アオイロデイズ

はじめアキラ

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<第二十九話~悲劇の英雄~>

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 まるで、映画か何かを見ているようだった。
 アオが本気で怒っている。怒気が、触れていなくてもびりびりと全身に伝わってくるのだ。
 初めて見るような形相で、大地を蹴った彼は――次の瞬間、高らかに魔法の言葉を叫んでいた。

「“Gaia-Brake”!」

 先ほどの神業。エスメア達が訓練された兵士であることはもはや疑いようがなく、本来ならばアオが動いた直後に銃を抜くこともできたはずだっただろう。
 だが、彼らには出来なかった。理由の一つは、アオの殺気に完全に呑まれていたことと――彼らには、アオを殺せない理由があったから。そう、エスメアから読み取った思考と今感じている彼らの感情から察するに、どうやらテラの兵士達はあくまで“生きてアオを連れ戻す”という勅命を受けているらしい。つまり、アオを下手に傷つけることができないということ。
 勿論、彼らもプロであるはずだから、本来ならば死なせずに傷つけるやり方など幾らでも心得があるはず。実際エスメアがそう言った通り。理音も撃たれたが、足を掠めただけでまだ大した怪我ではなかった。あくまで脅しのつもりであったのが明白である。アオに対しても本来ならそうできるはずだったのだ――彼らが冷静で、そして相手が“アオ”でなかったなら。
 殺意をもって向かってくる相手に、同じく殺意を向けずに対処することは非常に困難である。反射的に動こうとする身体を理性で制御しようとすれば、当然そこには歪ができるというものだ。今のアオが、その隙を見逃すはずがないのである。
 気がついた瞬間には――兵士達は、足元から隆起した大地に一気に飲み込まれていた。

「くっ……!」

 さすが、指揮官であるだけあってエスメアの動きは他の者達とは違うらしい。彼はとっさに飛び退くことで、大地に飲み込まれることを防いでいた。

「仕方ない……断罪の翼、展開!皆さん、殺さぬ程度に痛めつけて構いません、やってください!!」

 彼は体制を立て直しながら指示を出し、自らは背中の装備を展開させる。それは、理音と最初に遭遇した時と同じ装備だった。どうやら神経に接続して、重火器を複数発射でき、かつ手足を自由にすることによって近接戦闘にも対応できるというファラビアの武器であるらしい。
 だが、と理音は思う。最初の時も思ったが――その装備の全展開には数秒かかる。その数秒を、待ってくれるアオではないだろう、と。

「“Thunder-Brake”」

 悲鳴が複数上がった。エスメアと、それから先ほどの大地の隆起から辛うじて生き延びた数名の兵士達の真上から、いくつもの雷が降り注いだのである。エスメアと同じ装備を展開しようとしていた者達は、断罪の翼に落雷を受けて絶局することとなった。
 そう、その装備は展開すれば強いが、するまでにタイムラグがある上――真上からの攻撃に非常に弱いという難点があるのだ。

「なんだと……!」

 これもエスメアはギリギリで避けていた。だが装備と神経接続している他の部下達はひとたまりもない。感電し、一気に全身を麻痺させてしまった彼らは、白目を剥いてひっくり返り失禁している始末である。

「これならばどうだ、“射撃(ファイア)”!」

 辛うじて避けたとはいえ、エスメアも一部重火器を破損したらしかった。その上、既に彼の歩兵達は全て全滅している。麻痺しているか、土に埋もれて首だけ出してもがいている状態。残るは彼本人と、アーマーを纏った兵士のみ。
 一気に追い込まれたエスメアはそのまま一斉射撃を行いアオの足止めをしようとする。だが、エスメアが撃ち込んだ瞬間にはもう、アオの身体は軽やかに宙を舞っている状態だった。――彼は、ただの魔導師ではなかったのだ、と今更にして知る理音である。まさかこんなにも身軽であったなんて。

「目障りだ、消えろ。“Apocalypse”……!」

 エスメアとアーマー兵の足元に、鮮やかな紫の魔法陣が浮かび上がった。次の瞬間足元から突き上がる光の一閃。さすがにこれは、逃げ場がなかっただろう。絶叫し、倒れこむ二人。そこにさらに念には念をと、アオが追撃を見舞う。

「“Tornado-Shot”!」

 つんざくような声。上げたのは、両手両足の装備をズタズタにされたアーマー兵だった。そんな馬鹿な、とボロボロになって身を伏すエスメアが驚愕しているのが伝わってくる。テラの民の最高兵器が、圧倒的防御力を誇るアーマーが、こんなにも簡単に打ち砕かれていいものか――と。

「……分かっただろう。貴様らは最初から勘違いしている。いくら人数を集めたところで、私の力の前では無意味。ただ圧倒的力の前にひれ伏すしかできんのだ」

 ふわり、と地面に降り立ったアオは。忌々しいという様子を隠しもせずに吐き捨てる。

「あの戦争の時も……人質さえなければ。拷問など受けることもなく、貴様ら全員皆殺しにしてやれたものを」
「……は、はは……さすが、ガイアの英雄というわけか。その力も冷徹さも本物だと。……少々見くびっていたようですね。貴方がここまで冷酷になれるとは思いもしませんでしたよ」

 引きつった顔で笑う、エスメア。違う、と理音は思う。冷徹?冷酷?確かにアオの魔法は容赦がないように見えたし圧倒的ではあったが――彼はそれでも、明らかに手加減をしていたのがわからないだろうか。
 向こうとは違って、こちらは遠慮をする理由などないはずなのに。彼は結局、現時点で一人も殺していない。再起不能になった兵士はいるかもしれないが。

「ついでにもう一つ言うなら、そちらはけして私を殺せないという制約がある。……もっと言うなら、私は私を人質にして貴様らを追い詰めることが出来るというわけだ」

 え、と思う理音の前で。アオの手元がキラキラと光り、一本の青い短剣へと変わっていた。彼はそれを、自らの首元に押し当ててみせる。

「あ、アオ、何するんだ!?」
「心配いらないさ、理音。少しこいつらと交渉するだけだ。……こいつらは、何がなんでも私に死んで貰ったら困る理由があるんだよ。私の命が、そのままこいつらとの交渉カードになる。その時点でこちらの圧倒的優位は揺らがないんだ」
「それ、二つの宝っていうのか?アオが持ち去ったっていう……それも思い出したのか?」
「まあ、そうだな」

 そういえば、片方は兵器の設計図だと言っていたが――もう片方は何だったのだろう。結局、聞けないままになっているのだが。

「兵器の設計図も大事だろうさ。だが、奴らは銀河最強の惑星という自負がある。そんなものがなくても十分強い。奴らはあくまで、その兵器が他の惑星に渡ることを阻止したいだけだ。完全に抹消できるのなら、何も絶対自分達の手元に置いておかなければならないというわけではないんだよ。だが……もう一つは違う」

 言いながら、アオは。
 ナイフを首ではなく――自らの、腹部に押し当てて見せた。瞬間。

「やめろ!」

 鋭く叫ぶ、エスメア。どういうことだ、と混乱する理音にアオは。



「此処にいる、女王陛下の後継の代わりは何処にもない。そうだろう?」



 まさか、と。ここで理音はようやく理解が追いつくことになる。
 アオ達ガイアの民の、性質。彼らが外見の性別を問わず、全員が子供を産むことのできる体質であるということ。相手の体液を、遺伝子情報を得るだけで子供を作ることのできる能力を持っているという話。
 裏を返せばそれは――アオが外見上“男性”で、父親役に該当するパートナーの方が“女性”であっても成立すると、そういうことではなかろうか。
 確かにアオはほっそりしているし、一見すると妊娠しているようにはとても見えないが――。

「リアナ女王は、長年の王族の近親婚の結果……遺伝子以上を持って産まれた。子供が産めない身体だったわけだ。だがファラビア・テラの民は“王族の血は神の血”と信じている。神の血を継ぐ者が存在し、導かなければ自分達の惑星には大いなる災厄が訪れると数多くの者達が信じているんだ。だが、リアナ女王には当然子供はなく、父親は既に逝去。このままでは彼らの信仰は保てず、人々の混乱と暴動は免れられない……。だから彼らは超法規的処置として、本来テラの国家転覆を狙い、大罪人とされた“異星人”の私を女王陛下の夫にするしかなかったというわけだ」
「お前の身体を使えば、女性である女王陛下の子供を産むことができるからか……!?」
「そうだ。……だがな、理音。出会った時に話しただろう?私達は確かに異星人の子供を産むことも可能な種族ではあるが……同時に、異星人の体液は猛毒でもあるんだ。中和剤を使っても完全に害を取り除くことはできない。死ぬ可能性もある。……それなのにこいつらは、かつて共に国家転覆を狙い、横暴なテラの惑星を支配することで銀河を救おうとした私の仲間を人質に取って……私に女王の夫になれと迫ってきたんだよ!」

 なんだそれ、と理音は愕然とする。確かに愛のない結婚など、この世界にいくらでもあることだろう。だけど、これではアオが――アオの意思はどうなるのか。アオの命は、未来は。そこにアオの心など、本当に1ミリも含まれていないではないか。

「笑える話さ。……私には、仲間を守るために承諾する以外の選択はなかった。夫という名の、子供を産む道具にされるだけと知っていながらな……!奴らはこれ幸いとばかりに、日頃の鬱憤と恨みを私にぶつけてきた。まさか麻酔もかけられず、子宮口をこじ開けられて女王の血液を流し込まれるとは思ってもみなかったぞ!地獄の苦しみとはまさにあのことだ……!」

 アオは嗤う、嗤う、嗤う。全ての苦しみを、痛みを思い出したのだ――彼は。
 そんな顔で嗤うしかないほどに、本当は追い詰められてきて――それなのに。

――それなのに。お前は……俺の心配ばかりして、傍で手を握ってくれていたのか。そこまで辛い目に遭ってきたのに……そんな、優しい人間のままであれたのか、お前は。

 それとも。
 だからこそ――アオは記憶を失っても、優しくあれたのだろうか。人の痛みを、苦しみを、誰よりも理解しているからこそ。

「こじ開けられるだけでも死ぬほどの激痛だが、それに加えて熱湯を注ぎ込まれるようなもの。転げまわって苦しむ私を見ながらどいつもこいつも笑うばかりだった。お前達にとって、私は……いや、テラの民の貴族や王族以外はいつまでもゴミでしかなかったというわけだ。しかも、そうやって地獄に耐えて最後に知らされた事実は……実は、私が救いたかった仲間達はとっくに殺されていたという現実だ!」
「そ、そんな……!」
「もはや喜劇だろう?私の復讐の炎を再び燃え上がらせるには十分だったとも。こいつらは存在しているだけで悪だと。やはり私のクーデターは間違っていなかった。ファラビア・テラを滅ぼさない限りこの銀河に真の平和など訪れないと……なのに……っ」

 は、と嗤い声が途絶える。アオは消え入りそうな声で、続けた。

「なのに。……一番の笑い話なのは……子供が出来たと気づいた時、嬉しいと思ってしまった私がいたことだ。私が……憎いはずの惑星の女王を、いつの間にか愛してしまっていたということだ……!あの綺麗事ばかりで、理想ばかりを語る甘ったれた姫君を、私は……!」

 だから、と。理音は全てが繋がる瞬間を知る。だから、アオは逃げたのだ。子供が出来たことに気づいたから。その相手である、女王を愛してしまった自分が許せなかったから。
 テラの惑星を滅ぼすために、我が子を女王の後継にしてはならない。何よりも、憎い敵を愛するようなことなどあってはならない。ゆえに。
 きっとアオは最初は――子供と共に死ぬために、逃げ出したのである。何処でもいい、何処かへ、と。

「……許されることではないことくらい、わかっている」

 やがて。伏したばかりのエスメアが、呻くように告げた。

「人として、許されないことをした。私はそれさえも知らずに貴方を連れ戻そうとした……それそのものが罪であることくらい、本当はわかっています。でも。……それでも、女王陛下が心から貴方を愛していることを知っていて、どうして連れ戻さないという選択がありますか……?」
「お前……」
「卑怯者だと、冷血漢と罵って下さって結構!それでも私は、貴方に自らの意思でテラに戻っていただきたかったのです!だって、陛下は……!」

 彼がそこまで言いかけた、その時だった。

「そこまでだ、エスメア」

 甲高い、銃声。え、と見ている理音の前で――アオがゆっくりと、倒れていくのが見えた。
 そして。

「アオ!」

 絶叫する理音。最後の登場人物が、地面を踏みしめた。
 血飛沫を上げて崩れ落ちた少年を、冷ややかな目で見つめる巨漢の男。その名は。

「る、ルイン大佐……」

 エスメアが驚愕の声で男の名前を呼ぶ。ルイン、と呼ばれた男はもがくアオの腕を踏みつけて鼻を鳴らした。
 男から感じるのは――明確なまでの憎悪と、怒りだ。

「安心しろエスメア、足を撃ち抜いただけだ、致命傷ではない。……だが、まさかお前を派遣してここまで手こずるとはな」
「も、申し訳ありません……」
「お前は優秀だが少々詰めが甘い。……女王陛下の言葉と我々の最大の目的、同時に達成する方法は充分にあるというのに」

 再びアオが動きだそうとする、気配。彼は魔導士だ。動きを封じられていたところで本来、魔法が制限されるということはなかっただろう。
 だが、そんなことはルインと呼ばれた大男も百も承知であったようで。

「がっ!」
「アオ!くそ、やめろこのデカブツ野郎!」

 アオの集中が途切れるように――再び銃弾を撃ち込んで見せたのである。アオの肩から血が吹き上がった。理音は立ち上がろうとして――脚に走った痛みに呻く。
 こちらは弾がかすっただけの傷だ。それでも抉れて焼けた足はじんじんと無視できない痛みを発している。立ち上がることはできるだろうが、とても走れる状態ではない。ましてや、鍛え抜かれた異星人の軍人に太刀打ちできるとは思えない。
 そしてアオも。いくら天才的な魔導士といっても、怪我が増えればそれだけ集中力は削られる。先程のような無双は、無傷であればこそだろう。

「奪われた宝のうち、兵器の知識は諦めよう。確かにクライシス・コードは惜しいが……我らファラビアにどうしても必要なモノではない。他の惑星にさえ渡らなければ問題ないからな。だが。……女王陛下の御子は話が別。神の血を引く跡継ぎがいなければ我らの偉大な惑星は必ず滅ぶ……必ずだ。そのようなこと、断じて認めるわけにはいかない、そして」

 男は乱暴にアオの体を仰向けにすると、傷ついた肩をぐりぐりと踏みつけた。そして。

「陛下は“貴様を必ず生きて連れ戻せ”とは言っていない。そして我々も本当に必要なのは貴様ではなく……貴様の腹の子供だけだ」
「お、お前!まさか……っ!」
「そうだ。腹の子さえ連れて帰れたならロックハート、貴様がどうなろうと関係ないのだ。基本的に流産しないとされるガイアの民、胎児が丈夫なのは有名な話。我々の科学技術なら、超未熟児であっても充分に育てることは可能だ」

 まさか。まさか、まさか!
 理音は絶句するしかない。あのルインとかいう男は、アオの腹を引き裂いて子供を奪おうというのか。

「は、はは……」

 それを聞いて。痛みに呻きながらも、アオが乾いた笑い声を上げた。

「やはり、そうか……!お前達を、滅ぼそうとした私の選択は、間違ってなかったわけだ……!貴様らは正真正銘、人の皮を被った悪魔だったというわけだ……っ」
「何とでも言えばいい。貴様にとって最も大切なものが友であったというのなら、我々にとってはそれが神であり女王陛下であるというだけのこと。陛下には、貴様は追い詰められて自害したとでも言っておく。死体を持ち帰れという命令も受けていない……なんとでも誤魔化しはきくからな」

 すらり、とルインは腰から長剣を抜き去った。冗談だろう、としか理音には思えない。本当にこの男はそこまでするというのか。異星人とはいえ子供を相手に、拷問や実験で散々苦しめたばかりでは飽きたらず――母親の腹を切り裂いて子供を奪い取ると?
 そのような真似が何故許される?何故、そのような冷徹な真似が出来る?

――ふざけるな。お前らの……お前らの事情なんか知るか。何でアオがそんな目に遭わされなきゃいけねーんだよ!

「る、ルイン大佐……まさか、本当に……」

 エスメアは動揺し、完全に動きを止めている。彼はまだ人の心があるのだろう。だが、そもそもが熱心なファラビア教とやらの信者。信仰心は、容易く良心の天秤にかけられるものではない。
 このままではアオは殺されるだろう。生きたまま腹を裂かれて、望んだ子ではないとしても――我が子を正しく産み落としてやることもできず、奪われて。

――冗談じゃねえ。

 ぞわり、と。全身の毛が逆立つ感覚があった。ああ、幼い頃一度だけ。たった一度だけ本気で怒ったことがある。苛められて、クラスメートにからかわれた言葉。お前なんか母ちゃんにだって嫌われてるくせに、というあの言葉がどうしても許せなくて理音は――。
 やってはいけないことを、した。
 己の力ならそれも可能だろうと思っていて、それでもギリギリの理性で自重してきたことを。そうだあのクラスメートはどうなったのだろうか。おかしくなってハサミを振り回して、そのあとは?
 確かなのは理音が母親に血が出るほど殴られたことと、父親に氷のような眼を向けられたということ、それだけ。

――もう二度とあんな事件だけは起こすまいって思ってた。でも。……今、他に……アオを助ける方法がないなら。

 ルインが刃物を振り上げるのが見える。
 アオは、理音を救ってくれた。そのアオが今まさに殺されそうになっている。ならば、例えそのアオに忌み嫌われることになったとしても、自分は。

――助けたい。……俺にしかできない、そうだろうっ!?

 腹は決まっていた。恩返しをするなら今しかない。だから、理音は。



――ありがとう、アオ。……そして、もしかしたら……さよなら。



 カッと見開いた眼でルインを睨み――己の持ちうる力のすべてを解放したのだ。
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