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<27・戦士と傍観者>
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ジェフが霊界に行くと、他の吊られたメンバーや噛まれたメンバーが勢ぞろいしていた。それぞれ個室が与えられるのかと思いきや、そうではなかったらしい。ジェフが待っていると、すぐに噛まれたとおぼしきキャサリンが部屋に入ってきた。他のメンバー以上に彼女には冷たい視線を投げつけられ、思わず“おおこわっ”と言葉に出してしまうジェフである。
「キャサリン~そんな怖い顔しないでくれよ。なんだよなんだよ、最後に“カロリーヌ頑張れ”って言ったのがそんなに不満だったのか?」
「…………」
他にも可愛らしい見た目の女子はいるが、その中でもひときわ美人なキャサリンである。ギラギラとした眼で睨みつけられる威圧感といったらない。恐ろしい反面、ぞくぞくと背筋が泡立つのは確かだった。うっかり下半身に血が集まりそうになり、思わず首を振って意識を散らす。
「なんだよもー、そんなに睨んじゃって。え、煽ってる?ゲーム終わるまでに一発くらいやれそうだけど、俺と遊んじゃう?」
「潰してやろうか、貴様」
「こっわ!マジこっわー!」
ジェフの見た目は、その実前世とそんなに変わっていなかったりする。かつての自分は、ここまで明るくはっちゃけた性格ではなかったが。世間への不満を溜め込み、やりたくもない仕事をするたび頭を下げて鬱憤をSNSにぶつけるしかなかった日々である。本当の自分はこんなんじゃない、俺はもっと自由に評価されて生きるべき人間だ――そう思いながら終わった人生だった。それがまさか、転生したあとにこんなご褒美が待っているとは思わなかったが。
キャサリンのドレスはかなり官能的だ。豊満な胸元が、谷間までくっきり見えている。上から覗き込んでやりたいな、と思ってわざと近くまで寄り、となりに座ろうとした時だ。
「ぐげっ!」
すぐ傍の別の椅子に座っていた人物に、思い切り脚を蹴り飛ばされた。鬼のような形相でこちらを睨んでくるのは、ミラである。
「キャサリンに触るんじゃないわよ、変態。ほんとに不能にしてあげてもいいけど?」
こっちもこっちでなかなかの美人。そんな責めないでくれよ、興奮するだろ――とジェフは思う。ああ、せっかく極上の美人達がいるのに、こうも衆人環視の前では好き勝手にすることもできやしない。キャサリンとミラをはべらせて3Pでもしたら、さぞかし楽しい思いができるだろうに。
「ごめんってば。でもさあ、隣に座ろうとしただけで蹴ることなくない?」
「眼がいやらしいのよ。しれっとキャサリンの胸覗き込んでるのバレてるから。私、変態とストーカーには容赦しないことにしてるの。男の風上にも置けないわ」
「ひー」
ひょっとしてミラは、前世で何か男絡みで嫌なことがあったのかもしれない。まあ、他のエイダやヘンリエッタ、クラリッサら女性陣の目線もほどほどに冷たいから関係ないのかもしれないが。同じ男性であるはずのダリルからも呆れたような眼を向けられている。テレンスは――部屋の隅でうずくまって何やらぶつぶつ言っている有様だが。
この部屋にはテーブルがなく、たくさんの椅子が置かれているだけであるようだった。それ以外は、ゲームを行っていた暗幕が貼られた部屋とさほど内装は変わらない。ここならば内訳を見ることもできるのだろうかとタブレットを見たが、どうやら霊界に行ってもまだゲーム終了までは内訳を確認することができないようになっているらしかった。まあ、ジェフが吊られてゲームが終わらず、そしてキャサリンが噛まれた時点で内訳はほとんど二つに一つなのだが。
つまり、カロリーヌとザカライア、どちらかが村人でどちらかが狼ということである。
「……一つお尋ねしたいのですが」
相変わらずの無表情で、クラリッサが口を開く。
「ジェフさん、最後の言葉の意味はなんでしょう?カロリーヌさんへの、です。あれはただ、退場前に引っ掻き回したかっただけですか?まがりなりにも貴方は村人であるはずなのですが。……貴方が何も考えず、村を混乱させるために遺言したのではないかと思っているので、キャサリンさんは特に機嫌が悪いのでは」
「あー……あれか。うーん」
そう言われても、と言うしかない。確かに自分の態度はナメくさっていると言われても仕方ないものであったかもしれないが、これでも村のために考えて告げたつもりであったのである。
「あれ、一応真面目な遺言のつもりだったんだけど。俺が人狼だと思ってるのはカロリーヌの方だよ、という意味で」
その根拠もないわけではないが、詳細の説明は控えた。そもそも自分が言ったところで信じて貰えるわけでもないと思ったというのもある。
まあ、自分としてはゲームに勝って女王様になんらかの願いを叶えてもらうのも、地獄に堕ちるのもどちらでも本望なのだ。信じて貰えないならそれはそれで問題もないのだけれど。
「本当にそう思ってるなら、まるで狂人のような物言いは控えるべきでしょ」
「本当にそれ」
ダリル、ヘンリエッタの少年少女からもツッコミは飛ぶ。ごめんってばー、と言いながらジェフは適当な椅子に座り(キャサリンかミラの隣に座りたかったが、全力で阻止されてしまった)タブレットを見る。ゲームが開始されてからは、完全にネット回線が遮断されてしまっているらしい。今、見ることができるのはゲームの様子だけだ。当然、退屈しのぎの道具も他にはないということになる。
――ま、これはこれで面白いし。最後まで身守るだけ見守ってみましょーかね。
ジェフが見ている前で、タイマーは切り替わり――再び昼の議論を行う部屋に、三人の生存者が出現することになる。
いよいよこれが、ラストゲームだ。
***
『六日目の朝になりまシタ。……キャサリンさんは、無残な遺体で発見されまシタ。皆様、本日の議論を始めてくだサイ』
――絆……!
やはり、噛まれたのは霊能者の絆だった。カンナは唇を噛み締める。これで明確に、LWがザカライアであることが確定。カロリーヌとザカライアで相互に投票し、猫又のウォーレンが決め打ちを行う形になる。
『人は完全に嘘をつくことはできない。そして予定外のことが起きれば必ずそこにボロが出る。……私達の発言は全てログで残っているはずだ。夜の間に徹底的に互の台詞を洗え。必ず勝機はある。……私は、必ず村が勝ってくれると信じている。以上だ』
あれは間違いなく、絆が残してくれたメッセージ。坂ライアに勝つために全力を尽くせという叱咤激励だ。
――……大丈夫。私、絶対にザカライアに勝つよ……!
昨日の夜のうちに、ザカライアの殴り要素はまとめてある。勝算は充分にあるだろう。――ただし、ザカライアはなかなかの強弁であるようだし、油断するわけにはいかない。殴り勝つのは、ただ理論を並べるだけでは足らないはずだ。
最後に勝敗を決めるのは、“勝ちたい”という気持ちをどこまで強く持ち続けられるかどうか、なのだろう。
「……やはりこのメンバーで最終日になったか」
ウォーレンはため息をついた。猫又は往々にして胃痛ポジションになりがちである。今まさに、その苦しみをキリキリと味わっているところなのだろう。なんせ彼の一票で、村陣営の命運が決まってしまうのだから。
「とりあえず、今日までのCO状況を再確認しよう。参考にしてくれたまえ」
【CO状況】
<占い師>
ダリル:エイダ黒(噛み)
エイダ:ザカライア黒(吊り)
クラリッサ:ヘンリエッタ白→テレンス白(吊り)
<霊能者>
キャサリン:エイダ黒→クラリッサ白→テレンス黒(噛み)
<猫又>
ウォーレン
<狩人>
?
