優等生には秘密があります。

「あるだろう、優等生サマ。誰にも言えない……それでもお前を苛み続ける、秘密とやらがさ」

 学校一の秀才。成績優秀、容姿端麗、T大合格の最有力候補――そんな風に騒がれる倉持涼貴には、秘密があった。それは、D組の人気者、涼貴がマネージャーを務めるサッカー部のエースストライカーである倉持勇次郎。同性であるはずの彼に、ひそかに想いを寄せてしまっていることである。
 そんな涼貴の前に、ある日突然現れた筋骨隆々な美丈夫。彼は自分自身を悪魔と呼んだ。
 涼貴をずっと見ていたという彼は、涼貴にピンクの薬の入った小瓶を渡して言う。

『お前の好む人間の写真と名前を用意して、その液体をふりかけるだけでいい。そうすれば……そいつはお前の虜になる。……優等生サマには、その心がどうしても欲しい人間がいるはずだ。お前をずーっと見ていた俺様は知っているぞ、ぷくくく……』

 悪魔の惚れ薬――そんなろくでもないものを手にしてしまった涼貴。
 同性の、王道のやり方では絶対に叶うことのない恋の相手を前にして、涼貴が選んだ選択とは。
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