5 / 87
日豊本線〜大分ー鹿児島〜
宗太郎越えへ〜渡り鳥たちのコースも〜
しおりを挟む
再び初めての九州への一人旅に戻る。大分から宮崎、鹿児島方面に向かう日豊本線に乗り換えた。私にとっての列車の旅での大きな楽しみの一つは、山越えであり日豊本線で難所の一つである大分と宮崎との県境の「宗太郎越」を通りたかった。
宗太郎と言えば人の名前で、地名の由来は江戸時代に岡藩に命じられてこの付近の管理に従事された洲本宗太郎氏に因んでいると言う。
この付近は殆どが大分県と宮崎県とを結ぶ特急列車が通過するために普通列車は私が乗った時も1日僅か5本であった。しかも阿蘇の火口を見るスケジュールとの兼ね合いもあり大分駅を発車した時には既に16時を回っていた。宗太郎越えは夏の九州で陽が沈み辺りが暗くなる20時頃の予定であった。
列車は大分の市街地を東へ抜けると急に南へ進路を変えて佐賀関まで延びる丘陵地帯を越える佐志生(さしう)トンネルなどを抜ける。佐賀関から豊予海峡を挟んだ四国の愛媛県の佐田岬と言えば、小学校の国語の教科書で日本列島と東南アジアなどを往復する渡り鳥の通り道として出てきた覚えがある。
それにしても常夏の東南アジア辺りに一年中居れば良いのに、何故大変な思いをしてまで遥か彼方の日本列島まで飛んで来るのか不思議である。渡り鳥の種類にもよるが一説では夏になると赤道付近よりも日が長い日本列島も含めた北半球の方が、繁殖や子育てに必要なエサを獲る時間が長く取れるからとも言われている。夜も電気や火などの明るさで食事を取るなど生活出来る我々にとっては想像出来ないくらい、空を飛んで気持ち良さそうに見える鳥達も、昼間の時間を少しでも長く使いたいくらい、寸暇を惜しんでエサを獲り子孫を残すのに必死なのであろう。
それに加えて重力に逆らって空を飛ぶだけでも物凄いエネルギーが要る事を考えると鳥や人間達に限らず多くの生き物がはたから見てなかなか気づかない努力をしていると思える広い心が欲しいと思える。
初夏になると我々の身近でもよく見られる家屋や田舎の駅舎の軒下などに巣を作り子育てをするツバメも含めた、多く渡り鳥達が佐田岬付近を通る春季と秋季を中心にバードウォッチングが楽しめるという。
そんな渡り鳥達のこともぼんやり考えながら臼杵市、津久見市、佐伯市周辺の九州と四国に挟まれた豊予海峡に面したリアス式海岸を形成していている海や山などの車窓を眺めていた。
この辺りに大友氏の拠点であった戦国時代に海に浮かぶお城があった。私も写真で見たことあるフランスの世界遺産にも登録されているモンサンミッシェル修道院を思わせるようなユニークなお城が日本にもあったのかと調べてみると城郭は現存するが周囲は既に埋め立てられていたようだ。臼杵市に残る臼杵城址がその海に浮かんでいたお城でありかつては引き潮時のみ九州本土と陸続きになる天然の要塞であったという。
佐伯駅から一日で5本だけであった宮崎方面への普通列車で出発した。列車はリアス式海岸から離れ山の中へと進んで行った。真夏の山の木々の深い緑は夕暮れで黒くなりかけていたがまだ明るさが残っていたので特に直川駅を出発した後は列車の窓の中へと吸い込まれるような緑豊かな峠の車窓を楽しむにはギリギリセーフと感じた。日豊本線を並走し宗太郎駅前も通る大分や宮崎などを経由して北九州と鹿児島とを結ぶ国道10号線は幹線国道なのに通過する車もまばらであった。周辺の近年整備されて走り易くなった他の国道に車が集中しているからであろう。10分程停車した宗太郎駅のホームや駅舎も静かな夕闇に包まれていた。
宗太郎と言えば人の名前で、地名の由来は江戸時代に岡藩に命じられてこの付近の管理に従事された洲本宗太郎氏に因んでいると言う。
この付近は殆どが大分県と宮崎県とを結ぶ特急列車が通過するために普通列車は私が乗った時も1日僅か5本であった。しかも阿蘇の火口を見るスケジュールとの兼ね合いもあり大分駅を発車した時には既に16時を回っていた。宗太郎越えは夏の九州で陽が沈み辺りが暗くなる20時頃の予定であった。
列車は大分の市街地を東へ抜けると急に南へ進路を変えて佐賀関まで延びる丘陵地帯を越える佐志生(さしう)トンネルなどを抜ける。佐賀関から豊予海峡を挟んだ四国の愛媛県の佐田岬と言えば、小学校の国語の教科書で日本列島と東南アジアなどを往復する渡り鳥の通り道として出てきた覚えがある。
