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<6・かぐや姫の呪詛>
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涼貴の動きを見ていてわかったことがある。
彼の“魔法”は、弓矢を媒介にして放たれるものだ。それそのものが魔法の力の具現化であるのかもしれないが――どうやら弓をつがえて矢を打ち込まないと効力を発揮できないものらしい。
空から硝子の雨を降らせたり分裂させた弾を撃ち込んだり――バリエーションはそれなりにありそうだが、最大のネックは攻撃の速度がそこまで速いわけではないということ。弓矢を構えて撃つ、その動作を見てからでも避けることは不可能ではない。多少体を鍛えている程度の凛音が現状かすり傷で済んでいるのはそのためだろう。
当たれば怖いが、当たらないようにする方法はある。
そして恐らく、距離を詰めて格闘戦に持ち込めば、こちらが有利と見て間違いないだろう。恐らくは体格でも腕力でもこちらが勝っているのだから。男子高校生の涼貴も華奢で比較的小柄な体格だったが、今の彼はまさにお姫様然とした少女である。輪をかけて筋力がなさそうだ――まあ、実際は違うかもしれないが。
「だったら!」
ゆえに。凛音は再び涼貴が構える前に――真正面から突っ込むという選択を選んだ。
「これなら!どうだぁぁぁぁっ!!」
「!」
涼貴が目を見開く。その顔めがけて、凛音は持っていたミニバッグを投げつけていた。とっさに弓を落として顔をガードしてしまう涼貴。隙有りだ。
――これが正解かはわかんないけど……っ!こんなとこで死ぬわけにはいかないんだからっ!
申し訳ないとは思いつつ、これも喧嘩を仕掛けてきた向こうが悪いのである。凛音は彼の後ろに素早く回り、背後から拳を振り抜こうとした――そのはずだった。
正面で地面を蹴ろうとした足が、ガチガチに固まって動かないことに気がつくまでは。
「……は?」
嘘だろ、と掠れた声が漏れる。見れば凛音の足に首が――何かで固められている。まるで凍りついたようだが、冷たさはない。
そう、さながらそれは、溶けたガラスのよう。
「“硝子の罠”……狙いは悪くなかったんですけどね」
落とした弓を拾って、涼貴がゆっくりと顔を上げる。
「まだまだ戦いにおいては、僕の方が一枚上手であったようです。……さて」
至近距離で。彼は凛音の鼻先に、弓矢を突き付けてきた。その瞳には、氷のように冷徹なほどの覚悟。使命を果たすため、必要とあれば人を殺すことも厭わない――そんな強い意思がはっきりと覗いている。
「目覚めなさい“かぐや姫”。でなければ……死にますよ?」
ぎし、と弓が引き絞られる音がした。本気だ、と理解する。このままでは本気で殺される。自分は本気で、また――。
『また、殺されるの?私は?』
その時。
脳裏に凛音ではない凛音の声が、響いた。
『私は……また?自由を望んだだけで……くだらない掟に背いたせいで殺されるというの?私も、大切な人達も、みんなみんな……?』
刹那。
眼前にバチバチと緑色の光が弾け――凛音の視界は、ぐるりと回った。
***
『姫様、何処に向かわれるのです!そのように……男児のように刀など携えて!』
後ろからパタパタと駆けてくる従者の声。凛音――いや、かぐや姫は一度だけ振り返ることを選んだ。
艶やかな月の都。美しい花が咲き乱れる星。
ここが見た目だけが華やかな、永遠の魂の牢獄であると気づいたのはいつのことだっただろうか。
『私はもう、この月に飽き飽きしたのだ。このような場所で、愛らしい髪飾りと重苦しい着物ばかりを身に付けさせられて……好きな趣味をすることも、本当に愛する人と結ばれることも叶わぬ。ここでは生きていても、死んでいるのと同じことよ』
着物を改造し、若侍のように裾を切って身軽にし、刀を携えて追っ手を睨むかぐや姫。女らしくしろ、帝の娘らしい振る舞いをしろなどと口煩く言われることには飽き飽きしていた。好きな剣の稽古をすることも、自分の意思で結婚相手を選ぶことも叶わぬなんて本当にどうかしている。
同時に――貴族ばかりが華やかな生活をし、貧富の差を省みず、それでいて一族の存続ばかり気にする両親にもだ。
『私は、蒼の君とは結婚せぬ。蒼の君は私の異母弟であるぞ、また当然のように近親で婚姻させるつもりか』
『規則でございます、姫様。貴い月の帝の一族の血をより濃く、強固なものとするためには……』
『そうやって近親婚を繰り返して何が起きた?……私が知らないとでも思うたか。私の兄弟は十二人ということになっているが、実際はその倍の数がいたことを。その半分は死に、半分は奇形として生まれたがために牢獄に閉じ込められてなきものとして扱われているということを!全て愚かな規則と執着が招いた結果ではないか!』
『姫様、なりませぬ!』
『ならぬ!止めるなら、貴様から切り捨ててくれようぞ!』
月の民は、いずれ滅ぶだろう。愚かな父が――帝が考えを改めない限りは。貴族の、それも親族ばかりと結婚させ、下々の民を慮ることをしない限りは。
止める従者を振り払い、かぐや姫は禁断の術を使って――地球に逃げた。その折りに力を殆ど使いきってしまい、小さな女童の姿になってしまったことは完全に誤算であったが。
――地球にも、柵はたくさんあったはずだ。それでも私は恵まれていた。……竹の中から産まれた赤子なとという得体の知れない娘を、我が子も同然に愛してくれる人に巡り会えたのだから。
血の繋がらない、年老いた新しい両親。竹を切り筍を集めて慎ましく生活する二人に守られ、次第にかぐや姫は本来の力を取り戻していった。
少女であるにも関わらず勇ましく刀を振るい、月の民特有の強靭な肉体で力仕事を担うかぐや姫に二人は驚いていたが――それでも、月の人々のように女らしくしろと言うこともなく、ありのままに生きるかぐや姫を受け入れてくれたのである。
それは、山の麓の町の住人たちも同じだった。
筍を売りに出れば、少年じみた格好を好むかぐや姫を毛嫌いするでもなく、力持ちの娘を頼って慕ってくれる者たちばかりだった。奇異な見目であるにも関わらずかぐや姫の性格に惚れ、求婚してくれた男性もいたほどである。
かぐや姫は幸せだった。――しかし、婚姻を受け入れる訳にはいかない理由があったのだ。
月の力が近付いてきている。もうじき、自分のところに月の都からの追っ手が来ることを悟ってしまったのだ。何年も過ぎてもまだ、彼らはかぐや姫を連れ戻すことを諦めてはいなかったのである。
かぐや姫は知っていた。月の都の帝の娘とはいえ、掟を破って地上に降りた自分は捕まったら最後、まともな死に方など到底できないということを。拷問されて、見るも無惨な姿として晒し上げられ、そして殺されるであろうということを。
――その時が来たら私は戦わねばならぬ。……絶対に、愛する両親と町の人を巻き込んではならぬ……!
かぐや姫は誓った。もしもの時は潔く死を選ぶと。
そして命に賭けても、愛する人たちをこの手で守り抜くということを。
残念ながら。いくら月の帝の娘として強い力を受け継いでいるとはいえ、月の軍勢を前にたった一人で出来ることなどたかが知れていたのだけれど。かぐや姫は完全に、父の怒りと軍事力を読み違えていたのである。
姫の目の前で自分を助けてくれた両親は惨殺され、町には火が放たれた。姫を慕ってくれた子供たちも、姫を心から愛すると誓ってくれた若者も、みんなみんな生きたまま焼かれて灰となってしまったのである。
そして、自害する暇も与えられなかった――かぐや姫は。
『嫌だ嫌だ……ぎ、ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
生きたまま、馬によって両手両足を引きちぎられ――凄まじい痛みと恐怖の中で息絶えたのである。
愛するものを守れなかった未練と、くだらない掟に執着して罪なき人々を奪った父への憎悪を燃やしながら。
『許さぬ……許さぬぞ月の民!滅んでしまえばいい……貴様らのように思い上がった愚かな連中など……!みんなみんな、滅ぶがいい!!』
***
次の瞬間、まるで何かに操られるように――凛音の体が動いていた。全身に力が満ちてくる。ガシャン、と音を立てて足を拘束していたガラスが砕け散った。
そして。
「“断罪ノ舞”!」
溢れた力が命ずるまま――両手を地面に叩きつける。瞬間、数多もの竹がコンクリートを突き破って生え、涼貴の体を撥ね飛ばしていた。
「がっ!」
小柄な体が地面に叩きつけられる。しまった、やりすぎた――我に返った凛音が見たのは、近くの洋服店のショーウィンドー。
そこに映っていたのは、いつものラフなコートにパンツ姿の凛音ではなかった。緑がかった着物のような服――ような、であるのは裾が随分と短かったせいだが――を纏い、腰に刀を差した姿はまるで女侍だ。今の一瞬でコシュチュームが変化した。変身みたいだ、と思って気付く。
頭の中に染み込むように甦った記憶。これこそが“覚醒”であるのだと。
「良かった。……大きな怪我をさせる前に、目覚めてくれて」
「あ……」
「ほんと、ひやひやしたんですからね?……すみませんでした、粗っぽいやり方をして」
吹き飛ばされて座り込んだまま、苦笑気味に言う涼貴。それでようやく、凛音は彼が本当に切羽詰まって――仕方なくこのような強行手段に出たことを知るのである。
「おめでとうございます、かぐや姫。……これからどうぞ、よろしくお願いしますね」
彼の“魔法”は、弓矢を媒介にして放たれるものだ。それそのものが魔法の力の具現化であるのかもしれないが――どうやら弓をつがえて矢を打ち込まないと効力を発揮できないものらしい。
空から硝子の雨を降らせたり分裂させた弾を撃ち込んだり――バリエーションはそれなりにありそうだが、最大のネックは攻撃の速度がそこまで速いわけではないということ。弓矢を構えて撃つ、その動作を見てからでも避けることは不可能ではない。多少体を鍛えている程度の凛音が現状かすり傷で済んでいるのはそのためだろう。
当たれば怖いが、当たらないようにする方法はある。
そして恐らく、距離を詰めて格闘戦に持ち込めば、こちらが有利と見て間違いないだろう。恐らくは体格でも腕力でもこちらが勝っているのだから。男子高校生の涼貴も華奢で比較的小柄な体格だったが、今の彼はまさにお姫様然とした少女である。輪をかけて筋力がなさそうだ――まあ、実際は違うかもしれないが。
「だったら!」
ゆえに。凛音は再び涼貴が構える前に――真正面から突っ込むという選択を選んだ。
「これなら!どうだぁぁぁぁっ!!」
「!」
涼貴が目を見開く。その顔めがけて、凛音は持っていたミニバッグを投げつけていた。とっさに弓を落として顔をガードしてしまう涼貴。隙有りだ。
――これが正解かはわかんないけど……っ!こんなとこで死ぬわけにはいかないんだからっ!
申し訳ないとは思いつつ、これも喧嘩を仕掛けてきた向こうが悪いのである。凛音は彼の後ろに素早く回り、背後から拳を振り抜こうとした――そのはずだった。
正面で地面を蹴ろうとした足が、ガチガチに固まって動かないことに気がつくまでは。
「……は?」
嘘だろ、と掠れた声が漏れる。見れば凛音の足に首が――何かで固められている。まるで凍りついたようだが、冷たさはない。
そう、さながらそれは、溶けたガラスのよう。
「“硝子の罠”……狙いは悪くなかったんですけどね」
落とした弓を拾って、涼貴がゆっくりと顔を上げる。
「まだまだ戦いにおいては、僕の方が一枚上手であったようです。……さて」
至近距離で。彼は凛音の鼻先に、弓矢を突き付けてきた。その瞳には、氷のように冷徹なほどの覚悟。使命を果たすため、必要とあれば人を殺すことも厭わない――そんな強い意思がはっきりと覗いている。
「目覚めなさい“かぐや姫”。でなければ……死にますよ?」
ぎし、と弓が引き絞られる音がした。本気だ、と理解する。このままでは本気で殺される。自分は本気で、また――。
『また、殺されるの?私は?』
その時。
脳裏に凛音ではない凛音の声が、響いた。
『私は……また?自由を望んだだけで……くだらない掟に背いたせいで殺されるというの?私も、大切な人達も、みんなみんな……?』
刹那。
眼前にバチバチと緑色の光が弾け――凛音の視界は、ぐるりと回った。
***
『姫様、何処に向かわれるのです!そのように……男児のように刀など携えて!』
後ろからパタパタと駆けてくる従者の声。凛音――いや、かぐや姫は一度だけ振り返ることを選んだ。
艶やかな月の都。美しい花が咲き乱れる星。
ここが見た目だけが華やかな、永遠の魂の牢獄であると気づいたのはいつのことだっただろうか。
『私はもう、この月に飽き飽きしたのだ。このような場所で、愛らしい髪飾りと重苦しい着物ばかりを身に付けさせられて……好きな趣味をすることも、本当に愛する人と結ばれることも叶わぬ。ここでは生きていても、死んでいるのと同じことよ』
着物を改造し、若侍のように裾を切って身軽にし、刀を携えて追っ手を睨むかぐや姫。女らしくしろ、帝の娘らしい振る舞いをしろなどと口煩く言われることには飽き飽きしていた。好きな剣の稽古をすることも、自分の意思で結婚相手を選ぶことも叶わぬなんて本当にどうかしている。
同時に――貴族ばかりが華やかな生活をし、貧富の差を省みず、それでいて一族の存続ばかり気にする両親にもだ。
『私は、蒼の君とは結婚せぬ。蒼の君は私の異母弟であるぞ、また当然のように近親で婚姻させるつもりか』
『規則でございます、姫様。貴い月の帝の一族の血をより濃く、強固なものとするためには……』
『そうやって近親婚を繰り返して何が起きた?……私が知らないとでも思うたか。私の兄弟は十二人ということになっているが、実際はその倍の数がいたことを。その半分は死に、半分は奇形として生まれたがために牢獄に閉じ込められてなきものとして扱われているということを!全て愚かな規則と執着が招いた結果ではないか!』
『姫様、なりませぬ!』
『ならぬ!止めるなら、貴様から切り捨ててくれようぞ!』
月の民は、いずれ滅ぶだろう。愚かな父が――帝が考えを改めない限りは。貴族の、それも親族ばかりと結婚させ、下々の民を慮ることをしない限りは。
止める従者を振り払い、かぐや姫は禁断の術を使って――地球に逃げた。その折りに力を殆ど使いきってしまい、小さな女童の姿になってしまったことは完全に誤算であったが。
――地球にも、柵はたくさんあったはずだ。それでも私は恵まれていた。……竹の中から産まれた赤子なとという得体の知れない娘を、我が子も同然に愛してくれる人に巡り会えたのだから。
血の繋がらない、年老いた新しい両親。竹を切り筍を集めて慎ましく生活する二人に守られ、次第にかぐや姫は本来の力を取り戻していった。
少女であるにも関わらず勇ましく刀を振るい、月の民特有の強靭な肉体で力仕事を担うかぐや姫に二人は驚いていたが――それでも、月の人々のように女らしくしろと言うこともなく、ありのままに生きるかぐや姫を受け入れてくれたのである。
それは、山の麓の町の住人たちも同じだった。
筍を売りに出れば、少年じみた格好を好むかぐや姫を毛嫌いするでもなく、力持ちの娘を頼って慕ってくれる者たちばかりだった。奇異な見目であるにも関わらずかぐや姫の性格に惚れ、求婚してくれた男性もいたほどである。
かぐや姫は幸せだった。――しかし、婚姻を受け入れる訳にはいかない理由があったのだ。
月の力が近付いてきている。もうじき、自分のところに月の都からの追っ手が来ることを悟ってしまったのだ。何年も過ぎてもまだ、彼らはかぐや姫を連れ戻すことを諦めてはいなかったのである。
かぐや姫は知っていた。月の都の帝の娘とはいえ、掟を破って地上に降りた自分は捕まったら最後、まともな死に方など到底できないということを。拷問されて、見るも無惨な姿として晒し上げられ、そして殺されるであろうということを。
――その時が来たら私は戦わねばならぬ。……絶対に、愛する両親と町の人を巻き込んではならぬ……!
かぐや姫は誓った。もしもの時は潔く死を選ぶと。
そして命に賭けても、愛する人たちをこの手で守り抜くということを。
残念ながら。いくら月の帝の娘として強い力を受け継いでいるとはいえ、月の軍勢を前にたった一人で出来ることなどたかが知れていたのだけれど。かぐや姫は完全に、父の怒りと軍事力を読み違えていたのである。
姫の目の前で自分を助けてくれた両親は惨殺され、町には火が放たれた。姫を慕ってくれた子供たちも、姫を心から愛すると誓ってくれた若者も、みんなみんな生きたまま焼かれて灰となってしまったのである。
そして、自害する暇も与えられなかった――かぐや姫は。
『嫌だ嫌だ……ぎ、ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
生きたまま、馬によって両手両足を引きちぎられ――凄まじい痛みと恐怖の中で息絶えたのである。
愛するものを守れなかった未練と、くだらない掟に執着して罪なき人々を奪った父への憎悪を燃やしながら。
『許さぬ……許さぬぞ月の民!滅んでしまえばいい……貴様らのように思い上がった愚かな連中など……!みんなみんな、滅ぶがいい!!』
***
次の瞬間、まるで何かに操られるように――凛音の体が動いていた。全身に力が満ちてくる。ガシャン、と音を立てて足を拘束していたガラスが砕け散った。
そして。
「“断罪ノ舞”!」
溢れた力が命ずるまま――両手を地面に叩きつける。瞬間、数多もの竹がコンクリートを突き破って生え、涼貴の体を撥ね飛ばしていた。
「がっ!」
小柄な体が地面に叩きつけられる。しまった、やりすぎた――我に返った凛音が見たのは、近くの洋服店のショーウィンドー。
そこに映っていたのは、いつものラフなコートにパンツ姿の凛音ではなかった。緑がかった着物のような服――ような、であるのは裾が随分と短かったせいだが――を纏い、腰に刀を差した姿はまるで女侍だ。今の一瞬でコシュチュームが変化した。変身みたいだ、と思って気付く。
頭の中に染み込むように甦った記憶。これこそが“覚醒”であるのだと。
「良かった。……大きな怪我をさせる前に、目覚めてくれて」
「あ……」
「ほんと、ひやひやしたんですからね?……すみませんでした、粗っぽいやり方をして」
吹き飛ばされて座り込んだまま、苦笑気味に言う涼貴。それでようやく、凛音は彼が本当に切羽詰まって――仕方なくこのような強行手段に出たことを知るのである。
「おめでとうございます、かぐや姫。……これからどうぞ、よろしくお願いしますね」
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