<吊り>
エイダ→クラリッサ→テレンス→ジェフ
<噛み>
初日犠牲者→ダリル→ミラ→ヘンリエッタ→キャサリン
<完全グレー>
11のカロリーヌ
<現生存者>
1のウォーレン
8のザカライア
11のカロリーヌ
「それぞれの内訳と一緒に主張を展開してほしい。まあ、今回はどっちの視点からも比較的すっきりと内訳が見えているし、お互いがLWということ以外は共通しているかもしれんが」
「そうですね」
それでは、とザカライアが自分達に向き直る。
「私から行かせていただきます。覚悟は、よろしいですか?」
カンナは身構えた。果たして、ザカライアはどのように自分の村アピール、そしてカロリーヌを殴ってくるのだろうか。最終日に相応しい強敵。最終日は彼と全力で戦って白黒つけたいと思ったからこそ、昨日はジェフ吊りをしたのである。
恐ろしい反面、少しだけわくわくしている自分がいるのも否めない。
「まず、私視点の内訳。真占い師はダリルさん。狼はエイダさん、テレンスさん、カロリーヌさん。狂人がクラリッサさんになりますね。狩人は少し悩ましいところですが、ミラさんであった可能性が高いとは思います。ヘンリエッタさんも少し怪しいのですけれど、彼女が狩人だったなら非猫を透かすような台詞は言わないでしょう。むしろ、本当に狩人だったら発言が少々迂闊すぎます」
狩人考察に関しては、カンナも異論はなかった。吊られた人間も噛まれた人間も多いが、霊能結果が正しいと確定した今吊られた人間の中で狩人の可能性が少しでもあるのはジェフしかいない。しかし、彼はグレーが狭くなってきた状況でも狩人COをしなかったし、実際自分はCOなしだと言っていた。ふざけた人物であったが、あれで人狼ゲームの最低限のルールは守っていたように思われる。ここで嘘をついて、狩人にも関わらず沈んだなんてことはないだろう。彼がまるで疑われていない位置であったならともかく、実際はそうではなかったのだから。
つまり、狩人候補は噛まれた者達のみ。ダリルとキャサリンはそれぞれ占い師と霊能者を名乗っているのだから、やはりミラかヘンリエッタの二択しかない。やはり、ミラ狩人だったと考えるのが妥当である。
「この内訳を踏まえて、私は昨晩狼の作戦がどのようなものであったのか考えてみたのです。狼……つまりカロリーヌさん達の作戦がどうであったのかを」
「言ってみなよ」
余裕の笑みを崩さないザカライアに、カンナも毅然とした態度で挑む。
「おかしなところは、容赦なくツッコむからそのつもりでね?」
「キャサリン~そんな怖い顔しないでくれよ。なんだよなんだよ、最後に“カロリーヌ頑張れ”って言ったのがそんなに不満だったのか?」
「…………」
他にも可愛らしい見た目の女子はいるが、その中でもひときわ美人なキャサリンである。ギラギラとした眼で睨みつけられる威圧感といったらない。恐ろしい反面、ぞくぞくと背筋が泡立つのは確かだった。うっかり下半身に血が集まりそうになり、思わず首を振って意識を散らす。
「なんだよもー、そんなに睨んじゃって。え、煽ってる?ゲーム終わるまでに一発くらいやれそうだけど、俺と遊んじゃう?」
「潰してやろうか、貴様」
「こっわ!マジこっわー!」
ジェフの見た目は、その実前世とそんなに変わっていなかったりする。かつての自分は、ここまで明るくはっちゃけた性格ではなかったが。世間への不満を溜め込み、やりたくもない仕事をするたび頭を下げて鬱憤をSNSにぶつけるしかなかった日々である。本当の自分はこんなんじゃない、俺はもっと自由に評価されて生きるべき人間だ――そう思いながら終わった人生だった。それがまさか、転生したあとにこんなご褒美が待っているとは思わなかったが。
キャサリンのドレスはかなり官能的だ。豊満な胸元が、谷間までくっきり見えている。上から覗き込んでやりたいな、と思ってわざと近くまで寄り、となりに座ろうとした時だ。
「ぐげっ!」
すぐ傍の別の椅子に座っていた人物に、思い切り脚を蹴り飛ばされた。鬼のような形相でこちらを睨んでくるのは、ミラである。
「キャサリンに触るんじゃないわよ、変態。ほんとに不能にしてあげてもいいけど?」
こっちもこっちでなかなかの美人。そんな責めないでくれよ、興奮するだろ――とジェフは思う。ああ、せっかく極上の美人達がいるのに、こうも衆人環視の前では好き勝手にすることもできやしない。キャサリンとミラをはべらせて3Pでもしたら、さぞかし楽しい思いができるだろうに。
「ごめんってば。でもさあ、隣に座ろうとしただけで蹴ることなくない?」
「眼がいやらしいのよ。しれっとキャサリンの胸覗き込んでるのバレてるから。私、変態とストーカーには容赦しないことにしてるの。男の風上にも置けないわ」
「ひー」
ひょっとしてミラは、前世で何か男絡みで嫌なことがあったのかもしれない。まあ、他のエイダやヘンリエッタ、クラリッサら女性陣の目線もほどほどに冷たいから関係ないのかもしれないが。同じ男性であるはずのダリルからも呆れたような眼を向けられている。テレンスは――部屋の隅でうずくまって何やらぶつぶつ言っている有様だが。
この部屋にはテーブルがなく、たくさんの椅子が置かれているだけであるようだった。それ以外は、ゲームを行っていた暗幕が貼られた部屋とさほど内装は変わらない。ここならば内訳を見ることもできるのだろうかとタブレットを見たが、どうやら霊界に行ってもまだゲーム終了までは内訳を確認することができないようになっているらしかった。まあ、ジェフが吊られてゲームが終わらず、そしてキャサリンが噛まれた時点で内訳はほとんど二つに一つなのだが。
つまり、カロリーヌとザカライア、どちらかが村人でどちらかが狼ということである。
「……一つお尋ねしたいのですが」
相変わらずの無表情で、クラリッサが口を開く。
「ジェフさん、最後の言葉の意味はなんでしょう?カロリーヌさんへの、です。あれはただ、退場前に引っ掻き回したかっただけですか?まがりなりにも貴方は村人であるはずなのですが。……貴方が何も考えず、村を混乱させるために遺言したのではないかと思っているので、キャサリンさんは特に機嫌が悪いのでは」
「あー……あれか。うーん」
そう言われても、と言うしかない。確かに自分の態度はナメくさっていると言われても仕方ないものであったかもしれないが、これでも村のために考えて告げたつもりであったのである。
「あれ、一応真面目な遺言のつもりだったんだけど。俺が人狼だと思ってるのはカロリーヌの方だよ、という意味で」
その根拠もないわけではないが、詳細の説明は控えた。そもそも自分が言ったところで信じて貰えるわけでもないと思ったというのもある。
まあ、自分としてはゲームに勝って女王様になんらかの願いを叶えてもらうのも、地獄に堕ちるのもどちらでも本望なのだ。信じて貰えないならそれはそれで問題もないのだけれど。
「本当にそう思ってるなら、まるで狂人のような物言いは控えるべきでしょ」
「本当にそれ」
ダリル、ヘンリエッタの少年少女からもツッコミは飛ぶ。ごめんってばー、と言いながらジェフは適当な椅子に座り(キャサリンかミラの隣に座りたかったが、全力で阻止されてしまった)タブレットを見る。ゲームが開始されてからは、完全にネット回線が遮断されてしまっているらしい。今、見ることができるのはゲームの様子だけだ。当然、退屈しのぎの道具も他にはないということになる。
――ま、これはこれで面白いし。最後まで身守るだけ見守ってみましょーかね。
ジェフが見ている前で、タイマーは切り替わり――再び昼の議論を行う部屋に、三人の生存者が出現することになる。
いよいよこれが、ラストゲームだ。
***
『六日目の朝になりまシタ。……キャサリンさんは、無残な遺体で発見されまシタ。皆様、本日の議論を始めてくだサイ』
――絆……!
やはり、噛まれたのは霊能者の絆だった。カンナは唇を噛み締める。これで明確に、LWがザカライアであることが確定。カロリーヌとザカライアで相互に投票し、猫又のウォーレンが決め打ちを行う形になる。
『人は完全に嘘をつくことはできない。そして予定外のことが起きれば必ずそこにボロが出る。……私達の発言は全てログで残っているはずだ。夜の間に徹底的に互の台詞を洗え。必ず勝機はある。……私は、必ず村が勝ってくれると信じている。以上だ』
あれは間違いなく、絆が残してくれたメッセージ。坂ライアに勝つために全力を尽くせという叱咤激励だ。
――……大丈夫。私、絶対にザカライアに勝つよ……!
昨日の夜のうちに、ザカライアの殴り要素はまとめてある。勝算は充分にあるだろう。――ただし、ザカライアはなかなかの強弁であるようだし、油断するわけにはいかない。殴り勝つのは、ただ理論を並べるだけでは足らないはずだ。
最後に勝敗を決めるのは、“勝ちたい”という気持ちをどこまで強く持ち続けられるかどうか、なのだろう。
「……やはりこのメンバーで最終日になったか」
ウォーレンはため息をついた。猫又は往々にして胃痛ポジションになりがちである。今まさに、その苦しみをキリキリと味わっているところなのだろう。なんせ彼の一票で、村陣営の命運が決まってしまうのだから。
「とりあえず、今日までのCO状況を再確認しよう。参考にしてくれたまえ」
【CO状況】
<占い師>
ダリル:エイダ黒(噛み)
エイダ:ザカライア黒(吊り)
クラリッサ:ヘンリエッタ白→テレンス白(吊り)
<霊能者>
キャサリン:エイダ黒→クラリッサ白→テレンス黒(噛み)
<猫又>
ウォーレン
<狩人>
?
<吊り>
エイダ→クラリッサ→テレンス→ジェフ
<噛み>
初日犠牲者→ダリル→ミラ→ヘンリエッタ→キャサリン
<完全グレー>
11のカロリーヌ
<現生存者>
1のウォーレン
8のザカライア
11のカロリーヌ
「それぞれの内訳と一緒に主張を展開してほしい。まあ、今回はどっちの視点からも比較的すっきりと内訳が見えているし、お互いがLWということ以外は共通しているかもしれんが」
「そうですね」
それでは、とザカライアが自分達に向き直る。
「私から行かせていただきます。覚悟は、よろしいですか?」
カンナは身構えた。果たして、ザカライアはどのように自分の村アピール、そしてカロリーヌを殴ってくるのだろうか。最終日に相応しい強敵。最終日は彼と全力で戦って白黒つけたいと思ったからこそ、昨日はジェフ吊りをしたのである。
恐ろしい反面、少しだけわくわくしている自分がいるのも否めない。
「まず、私視点の内訳。真占い師はダリルさん。狼はエイダさん、テレンスさん、カロリーヌさん。狂人がクラリッサさんになりますね。狩人は少し悩ましいところですが、ミラさんであった可能性が高いとは思います。ヘンリエッタさんも少し怪しいのですけれど、彼女が狩人だったなら非猫を透かすような台詞は言わないでしょう。むしろ、本当に狩人だったら発言が少々迂闊すぎます」
狩人考察に関しては、カンナも異論はなかった。吊られた人間も噛まれた人間も多いが、霊能結果が正しいと確定した今吊られた人間の中で狩人の可能性が少しでもあるのはジェフしかいない。しかし、彼はグレーが狭くなってきた状況でも狩人COをしなかったし、実際自分はCOなしだと言っていた。ふざけた人物であったが、あれで人狼ゲームの最低限のルールは守っていたように思われる。ここで嘘をついて、狩人にも関わらず沈んだなんてことはないだろう。彼がまるで疑われていない位置であったならともかく、実際はそうではなかったのだから。
つまり、狩人候補は噛まれた者達のみ。ダリルとキャサリンはそれぞれ占い師と霊能者を名乗っているのだから、やはりミラかヘンリエッタの二択しかない。やはり、ミラ狩人だったと考えるのが妥当である。
「この内訳を踏まえて、私は昨晩狼の作戦がどのようなものであったのか考えてみたのです。狼……つまりカロリーヌさん達の作戦がどうであったのかを」
「言ってみなよ」
余裕の笑みを崩さないザカライアに、カンナも毅然とした態度で挑む。
「おかしなところは、容赦なくツッコむからそのつもりでね?」
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