それにしても常夏の東南アジア辺りに一年中居れば良いのに、何故大変な思いをしてまで遥か彼方の日本列島まで飛んで来るのか不思議である。渡り鳥の種類にもよるが一説では夏になると赤道付近よりも日が長い日本列島も含めた北半球の方が、繁殖や子育てに必要なエサを獲る時間が長く取れるからとも言われている。夜も電気や火などの明るさで食事を取るなど生活出来る我々にとっては想像出来ないくらい、空を飛んで気持ち良さそうに見える鳥達も、昼間の時間を少しでも長く使いたいくらい、寸暇を惜しんでエサを獲り子孫を残すのに必死なのであろう。
それに加えて重力に逆らって空を飛ぶだけでも物凄いエネルギーが要る事を考えると鳥や人間達に限らず多くの生き物がはたから見てなかなか気づかない努力をしていると思える広い心が欲しいと思える。
初夏になると我々の身近でもよく見られる家屋や田舎の駅舎の軒下などに巣を作り子育てをするツバメも含めた、多く渡り鳥達が佐田岬付近を通る春季と秋季を中心にバードウォッチングが楽しめるという。
そんな渡り鳥達のこともぼんやり考えながら臼杵市、津久見市、佐伯市周辺の九州と四国に挟まれた豊予海峡に面したリアス式海岸を形成していている海や山などの車窓を眺めていた。
この辺りに大友氏の拠点であった戦国時代に海に浮かぶお城があった。私も写真で見たことあるフランスの世界遺産にも登録されているモンサンミッシェル修道院を思わせるようなユニークなお城が日本にもあったのかと調べてみると城郭は現存するが周囲は既に埋め立てられていたようだ。臼杵市に残る臼杵城址がその海に浮かんでいたお城でありかつては引き潮時のみ九州本土と陸続きになる天然の要塞であったという。
佐伯駅から一日で5本だけであった宮崎方面への普通列車で出発した。列車はリアス式海岸から離れ山の中へと進んで行った。真夏の山の木々の深い緑は夕暮れで黒くなりかけていたがまだ明るさが残っていたので特に直川駅を出発した後は列車の窓の中へと吸い込まれるような緑豊かな峠の車窓を楽しむにはギリギリセーフと感じた。日豊本線を並走し宗太郎駅前も通る大分や宮崎などを経由して北九州と鹿児島とを結ぶ国道10号線は幹線国道なのに通過する車もまばらであった。周辺の近年整備されて走り易くなった他の国道に車が集中しているからであろう。10分程停車した宗太郎駅のホームや駅舎も静かな夕闇に包まれていた。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
ふと思ったこと
マー坊
エッセイ・ノンフィクション
たまにはのんびり考えるのも癒しになりますね。
頭を使うけど頭を休める運動です(笑)
「そうかもしれないね」という納得感。
「どうなんだろうね?」という疑問符。
日記の中からつまみ食いをしてみました(笑)
「世界平和とお金のない世界」
https://plaza.rakuten.co.jp/chienowa/

新しい日本のことわざ図鑑
naomikoryo
エッセイ・ノンフィクション
日本には、古くから伝えられてきた知恵や教訓が込められた「ことわざ」が数多く存在します。これらの短い言葉は、時代を超えて人々の日常生活や文化に深く根付いており、人生の指針や人間関係のヒントを与えてくれます。
本図鑑では、代表的なことわざを厳選し、その意味、語源、そして日常での使い方を詳しく解説しています。また、それぞれのことわざに込められた教訓や、それに似た表現も紹介することで、ことわざの奥深い魅力を感じていただける内容となっています。
さらに、ことわざに関連するエピソードや、海外の類似表現との比較を通じて、日本の文化的な背景をより深く知ることができます。
★こんな方におすすめ★
日常の会話にことわざを取り入れたい方
日本の文化や歴史に興味がある方
学校や職場で教養としてことわざを学びたい方
海外の人に日本文化を紹介したい方
**「日本のことわざ図鑑」**は、読むだけで日本の言葉の美しさと知恵を感じられる一冊です。ぜひ、ことわざを通じて、古くから受け継がれる日本の精神文化に触れてみてください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
データから分析して目指せスコアアップ!初心者投稿者の試行錯誤と記録。
終夜
エッセイ・ノンフィクション
Web小説を書き、いつか本にしてみたい。そう考える初心者がアルファポリス様で小説を連載する中で、記録をとってグラフにしたり考察したりして試行錯誤する日々をお送りします。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる