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<19・戦う理由>
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全ての物語の転生者は、その前世によって能力に大きなバラつきがある。前世をイメージした能力を持つのもさることながら、ステータスもそうそうバランス良く整うわけではないのだ。
幼くして力を覚醒させ、以前から“魔王”に抵抗してきたピーターパンこと莉緒も西影莉緒もその例に漏れない。莉緒の力は、とにかく“疾さ”に特化したものだった。地を駆ける速度も、空を飛ぶ速度も恐らく随一と言っていいだろう。とにかく疾さで掻き回し、魔法の連射&剣技の連打で勝利するタイプと言っていい。手数の多さも人一倍だろう。
問題は、一撃一撃の威力に欠けるということ。
特に莉緒は、実年齢が子供であること、前世でも永遠の子供であったせいなのかは知らないが――とにかく腕力がないのである。防御力が高い相手を倒すのはなかなか骨が折れる作業と言って良かった。以前それで“金太郎”と戦った時、相当手間どった挙句倒しきれなかった経緯があるから尚更である。
金太郎と戦う機会は、恐らく近いうちに再び巡ってくることだろう。それまでに、なんとしてでも新たな武器が欲しい。自分自身のレベルアップもさることながら、圧倒的な攻撃力を持つアタッカーの仲間が欲しい。
多少乱暴な手段と知っていながら、莉緒が“桃太郎”たる瑠衣を誘拐したのも、つまりはそういう理由だった。彼には何日間も連続で会社を欠勤させてしまうことになり、非常に申し訳ないとは思っているのだけれど。
「行くッスよ!」
現在、異説転装しての訓練中。莉緒の目の前に迫った瑠衣が、勢い良く刀を振りかぶる。赤い日の丸がついたハチマキが雄々しく揺れた。服装だけならば、童話の中の桃太郎とさほど変わらないだろう。実際はもっと長身で体格のいい、大人の男性の姿ではあるわけだが(現実の彼より若干体格が良くなっているのは間違いない)。
「“剣技・絶紫炎”!」
瑠衣が振り抜いた日本刀は、ただの刀ではない。そして恐ろしいのは、神速とも呼べるほどの剣速と豪腕だけではないのだ。
莉緒が即座に身を捩って避けたところに、時間差で襲ってくる紫色の炎の噴射。彼はいわば、RPGで言うならば魔法剣士に近い性質を持っている。剣技を放つと同時に、そこに魔法の力を込めて再攻撃することが可能なのだ。剣本体を避けたところに次の魔法攻撃が来る。しかも、その威力が馬鹿にならないと来た。
ドゴオオ!
両方を空に飛んで避けた莉緒、その先程まで立っていた地面が切り裂かれたように抉れた上、爆破を受けて思い切り焦げ付いていた。なんと恐ろしい技か。確かに沈黙の鳥籠を使っているので、この場所に発生したダメージはリセットされるが。そもそもコンクリートの部屋の耐久が変わるわけではないのである。次元の裏側へあっても、場所の材質そのものはコピーされてそのままとなる。
つまり、彼の剣技は鉄筋コンクリートの壁や床を破壊し、打ち砕くほどの力を持つということ。実戦で戦ったことは殆どないと言うのに、これほどまでの力を使えるとはさすが伝説の桃太郎と言うべきか。
――まあ、それでもまだ俺に有利だけどな!
そう。どれほど威力が高い技であっても――当たらなければ、意味がない。
彼の場合はどうしても、魔力を充填させてから実際に剣技を放つまでにタメがある。そのタメを短くするという目的もあってこうたって積極的に技を出させてはいるが、まだまだ大きな隙を作ってしまうのは事実だ。最初に戦闘訓練を始めた時よりは多少マシにはなったけれど、実戦で使う時には工夫が必要となってくるだろう。
同時に、ピーターパンのように素早い相手に当てるのはなかなか至難の技に違いない。今の速度ならば、莉緒には十分回避できる程度である。同時に、莉緒の場合はピーターパンの固有能力として空を飛ぶスキルも備わっている。彼の技は、空を飛んで戦う相手にはあまり相性が良くないと言っていい。――これから先、空飛ぶ相手を撃ち落とす技を習得できる可能性も、ゼロではないが。物語の力は戦えば戦うほど深度を増し、かつての能力を取り戻せるようになっていくのだから。
――大技が多いヤツほど、タメはあるし技を打った直後に大きな隙ができる。そこを突く奴が出てくると、非常に厄介極まりない。ここはもう、訓練していくしかないな。
「“妖精の光”!」
広い地下室の天井付近まで飛んだところで――莉緒は自らの技を打ち放った。両手を広げ、背中に展開させた何枚もの虹色の翼から光の魔法を放つ技である。
「くっ……!」
雨霰と降り注ぐ虹色の光線を前に、刀を振るってどうにか凌ぐ瑠衣。じりり、と彼の踏ん張る足が後退していくが――あの様子ではやはり、大したダメージには至っていないようだ。
本当これが問題だよなあ、と瑠衣は思う。自分の技は、敵の足止めをしたり動きを封じることならそこそこ得意だが、そこから先が繋がらないのである。自分一人では、なかなか敵にトドメを刺せない。それが今までのの課題だった。多分これ以上訓練しても、さほど成果を上げるには至らないだろう。
今後は自分が敵の足を止めて、瑠衣にトドメを任せるスタイルでなんとかするしかないわけだが。残る問題は。
「はあ……」
魔法を撃ち尽くしたところで、膝をついて座り込む瑠衣の元へとふよふよと飛んでいく。多少疲労はしているようだが、大きな怪我をしているわけではないようだ。莉緒は彼の頭の上に手を掲げて呪文を唱える。疲労を回復させるくらいならお手の物だ。
「“妖精の治癒”」
「あ、ありがとう……」
「あのさ、加賀美瑠衣」
これはもう、言わないわけにはいかないだろう。大きくため息をついて、莉緒は告げた。
「本当に、戦う気はあるの?」
ぎくり、と。露骨に図星を刺された様子で、瑠衣の肩が動く。やはり、自覚はあったらしい――自分が先ほどの訓練で、最後の最後で反撃を諦めたということに。バレないとでも思っていたのだろうか。
「……戦わなければいけないことは、わかっているッスよ。どんなに嫌でも、それが物語の宿命なんだってことは」
「やっぱり、嫌なのか」
「……誰かを傷つけたくないって、そう思うことが本当に間違いッスか?」
「…………」
莉緒だって、気持ちがわからないわけではない。無表情、無感動、毒舌――そんな振る舞いから誤解されることも少なくないと知っているが、何も人を傷つけることに躊躇いがないわけではないのだ。出来ることなら痛い思いなどしたくないし、させたくもない。人間として当たり前の感情は、莉緒にだって当然ある。
それでも。
「……戦わないと、傷つくのは無関係の……普通の人だ。奴らの中には、鳥籠を当然のように使ってくれない奴も少なくない。むしろ、こっちに鳥籠を使わせる隙も与えず……無関係の人を当然のように巻き込む連中もいる」
彼は、知らないのだ。まだ魔王に洗脳された物語と戦ったことがないせいで。
彼らがどれほど残酷な思想を持ち、人を傷つけることを厭わないのかわからないせいで。
「俺とリーナが戦った相手には、そういう奴らもいて。……表向きは事故ってことになっているけど、実際に死んだ民間人もいる。去年起きた“月島東駅前のトラック暴走事故”について、知らないか」
「え」
「物語が暴走して起こした事件は、誰の仕業か知らないが多くが“人間が起こした事件や事故”の記憶や情報に書き換えられる。あの時もそうだった。魔王がやったのか魔女がやったのかは知らないが」
