11 / 32
<11・誰が為に幕は開く>
しおりを挟む
このタイミングで来るのか!というのが凛音の本心である。確かに“沈黙の鳥籠”は外側から、物語の力を使えば破るのは難しくないと先ほど聞いたばかりではある。もっと言えば、自分の技量は涼貴と比べてまだまだ未熟であるのは事実だ。より他の物語に悟られやすい状況であったと言われても頷けるところだ。
とはいえ、まだまだ実戦で戦えるほどの技量かと言えば――自信がない、というのが本音であるというのに。
自分達の頭上、高い場所でふよふよと漂っているそれは、誰がどう見ても“物語”のそれである。空に浮かんでいるだけで普通ではないのだが、何よりのその姿には非常に見覚えがあるものであったからだ。
「お、お椀ってさ、あれってさ……」
思わず、言葉にしてしまう凛音。
「あれってやっぱり、あれだよね、あれ」
「アレアレ言ってるとボケたみたいに聞こえますよ凛音さん。まだ二十代じゃありませんでしたっけ?」
「う、うっさいわ!誰がオバサンじゃボケ!!」
ちなみに、特訓の途中で呼び方を名前にして欲しいと伝えてはあった。岸田さん、ではあまりにも他人行儀だったからだ。勿論自分達は親しい友人という間柄ではなかったが、それでもこれから共に戦う仲間ではあるはずである。相応に距離を詰めたい、という気持ちは凛音にもあるのだ。幸い、向こうも特に拒否することなく受け入れてくれた。案外あれで、フレンドリーな性格であるのかもしれない。若干表情が動きにくいだけで(まあ顔が綺麗すぎてとっつきにくいというのはあるのだろうが)。
そう、とにかくだ。自分達が見上げる先には――それはそれは立派なお椀が浮かんでいるのである。全体的に真っ黒に塗られており、あちこち金色の模様が刻まれているのが見えた。その上から身を乗り出すようにしてこちらを覗きんでいるのは、立派な藍色の和装を纏ったチョンマゲ姿の少年だ。くりくりとした大きな眼が大変愛らしくはある。そう、この状況でさえなかったなら、普通に“可愛い!”と歓声を上げていたところかもしれない。
その姿が誰がどう見ても昔話の――『一寸法師』のものでなければ。
「……もう追いかけて来たんですか、一寸法師」
馬鹿と刺客と煙は、本当に高いところが好きらしい。やや呆れ気味の凛音の隣で、涼貴が固い声を出す。
「既にお誘いは、きっぱりとお断りしたはずですが?そもそも、貴方は彼の……『七匹の子山羊の狼』の仇なのですけども」
「アハハ、そんな怖い顔しないでよお。アタシだって別に殺したくてやったわけじゃないんだよ?ただちょっとあいつの……偽善的っつー態度?それにムカついて力入っちゃっただけでさ。どうにか生き残ったみたいだし、まあ良かったじゃん。一生植物人間かもしんないけど?」
「…………」
甲高い声でけらけらと笑う一寸法師。そのやり取りで、凛音は涼貴が覚醒するきっかけになった襲撃者――彼を助けた“狼”に瀕死の傷を負わせた人物が、目の前の存在であると知る。
同時に。その喋り方からしてどうやら――一寸法師の物語の持ち主は、女性であるらしい、ということも。そう、涼貴の件で気づいたが、物語の力を開放して見た目と性別が変わったところで、実際の人格に変化があるわけではないのである。だから可憐なシンデレラの姿になっても涼貴の喋り方は少年のままだし、それならば逆も然りということになるだろう。まあ、一人称“アタシ”の男性が皆無だとは言わないけれど。
――それも、あの無邪気で生意気な態度……あれ、ひょっとして中身子供じゃない?
