ぐに鉄橋とその上に敷かれた線路さらに鉄橋の向こう側に山やトンネルそして日本海も見られた。無人駅の一本のホームから細い歩道を少し歩いて行くと鉄橋の下の集落に降りられた。下の集落から見上げたトレッスルと呼ばれる鋼材を台形状にやぐらのように組み上げた架台(うま)及びそれらに架かる橋桁も迫力あり芸術的であった。
「あさしお号」と「はまかぜ号」など細長い直方体が5個くらい連なったようなディーゼル特急が轟音を立てて鉄橋を通過する様子も見ることができた。
余部鉄橋を渡る列車の中では、初めての一人旅の翌年に再び訪れた時に、朝早く餘部駅からさらに少し上がった高台から見た、当時運行されていたDD51に牽かれたブルートレインで走っていた寝台特急「出雲」が鉄橋を渡っていたシーンが特に印象に残っている。特に白い雲の下に金色の文字で「出雲」と書かれていた丸いヘッドマークを付けたオレンジ色のディーゼル機関車が今でも鮮明に頭の中に浮かぶ。
鉄橋の完成が山陰本線の全線開通へ大きく前進させる程の難工事であり、完成まで約2年と少々で費用は今日に置き換えると約45億円で25万人くらいの工夫が動員されたという。1972年の山陽新幹線開通により伯備線など岡山などから中国山地を南北に横断する鉄道網が発達する前は主に関西地方さらに遠く離れた関東地方などのほかの地域と山陰地方各地とを結ぶ役割を細くも見えるたった1本の橋と11基の架台がほとんど担っていたのだ。
餘部駅を出発すると列車は再び山間を走り桃観トンネルに入る。全長1992mと明治時代に開通したトンネルとしては長く余部鉄橋からこの辺りは山陰本線の難所で海沿いに線路を通すのが難しい山陰海岸の複雑な地形を表していると言える。桃観トンネルを抜けて列車は久谷駅を通り浜坂駅に到着する。
浜坂と言って真っ先に思い浮かぶのが漁港。夏を中心に夜になると周辺の但馬海岸の車窓にもイカをおびき寄せる為のイカ漁船による漁火が元々暗闇である海に映える。夜でも漁火を見るために海沿いの小さな駅に途中下車したくなる。餘部駅の辺りで途中下車をした時と、竹野浜海水浴場の少し先で見たことある。まるで線香花火のようでこの辺り独特の夜景とも言える。
餘部駅で漁火を見た時は2005年の夏に隠岐の島へ旅に行った帰りであった。餘部駅の待合室で寝泊まりしようとしたが、蛾など明りに集まっている虫があまりにも多くとても寝泊まりできる状況ではなかった。仕方ないので浜坂駅に戻った。浜坂駅では最終列車の後でも翌午前一時くらいまで、地元のおじさん達と当時ニュースなどで話題になっていた郵政民営化の是非などについて世間話をしていた。浜坂駅の待合室は冷房も効いていたので、虫たちが入って来ないように閉め切っても暑くなく、ベンチで横になれて寝るのにも結構快適だったので、あの夜はそこで寝泊りをした。
ホタルイカと言えば私も含めて富山をイメージしがちだが、近年は浜坂の方が水揚げ量は多く日本一であるという。浜坂の漁港からは松葉ガニの漁でも有名である。
豊岡を出発して、さらに今では城崎温泉と改名されている城崎駅を出発すると、列車は西へカーブを描き鳥取方面へ向かう。トンネルも含めて山を抜けて、透明度が高く遠浅で夏には約50万人もの海水浴客で賑わう竹野浜海水浴場にも歩いて行ける竹野駅を出発すると、車窓から日本海が顔を出す。
いよいよ私にとっての山陰本線の汽車旅のハイライトゾーンに入る。
乗り鉄の従兄に連れて行って貰った時に、初めて乗った時の天気は曇りで海や空が白っぽいグレイ色に見えたけれど、海原や砂浜のみならず海面から顔を出す岩や岸壁がとても新鮮に映った。初めて山陰本線に乗って以来5回くらいディーゼルカーのエンジン音を聴きながらこの辺りの海、岩、山、川、集落や町
などバラエティーに富んだ車窓を楽しめたが、初めて楽しんだ時は、DD51に連結された客車に乗っていたので、DD51のエンジン音はあまり聞こえずに、「カタカタッ、ゴトン」という車輪のレールの繋ぎ目の音が聞こえ、エンジン音がよく聞こえるディーゼルカーや電車や自動車よりも静寂に近づいた状態で車窓を楽しめた。
この辺りの日本海に面して岩や岸壁そして海岸に迫る山々により入り組んだリアス式海岸は太古の昔の火山活動によるマグマが冷え固まった火山性の岩群が日本海からの冬を中心とした厳しい荒波や冷たくて強い季節風に侵食されるなどして形成されたと考えられている。但馬地方のリアス式海岸を主体とした日本海沿岸を但馬海岸という。
その但馬海岸のほぼ真ん中付近にある香住駅の次の鎧駅はリアス式海岸の入り江の中にある小さな漁港や日本海を見渡せる小高いところにある。ローカル情緒の溢れた無人駅でドラマやポスターのロケにも使われた事があるとも聞く。初めての鎧駅では列車の行き違いのみの停車で下り方面に見えたトンネルから列車が急に現われてびっくりした記憶がある。あれから20年くらいの間に私も2回途中下車をした事があるが、その2回ともに下の漁港までぷらっと歩いて行き、時間が少しだけ止まったような感覚を味わえた。
鎧駅を出発し4つトンネルを抜けると突然鉄橋を渡る轟音とともにほぼ真下に数十メートルの高さで飛んでいるような感じで集落が現れた。これが1912年(明治45年)に完成当時は東洋一高い鉄橋と言われた天下の余部鉄橋であった。鉄橋を初めて渡った後、初めての山陰本線の車窓は暗闇への変わって行った。
「日没まで(余部鉄橋を列車で)渡れて本当に良かった。」
と思えた。それ程山陰本線の旅は余部鉄橋なしでは語れないと個人的に思う。
長さ310.7mで高さ41.5mの鉄橋を渡ってすぐに無人駅である餘部駅がある。
初めて鉄橋を渡ってから4年後の、初めての泊まりの一人旅の時に鳥取砂丘へ行った後に、初めて餘部駅で途中下車をした。降りたホームから直ぐに鉄橋とその上に敷かれた線路さらに鉄橋の向こう側に山やトンネルそして日本海も見られた。無人駅の一本のホームから細い歩道を少し歩いて行くと鉄橋の下の集落に降りられた。下の集落から見上げたトレッスルと呼ばれる鋼材を台形状にやぐらのように組み上げた架台(うま)及びそれらに架かる橋桁も迫力あり芸術的であった。
「あさしお号」と「はまかぜ号」など細長い直方体が5個くらい連なったようなディーゼル特急が轟音を立てて鉄橋を通過する様子も見ることができた。
余部鉄橋を渡る列車の中では、初めての一人旅の翌年に再び訪れた時に、朝早く餘部駅からさらに少し上がった高台から見た、当時運行されていたDD51に牽かれたブルートレインで走っていた寝台特急「出雲」が鉄橋を渡っていたシーンが特に印象に残っている。特に白い雲の下に金色の文字で「出雲」と書かれていた丸いヘッドマークを付けたオレンジ色のディーゼル機関車が今でも鮮明に頭の中に浮かぶ。
鉄橋の完成が山陰本線の全線開通へ大きく前進させる程の難工事であり、完成まで約2年と少々で費用は今日に置き換えると約45億円で25万人くらいの工夫が動員されたという。1972年の山陽新幹線開通により伯備線など岡山などから中国山地を南北に横断する鉄道網が発達する前は主に関西地方さらに遠く離れた関東地方などのほかの地域と山陰地方各地とを結ぶ役割を細くも見えるたった1本の橋と11基の架台がほとんど担っていたのだ。
餘部駅を出発すると列車は再び山間を走り桃観トンネルに入る。全長1992mと明治時代に開通したトンネルとしては長く余部鉄橋からこの辺りは山陰本線の難所で海沿いに線路を通すのが難しい山陰海岸の複雑な地形を表していると言える。桃観トンネルを抜けて列車は久谷駅を通り浜坂駅に到着する。
浜坂と言って真っ先に思い浮かぶのが漁港。夏を中心に夜になると周辺の但馬海岸の車窓にもイカをおびき寄せる為のイカ漁船による漁火が元々暗闇である海に映える。夜でも漁火を見るために海沿いの小さな駅に途中下車したくなる。餘部駅の辺りで途中下車をした時と、竹野浜海水浴場の少し先で見たことある。まるで線香花火のようでこの辺り独特の夜景とも言える。
餘部駅で漁火を見た時は2005年の夏に隠岐の島へ旅に行った帰りであった。餘部駅の待合室で寝泊まりしようとしたが、蛾など明りに集まっている虫があまりにも多くとても寝泊まりできる状況ではなかった。仕方ないので浜坂駅に戻った。浜坂駅では最終列車の後でも翌午前一時くらいまで、地元のおじさん達と当時ニュースなどで話題になっていた郵政民営化の是非などについて世間話をしていた。浜坂駅の待合室は冷房も効いていたので、虫たちが入って来ないように閉め切っても暑くなく、ベンチで横になれて寝るのにも結構快適だったので、あの夜はそこで寝泊りをした。
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