あのニュースは、かなり大々的に報道されていた。瑠衣もどこかで聞いたことがあっただろう。トラックが暴走して――駅前で信号待ちをしていた一般人たちの元に突っ込み、合計八人の死者と十数人の重傷者を出した事件。トラックの運転手も最終的に電柱に激突し、そのまま死んだことになっていたはずである。
彼らは“全員”が、物語が使った力の被害者である。それを知っているのは残念ながら、その場に居合わせてどうにか逃げおおせた莉緒とリーナの二人だけだけれど。
「あの時……俺達を襲って来た奴らは。笑いながら、逃げ惑う人たちを傷つけていた。殺していた。……こういう世界が、魔王に従えば実現できるのだというように。それが、自分達の望みだというように。……魔王を野放しにするということは、そういうことだ。そういう世界に、愛する人たちを巻き込んでしまうということだ。お前は、本当にそれが正しいとでも思っているのか」
桃太郎の物語に引きずられる、彼の気持ちは理解している。それでも、今のように訓練でさえ手をぬいてしまうような甘さでは――実戦で命取りになるのは明白である。
彼が戦わなければ。あるいは倒れれば。その結果、傷つくのが誰になるのか。いい加減理解しなければならない頃である。もう自分達は誰も、この運命から逃れる手段などないのだから。
「……俺は……」
躊躇いがちに瑠衣が何かを言いかけた、その時だった。
「!!」
ズドン、と腹の底に響くような、地響き。なんだ、と思わず頭上を見上げる莉緒。そこに、訓練の様子を隣室のモニターで見守っていたリーナが駆け込んできた。
「大変よ、莉緒……!ついに、あいつらが!」
状況を知るには――それで十分だった。
幼くして力を覚醒させ、以前から“魔王”に抵抗してきたピーターパンこと莉緒も西影莉緒もその例に漏れない。莉緒の力は、とにかく“疾さ”に特化したものだった。地を駆ける速度も、空を飛ぶ速度も恐らく随一と言っていいだろう。とにかく疾さで掻き回し、魔法の連射&剣技の連打で勝利するタイプと言っていい。手数の多さも人一倍だろう。
問題は、一撃一撃の威力に欠けるということ。
特に莉緒は、実年齢が子供であること、前世でも永遠の子供であったせいなのかは知らないが――とにかく腕力がないのである。防御力が高い相手を倒すのはなかなか骨が折れる作業と言って良かった。以前それで“金太郎”と戦った時、相当手間どった挙句倒しきれなかった経緯があるから尚更である。
金太郎と戦う機会は、恐らく近いうちに再び巡ってくることだろう。それまでに、なんとしてでも新たな武器が欲しい。自分自身のレベルアップもさることながら、圧倒的な攻撃力を持つアタッカーの仲間が欲しい。
多少乱暴な手段と知っていながら、莉緒が“桃太郎”たる瑠衣を誘拐したのも、つまりはそういう理由だった。彼には何日間も連続で会社を欠勤させてしまうことになり、非常に申し訳ないとは思っているのだけれど。
「行くッスよ!」
現在、異説転装しての訓練中。莉緒の目の前に迫った瑠衣が、勢い良く刀を振りかぶる。赤い日の丸がついたハチマキが雄々しく揺れた。服装だけならば、童話の中の桃太郎とさほど変わらないだろう。実際はもっと長身で体格のいい、大人の男性の姿ではあるわけだが(現実の彼より若干体格が良くなっているのは間違いない)。
「“剣技・絶紫炎”!」
瑠衣が振り抜いた日本刀は、ただの刀ではない。そして恐ろしいのは、神速とも呼べるほどの剣速と豪腕だけではないのだ。
莉緒が即座に身を捩って避けたところに、時間差で襲ってくる紫色の炎の噴射。彼はいわば、RPGで言うならば魔法剣士に近い性質を持っている。剣技を放つと同時に、そこに魔法の力を込めて再攻撃することが可能なのだ。剣本体を避けたところに次の魔法攻撃が来る。しかも、その威力が馬鹿にならないと来た。
ドゴオオ!
両方を空に飛んで避けた莉緒、その先程まで立っていた地面が切り裂かれたように抉れた上、爆破を受けて思い切り焦げ付いていた。なんと恐ろしい技か。確かに沈黙の鳥籠を使っているので、この場所に発生したダメージはリセットされるが。そもそもコンクリートの部屋の耐久が変わるわけではないのである。次元の裏側へあっても、場所の材質そのものはコピーされてそのままとなる。
つまり、彼の剣技は鉄筋コンクリートの壁や床を破壊し、打ち砕くほどの力を持つということ。実戦で戦ったことは殆どないと言うのに、これほどまでの力を使えるとはさすが伝説の桃太郎と言うべきか。
――まあ、それでもまだ俺に有利だけどな!
そう。どれほど威力が高い技であっても――当たらなければ、意味がない。
彼の場合はどうしても、魔力を充填させてから実際に剣技を放つまでにタメがある。そのタメを短くするという目的もあってこうたって積極的に技を出させてはいるが、まだまだ大きな隙を作ってしまうのは事実だ。最初に戦闘訓練を始めた時よりは多少マシにはなったけれど、実戦で使う時には工夫が必要となってくるだろう。
同時に、ピーターパンのように素早い相手に当てるのはなかなか至難の技に違いない。今の速度ならば、莉緒には十分回避できる程度である。同時に、莉緒の場合はピーターパンの固有能力として空を飛ぶスキルも備わっている。彼の技は、空を飛んで戦う相手にはあまり相性が良くないと言っていい。――これから先、空飛ぶ相手を撃ち落とす技を習得できる可能性も、ゼロではないが。物語の力は戦えば戦うほど深度を増し、かつての能力を取り戻せるようになっていくのだから。
――大技が多いヤツほど、タメはあるし技を打った直後に大きな隙ができる。そこを突く奴が出てくると、非常に厄介極まりない。ここはもう、訓練していくしかないな。
「“妖精の光”!」
広い地下室の天井付近まで飛んだところで――莉緒は自らの技を打ち放った。両手を広げ、背中に展開させた何枚もの虹色の翼から光の魔法を放つ技である。
「くっ……!」
雨霰と降り注ぐ虹色の光線を前に、刀を振るってどうにか凌ぐ瑠衣。じりり、と彼の踏ん張る足が後退していくが――あの様子ではやはり、大したダメージには至っていないようだ。
本当これが問題だよなあ、と瑠衣は思う。自分の技は、敵の足止めをしたり動きを封じることならそこそこ得意だが、そこから先が繋がらないのである。自分一人では、なかなか敵にトドメを刺せない。それが今までのの課題だった。多分これ以上訓練しても、さほど成果を上げるには至らないだろう。
今後は自分が敵の足を止めて、瑠衣にトドメを任せるスタイルでなんとかするしかないわけだが。残る問題は。
「はあ……」
魔法を撃ち尽くしたところで、膝をついて座り込む瑠衣の元へとふよふよと飛んでいく。多少疲労はしているようだが、大きな怪我をしているわけではないようだ。莉緒は彼の頭の上に手を掲げて呪文を唱える。疲労を回復させるくらいならお手の物だ。
「“妖精の治癒”」
「あ、ありがとう……」
「あのさ、加賀美瑠衣」
これはもう、言わないわけにはいかないだろう。大きくため息をついて、莉緒は告げた。
「本当に、戦う気はあるの?」
ぎくり、と。露骨に図星を刺された様子で、瑠衣の肩が動く。やはり、自覚はあったらしい――自分が先ほどの訓練で、最後の最後で反撃を諦めたということに。バレないとでも思っていたのだろうか。
「……戦わなければいけないことは、わかっているッスよ。どんなに嫌でも、それが物語の宿命なんだってことは」
「やっぱり、嫌なのか」
「……誰かを傷つけたくないって、そう思うことが本当に間違いッスか?」
「…………」
莉緒だって、気持ちがわからないわけではない。無表情、無感動、毒舌――そんな振る舞いから誤解されることも少なくないと知っているが、何も人を傷つけることに躊躇いがないわけではないのだ。出来ることなら痛い思いなどしたくないし、させたくもない。人間として当たり前の感情は、莉緒にだって当然ある。
それでも。
「……戦わないと、傷つくのは無関係の……普通の人だ。奴らの中には、鳥籠を当然のように使ってくれない奴も少なくない。むしろ、こっちに鳥籠を使わせる隙も与えず……無関係の人を当然のように巻き込む連中もいる」
彼は、知らないのだ。まだ魔王に洗脳された物語と戦ったことがないせいで。
彼らがどれほど残酷な思想を持ち、人を傷つけることを厭わないのかわからないせいで。
「俺とリーナが戦った相手には、そういう奴らもいて。……表向きは事故ってことになっているけど、実際に死んだ民間人もいる。去年起きた“月島東駅前のトラック暴走事故”について、知らないか」
「え」
「物語が暴走して起こした事件は、誰の仕業か知らないが多くが“人間が起こした事件や事故”の記憶や情報に書き換えられる。あの時もそうだった。魔王がやったのか魔女がやったのかは知らないが」
あのニュースは、かなり大々的に報道されていた。瑠衣もどこかで聞いたことがあっただろう。トラックが暴走して――駅前で信号待ちをしていた一般人たちの元に突っ込み、合計八人の死者と十数人の重傷者を出した事件。トラックの運転手も最終的に電柱に激突し、そのまま死んだことになっていたはずである。
彼らは“全員”が、物語が使った力の被害者である。それを知っているのは残念ながら、その場に居合わせてどうにか逃げおおせた莉緒とリーナの二人だけだけれど。
「あの時……俺達を襲って来た奴らは。笑いながら、逃げ惑う人たちを傷つけていた。殺していた。……こういう世界が、魔王に従えば実現できるのだというように。それが、自分達の望みだというように。……魔王を野放しにするということは、そういうことだ。そういう世界に、愛する人たちを巻き込んでしまうということだ。お前は、本当にそれが正しいとでも思っているのか」
桃太郎の物語に引きずられる、彼の気持ちは理解している。それでも、今のように訓練でさえ手をぬいてしまうような甘さでは――実戦で命取りになるのは明白である。
彼が戦わなければ。あるいは倒れれば。その結果、傷つくのが誰になるのか。いい加減理解しなければならない頃である。もう自分達は誰も、この運命から逃れる手段などないのだから。
「……俺は……」
躊躇いがちに瑠衣が何かを言いかけた、その時だった。
「!!」
ズドン、と腹の底に響くような、地響き。なんだ、と思わず頭上を見上げる莉緒。そこに、訓練の様子を隣室のモニターで見守っていたリーナが駆け込んできた。
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