深く考えると、気分が悪くなってくる。魔王の手下は全て、魔王に敗北して洗脳された“物語”だと聞いている。つまりこの一寸法師も、魔王に負けて傘下に下らざるをえなかった人間のひとりというわけなのだ。それがもし小さな子供などであるとしたら――性格が悪いとしか言い様がない。そんな人物に、同じ物語である人間を襲撃させて、無理やり攫うなりなんなりしようとしているだなんて。
「この間はちょっと頭に血が上っちゃってさあ。うっかりアンタのことまで殺しちゃいそうになったから撤退したんだけど。そろそろいい感じかなーって思って、参上してみた次第ですう~」
チャラチャラとした喋り方で、罪悪感の欠片も見せぬ一寸法師。なるほど、前世と現世の性格が一致するとは限らないらしい――それを言ったら涼貴がシンデレラな時点でお察しなのだが。
「で、そっちもそっちで頭冷えたかなって。新しいお仲間も見つけたみたいだし、二人揃ってどうかな?魔王様の配下になる決意はできましたあ?」
「何日置かれても答えは変わりませんよ。僕達は、貴方がたの仲間になる気はサラサラありませんので」
「ええ、なんで?わっかんないなあ。魔王様の手下になるのって、イイコトづくしなのに!だって、好きなだけ“物語”の力を振り回せるんだよお?」
ぐるん、とお椀を一回転させてみせる彼(中身は彼女かもしれないが、今の外見は男の子なのでそう表現しておくこととする)。ぴったりとお椀に体がくっついているのか、落ちる気配は微塵もない。重力を自在に操るとか、そういう類の能力だろうか。
いや、それよりも。好きなだけ物語の力を振り回せる、とはどういうことなのか。
「あ、意味わかんない?アタシ親切だから教えてあげちゃう!」
凛音の疑問を察してか、一寸法師はニコニコと告げる。
「アタシ達、物語としての前世と凄い力があるのにさ。こーんな鳥籠使って場所を隔離して……迷惑かけないようにしないと満足に力も使えないし。ムカつく相手がいても、一般人相手に力をおちおち力をぶっぱなしてブン殴るってこともできないでショ?それめっちゃタルいと思わない?法律とかさ、世間体とかさ、ほんとこの世界って退屈なくせにがんじがらめで面倒くさい。アタシ達は選ばれた物語の、その転生者だってのにさ!なんで普通の人間達と足並み揃えて、くっだんねえ日常に紛れないといけないわけ?」
だからね、と。彼は両手を広げて演説する。さも、自分は素晴しい思想を広めているのだと言わんばかりに。
「魔王様は、そんなの全然気にしなくていいっていう“許し”をくれるんだよねえ。アタシ達は魔王様の許可の元、好きなだけ力を使えるの。この力をどんだけ暴走させてもいい、人前で見せてもいい、殺したい奴をこの力で殺しても構わない……むしろどんどん使って、世界を滅茶苦茶にしてもいいんだって!そうして欲しいんだって!この世界そのものを、誰も真似できないような……怖くて、強くて、キュートでビューティフルな最高の“物語”にするために!」
「なんだって!?」
「ふふふ、アタシ達の前世の物語がノンフィクションなら、この世界だって新しい伝説の物語になりうるでしょ?そうすればいずれ、この世界そのものを魔女の本棚に並べて貰うこともできるってわけだよねえ。魔王様は、それがお望みってわけ、理解した?だから今、それができる“物語”を、一生懸命アタシ達で集めてるの。君達もおいでって。こっち側は……すっごく爽快で、楽しいよお?」
ああ、そういうことなのか。凛音はやや気が遠くなりそうな心地を覚えながらも、状況を理解した。魔王が何故、魔女の書架に並べられる新しい物語を作りたがっているのかはわからないが――そのやり方は、あまりにも強引かつ滅茶苦茶すぎるものである。自分達の力は、何の抵抗力もない一般人に向けて許されるような代物ではない。そんなことをすれば一気に世界そのもののバランスに罅を入れてしまうことだろう。それを、周囲の目も柵も気にせずに振り回すことが許される世界を作る、なんて。そんなこと、認められるはずがないではないか。
そうやって破壊される世界に巻き込まれ、犠牲になる者の中には。凛音の友達や家族、大切な人だって含まれているかもしれないのだから尚更に。
「……ガキの考えだな」
だから、凛音は。敵への“恐怖”を、その瞬間忘れていた。言うべきことを言わなければならないという使命感と――目の前のふざけた理屈に対する怒りで、全身がみなぎっていたからだ。
「そうやって全部壊して、後には一体何が残るっていうんだ。気に食わないからって殺していったら、最後には独りぼっちになるだけだろ。そんなもんが伝説的な物語になるだなんて?寝言は寝て言え、今時C級のアマチュア作家だってそんなハナシは書かねーよ。一人でチラシの裏にでも落書きしてたらどうなんだ」
「なんだと?」
「涼貴が言った通りだ。私も同じ。仲間になる気なんかさらさらないね。……文句があるってんなら、四の五の言わずにかかって来いや、そんな高いところから見下ろしてないでよ!!」
中指を立てて挑発した直後、隣から視線を感じて我に返る。しまった、つい思ったことを全部ぶっちゃけてしまった。今のは完全に田舎のヤンキーである。涼貴のまんまるくなった目に気づいて慌てて視線を逸らす。いい年した女がやるような所作ではない――ドン引かれただろう、絶対に。
「ふ、ふふ……まだ目覚めたばっかりだってのに、随分と強気なんだあ?いいねえ、アタシも実はそっちの方が得意だからさあ……」
やがてこめかみに青筋を立てた一寸法師が、ニヤリ、と笑った。
「言う事聞かないで抵抗する悪い子は、殺しちゃってもいいヨって言われてんだよねえ!魔王様の手下にならないような物語は邪魔なだけだし!今度こそ殺してあげるよ、シンデレラにかぐや姫ぇ!」
そして、凛音にとっては初陣とも呼べる戦いが、幕を開けたのである。
とはいえ、まだまだ実戦で戦えるほどの技量かと言えば――自信がない、というのが本音であるというのに。
自分達の頭上、高い場所でふよふよと漂っているそれは、誰がどう見ても“物語”のそれである。空に浮かんでいるだけで普通ではないのだが、何よりのその姿には非常に見覚えがあるものであったからだ。
「お、お椀ってさ、あれってさ……」
思わず、言葉にしてしまう凛音。
「あれってやっぱり、あれだよね、あれ」
「アレアレ言ってるとボケたみたいに聞こえますよ凛音さん。まだ二十代じゃありませんでしたっけ?」
「う、うっさいわ!誰がオバサンじゃボケ!!」
ちなみに、特訓の途中で呼び方を名前にして欲しいと伝えてはあった。岸田さん、ではあまりにも他人行儀だったからだ。勿論自分達は親しい友人という間柄ではなかったが、それでもこれから共に戦う仲間ではあるはずである。相応に距離を詰めたい、という気持ちは凛音にもあるのだ。幸い、向こうも特に拒否することなく受け入れてくれた。案外あれで、フレンドリーな性格であるのかもしれない。若干表情が動きにくいだけで(まあ顔が綺麗すぎてとっつきにくいというのはあるのだろうが)。
そう、とにかくだ。自分達が見上げる先には――それはそれは立派なお椀が浮かんでいるのである。全体的に真っ黒に塗られており、あちこち金色の模様が刻まれているのが見えた。その上から身を乗り出すようにしてこちらを覗きんでいるのは、立派な藍色の和装を纏ったチョンマゲ姿の少年だ。くりくりとした大きな眼が大変愛らしくはある。そう、この状況でさえなかったなら、普通に“可愛い!”と歓声を上げていたところかもしれない。
その姿が誰がどう見ても昔話の――『一寸法師』のものでなければ。
「……もう追いかけて来たんですか、一寸法師」
馬鹿と刺客と煙は、本当に高いところが好きらしい。やや呆れ気味の凛音の隣で、涼貴が固い声を出す。
「既にお誘いは、きっぱりとお断りしたはずですが?そもそも、貴方は彼の……『七匹の子山羊の狼』の仇なのですけども」
「アハハ、そんな怖い顔しないでよお。アタシだって別に殺したくてやったわけじゃないんだよ?ただちょっとあいつの……偽善的っつー態度?それにムカついて力入っちゃっただけでさ。どうにか生き残ったみたいだし、まあ良かったじゃん。一生植物人間かもしんないけど?」
「…………」
甲高い声でけらけらと笑う一寸法師。そのやり取りで、凛音は涼貴が覚醒するきっかけになった襲撃者――彼を助けた“狼”に瀕死の傷を負わせた人物が、目の前の存在であると知る。
同時に。その喋り方からしてどうやら――一寸法師の物語の持ち主は、女性であるらしい、ということも。そう、涼貴の件で気づいたが、物語の力を開放して見た目と性別が変わったところで、実際の人格に変化があるわけではないのである。だから可憐なシンデレラの姿になっても涼貴の喋り方は少年のままだし、それならば逆も然りということになるだろう。まあ、一人称“アタシ”の男性が皆無だとは言わないけれど。
――それも、あの無邪気で生意気な態度……あれ、ひょっとして中身子供じゃない?
深く考えると、気分が悪くなってくる。魔王の手下は全て、魔王に敗北して洗脳された“物語”だと聞いている。つまりこの一寸法師も、魔王に負けて傘下に下らざるをえなかった人間のひとりというわけなのだ。それがもし小さな子供などであるとしたら――性格が悪いとしか言い様がない。そんな人物に、同じ物語である人間を襲撃させて、無理やり攫うなりなんなりしようとしているだなんて。
「この間はちょっと頭に血が上っちゃってさあ。うっかりアンタのことまで殺しちゃいそうになったから撤退したんだけど。そろそろいい感じかなーって思って、参上してみた次第ですう~」
チャラチャラとした喋り方で、罪悪感の欠片も見せぬ一寸法師。なるほど、前世と現世の性格が一致するとは限らないらしい――それを言ったら涼貴がシンデレラな時点でお察しなのだが。
「で、そっちもそっちで頭冷えたかなって。新しいお仲間も見つけたみたいだし、二人揃ってどうかな?魔王様の配下になる決意はできましたあ?」
「何日置かれても答えは変わりませんよ。僕達は、貴方がたの仲間になる気はサラサラありませんので」
「ええ、なんで?わっかんないなあ。魔王様の手下になるのって、イイコトづくしなのに!だって、好きなだけ“物語”の力を振り回せるんだよお?」
ぐるん、とお椀を一回転させてみせる彼(中身は彼女かもしれないが、今の外見は男の子なのでそう表現しておくこととする)。ぴったりとお椀に体がくっついているのか、落ちる気配は微塵もない。重力を自在に操るとか、そういう類の能力だろうか。
いや、それよりも。好きなだけ物語の力を振り回せる、とはどういうことなのか。
「あ、意味わかんない?アタシ親切だから教えてあげちゃう!」
凛音の疑問を察してか、一寸法師はニコニコと告げる。
「アタシ達、物語としての前世と凄い力があるのにさ。こーんな鳥籠使って場所を隔離して……迷惑かけないようにしないと満足に力も使えないし。ムカつく相手がいても、一般人相手に力をおちおち力をぶっぱなしてブン殴るってこともできないでショ?それめっちゃタルいと思わない?法律とかさ、世間体とかさ、ほんとこの世界って退屈なくせにがんじがらめで面倒くさい。アタシ達は選ばれた物語の、その転生者だってのにさ!なんで普通の人間達と足並み揃えて、くっだんねえ日常に紛れないといけないわけ?」
だからね、と。彼は両手を広げて演説する。さも、自分は素晴しい思想を広めているのだと言わんばかりに。
「魔王様は、そんなの全然気にしなくていいっていう“許し”をくれるんだよねえ。アタシ達は魔王様の許可の元、好きなだけ力を使えるの。この力をどんだけ暴走させてもいい、人前で見せてもいい、殺したい奴をこの力で殺しても構わない……むしろどんどん使って、世界を滅茶苦茶にしてもいいんだって!そうして欲しいんだって!この世界そのものを、誰も真似できないような……怖くて、強くて、キュートでビューティフルな最高の“物語”にするために!」
「なんだって!?」
「ふふふ、アタシ達の前世の物語がノンフィクションなら、この世界だって新しい伝説の物語になりうるでしょ?そうすればいずれ、この世界そのものを魔女の本棚に並べて貰うこともできるってわけだよねえ。魔王様は、それがお望みってわけ、理解した?だから今、それができる“物語”を、一生懸命アタシ達で集めてるの。君達もおいでって。こっち側は……すっごく爽快で、楽しいよお?」
ああ、そういうことなのか。凛音はやや気が遠くなりそうな心地を覚えながらも、状況を理解した。魔王が何故、魔女の書架に並べられる新しい物語を作りたがっているのかはわからないが――そのやり方は、あまりにも強引かつ滅茶苦茶すぎるものである。自分達の力は、何の抵抗力もない一般人に向けて許されるような代物ではない。そんなことをすれば一気に世界そのもののバランスに罅を入れてしまうことだろう。それを、周囲の目も柵も気にせずに振り回すことが許される世界を作る、なんて。そんなこと、認められるはずがないではないか。
そうやって破壊される世界に巻き込まれ、犠牲になる者の中には。凛音の友達や家族、大切な人だって含まれているかもしれないのだから尚更に。
「……ガキの考えだな」
だから、凛音は。敵への“恐怖”を、その瞬間忘れていた。言うべきことを言わなければならないという使命感と――目の前のふざけた理屈に対する怒りで、全身がみなぎっていたからだ。
「そうやって全部壊して、後には一体何が残るっていうんだ。気に食わないからって殺していったら、最後には独りぼっちになるだけだろ。そんなもんが伝説的な物語になるだなんて?寝言は寝て言え、今時C級のアマチュア作家だってそんなハナシは書かねーよ。一人でチラシの裏にでも落書きしてたらどうなんだ」
「なんだと?」
「涼貴が言った通りだ。私も同じ。仲間になる気なんかさらさらないね。……文句があるってんなら、四の五の言わずにかかって来いや、そんな高いところから見下ろしてないでよ!!」
中指を立てて挑発した直後、隣から視線を感じて我に返る。しまった、つい思ったことを全部ぶっちゃけてしまった。今のは完全に田舎のヤンキーである。涼貴のまんまるくなった目に気づいて慌てて視線を逸らす。いい年した女がやるような所作ではない――ドン引かれただろう、絶対に。
「ふ、ふふ……まだ目覚めたばっかりだってのに、随分と強気なんだあ?いいねえ、アタシも実はそっちの方が得意だからさあ……」
やがてこめかみに青筋を立てた一寸法師が、ニヤリ、と笑った。
「言う事聞かないで抵抗する悪い子は、殺しちゃってもいいヨって言われてんだよねえ!魔王様の手下にならないような物語は邪魔なだけだし!今度こそ殺してあげるよ、シンデレラにかぐや姫ぇ!」
そして、凛音にとっては初陣とも呼べる戦いが、幕を開けたのである。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
便利屋ブルーヘブン、営業中。~そのお困りごと、大天狗と鬼が解決します~
卯崎瑛珠
キャラ文芸
とあるノスタルジックなアーケード商店街にある、小さな便利屋『ブルーヘブン』。
店主の天さんは、実は天狗だ。
もちろん人間のふりをして生きているが、なぜか問題を抱えた人々が、吸い寄せられるようにやってくる。
「どんな依頼も、断らないのがモットーだからな」と言いつつ、今日も誰かを救うのだ。
神通力に、羽団扇。高下駄に……時々伸びる鼻。
仲間にも、実は大妖怪がいたりして。
コワモテ大天狗、妖怪チート!?で、世直しにいざ参らん!
(あ、いえ、ただの便利屋です。)
-----------------------------
ほっこり・じんわり大賞奨励賞作品です。
アルファポリス文庫より、書籍発売中です!

【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
御伽噺のその先へ
雪華
キャラ文芸
ほんの気まぐれと偶然だった。しかし、あるいは運命だったのかもしれない。
高校1年生の紗良のクラスには、他人に全く興味を示さない男子生徒がいた。
彼は美少年と呼ぶに相応しい容姿なのだが、言い寄る女子を片っ端から冷たく突き放し、「観賞用王子」と陰で囁かれている。
その王子が紗良に告げた。
「ねえ、俺と付き合ってよ」
言葉とは裏腹に彼の表情は険しい。
王子には、誰にも言えない秘密があった。
男装官吏と花散る後宮〜禹国謎解き物語〜
春日あざみ
キャラ文芸
宮廷で史書編纂事業が立ち上がると聞き、居ても立ってもいられなくなった歴史オタクの柳羅刹(りゅうらせつ)。男と偽り官吏登用試験、科挙を受験し、見事第一等の成績で官吏となった彼女だったが。珍妙な仮面の貴人、雲嵐に女であることがバレてしまう。皇帝の食客であるという彼は、羅刹の秘密を守る代わり、後宮の悪霊によるとされる妃嬪の連続不審死事件の調査を命じる。
しかたなく羅刹は、悪霊について調べ始めるが——?
「歴女×仮面の貴人(奇人?)」が紡ぐ、中華風世界を舞台にしたミステリ開幕!
【完結】忘れてください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。
貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。
夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。
貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。
もういいの。
私は貴方を解放する覚悟を決めた。
貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。
私の事は忘れてください。
※6月26日初回完結
7月12日2回目完結しました。
お読みいただきありがとうございます。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる