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<23・グレースケール>
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グレースケールとは。
参加者の中で、現在実質グレーにいる者達を、怪しい順or信用できる順に並べて提示することである。発言を見極めて、誰が狼に近いように見えるか、村人たちが思考開示する方法の一つだ。
今回は完全グレーの者と暫定白の者が参加者の中にいるが。もし、クラリッサの真を切り、ダリル真占いで決め打つのであれば殆どの人間がグレー扱いということになる。ダリルはエイダ黒、という結果しか出しておらず、エイダは既に吊られていてこの場にはいないのだから。
――あんまり私も、実のある発言はできてないし。なんとか、夜の間に誰が怪しいのか考えておかないと。
カンナは思考を整理する。グレースケール対象をクラリッサの白にまで広げるのなら、カンナの場合“1のウォーレン”、“4のテレンス”“5のヘンリエッタ”、“6のジェフ”“11のカロリーヌ”の五人となる。非常に範囲が広くなってしまう。やはり、クラリッサの真を完全に切るかどうかから先に考えた方が良さそうである。
――初日の占い、三日目昼に提示された占い。どっちも占い先と占い理由は悪くない。あとは私が、テレンス白という結果を信じられるかどうかだな……。
今日の吊りは、残る占い師のクラリッサで確定。そもそも占い師はローラー予定であったし、生き残ったクラリッサの真を追うのは他の村人から見ても難しい状況である。クラリッサ自身、自分吊りそのものに不満は述べていない。彼女が真であっても、ここは吊られて霊能結果を見てもらった方がいい場面であるのだから。幸い、彼女は二つ白結果を残していて、その二人共が生存している状況である。
「クラリッサ。今日の吊りは貴女ですが、何か遺言はありますか?私はダリルさん真で見てますが、個人的にはまだ完全に貴女の真を切っていません。状況次第ではまだ追うつもりなので、村のためになる遺言があればぜひ願いしたいところですね」
柔らかな口調で告げるザカライア。実際、クラリッサは破綻したわけではないし、彼女は狂人アピールの類もしていない(あるいは、占い結果が狂アピである可能性もあるが)。真をまだ追う、というのは果たして本心なのかどうなのか。
「そうですね……」
クラリッサは少し目を伏せて、考えた後に告げる。
「……私の残りグレーは四人。私の視点では、この中に二人狼がいることになります。正直誰が一番怪しくて、誰がそうではないかというのがなかなか判断がつかない状況ですね。ただ、今日の動きからして、グレー四人のうち一番白く見ているのはミラさんです。護衛ぶらしをしているように見えるテレンスさんを牽制したり、情報が落ちるように吊り先誘導をしたカロリーヌさんを注意したり……非常に村のためになる動きをしていると感じるからですね」
「なるほど。では逆に一番黒いと思える人はいますか?」
「非常に甲乙つけがたいところです。ただ、もし明日私が生きていたら、その白く見えているミラさんと対立していたカロリーヌさんの色は見てみたかったところですね」
それは実質、自分を疑っているということではないか。カンナは眉をひそめる。
この言葉を人外のそれと受け取るか、真占い師のそれと受け取るかで大きく判断が変わってくるだろう。
「遺言は以上です。今日は私吊りで構いません。ただし、再三になりますが真占い師は私です。狼は、ダリルさんが噛まれ真に見えるようにと狙って狂人を噛んだのです。どうか、私の白は信じてください。狼は必ず、完全グレー四人の中にいるのです」
「……なるほど、参考にする」
それを、指示役であるキャサリンはどう受け取ったのか。
ふと、カンナはクラリッサの言葉を思い返して首を傾げた。村役ならば当然そこに触れるべきではないのだが――現状は高い確率で、猫狩はどちらもグレーの中に潜んでいることになる。今の発言からして、彼女は遠まわしにミラを村役と疑っていると言ったようなものではないだろうか?確かに、そこは何か持っていそうだとはカンナも思っていたが――。
『時間となりまシタ。皆様、投票をお願いしマス!』
さあ、再び投票時間だ。今回も票はバラける要素がない。
<投票結果>
1のウォーレン(1)→7のクラリッサ
4のテレンス(0)→7のクラリッサ
5のヘンリエッタ(0)→7のクラリッサ
6のジェフ(0)→7のクラリッサ
7のクラリッサ(0)→1のウォーレン
8のザカライア(0)→7のクラリッサ
9のミラ(0)→7のクラリッサ
10のキャサリン(0)→7のクラリッサ
11のカロリーヌ(0)→7のクラリッサ
『投票が終わりまシタ。7のクラリッサさんが吊られマス。クラリッサさんは、ゲーム終了まで霊界という名の隣室で待機となりますので、お待ちくだサイ』
投票結果が出、夜になる瞬間。カンナの耳に、どこか笑いを含んだようにも聞こえるクラリッサの声が響いた。
「あとはお願いしますね……ミラさん」
――……それは、どういう意味?
なんでまたそんな意味深なことを、と思ったが。尋ね返すことなどできるはずもない。夜時間専用の部屋で、カンナははああ、と深くため息をついた。
――というか、クラリッサは最後にしれっと遺言投票しているなあ。捨て票なら霊能のキャサリンに入れるだろうから、これは彼女なりのアピールってところか。でも、さりげなく疑っているって言ってた私じゃなくて、ウォーレンに入れるっていうのはどういうことなんだろう。
正直なところ、ウォーレンはあまり疑っている位置にはないと思っているカンナである。正確な進行に対して言い出したのもそうだし、一歩引いて冷静に村の様子を見ている印象であるからだ。同じ理由で、ヘンリエッタもあまり黒くは見えない。この二人のあたりに、村役があってもおかしくはない印象である。ただ、猫であるなら少々目立たなすぎる気がしないでもないが。
――グレースケール対象五人。やっぱり、ノイズ気味に感じるのはテレンスだな。
テレンスと、ジェフ。このどちらか、あるいは両方が狼であるように見える。ただ、テレンスが狼であった場合、彼が初日で吊り先誘導しようとしていたザカライアが相対的に白くなるだろうか。ザカライアの発言そのものは、そこまで怪しいものはない、ように思う。此処もできれば真占い師に色をつけてほしかった位置ではあるが、今吊り先としての優先順位は高くはないだろう。
とすると、グレースケール順はこうなるだろうか。
――黒い順に……テレンス>ジェフ>ザカライア>ヘンリエッタ>ウォーレン=ミラ かな……?
後ろ二人は、村役に見える位置だ。ただ、ミラは自分が人外であっても積極的に殴ってくるかもしれない――なんてメタもある。万が一ここが狼だったら吊れないし、かなり判断が難しくなるだろう。できれば噛まれて村人証明してくれると助かるなと思ってしまう。
ヘンリエッタとウォーレンの二人を比べてヘンリエッタの方を若干黒く見たのは、ここの方が囲い位置であるからである。ただし、恐らく狂人であろうクラリッサに主人の正確な位置がわかっているとは思えない。しかも初日は、本当に判断材料がない状態で運だけで囲っているようなもの。囲いとしては、まだテレンスの方が充分有り得ることだろう。実際、テレンスは人外として怪しむ要素が多くあったというのは、既に占い理由としてクラリッサ自身が述べていることである。
――やっぱり、考えれば考えるほど……真占い師はダリルに見えてならない。ここは、もう思考を決めうって考えた方がいいような気がする……!
夜の残り時間が減っていくのを見ながら、カンナは決意した。クラリッサは破綻していないが――ここはすっぱりと彼女の真を切ってしまった方がいい、と。
つまり、テレンスは彼女の囲いと思うべき。
彼女の最後の言葉は、人外としての遺言として判断するべきである、と。
――狂人として、狼に思考開示したとしたら?……最後の言葉は、どう受け取るべき?
彼女は投票直後にまで、ミラの名前を口にしている。真占い師と考えるならば、信頼している彼女を頼りたくなるのはわからないではない。だが。
占い師と考えるなら、それこそ疑問に思うべきこともある。彼女は、既に二人を占って白を出しているのだ。何故最後の最後で一番頼るべきと考えた相手が、自分が白出ししたヘンリエッタとテレンスではないのだろう?テレンスは頼りなさそうに見えるという理由からわからないではないが、落ち着いた様子のヘンリエッタなら村を良い方向に導いてくれそうなものである。占い師が、占い結果よりも村役職よりも、グレーで発言でしか追えていない相手を信じるなんてことがあるのだろうか。
――これも、偽占い師の言葉と考えるなら筋が通る……?ミラの名前を伝えたかったのが、村へではなくご主人様へであったとしたら……。そして、何故か疑っていた私ではなくウォーレンに投票した理由は……。
『……私の残りグレーは四人。私の視点では、この中に二人狼がいることになります。正直誰が一番怪しくて、誰がそうではないかというのがなかなか判断がつかない状況ですね。ただ、今日の動きからして、グレー四人のうち一番白く見ているのはミラさんです。護衛ぶらしをしているように見えるテレンスさんを牽制したり、情報が落ちるように吊り先誘導をしたカロリーヌさんを注意したり……非常に村のためになる動きをしていると感じるからですね』
カンナははっと顔を上げる。まさか、と一つの可能性に思い至ったのだ。
――まさか……狼への、噛み先指示!?
『四日目の朝になりまシタ。……ミラさんは、無残な遺体で発見されまシタ。皆様、本日の議論を始めてくだサイ』
気づいたが、時すでに遅し。
四日目の朝になった時、まさに現実は目の前につきつけられているのである。ミラが、昼の部屋からいなくなっていたのだ。
「……昨日。クラリッサが村目と見ていたミラが噛まれているわけか」
ウォーレンが、苦々しい口調で告げた。
「しかも、クラリッサの白を無視して、完全グレーであるミラを噛んできた。……これはもう、クラリッサの真は切っていいのではないか?なんにせよ霊能、結果を頼むよ」
「ああ」
村役であり指示役、判断役は。可能な限り思考開示を控えた方がいい場合もある。皆の意見を聴いてから指定を出す場合は特にそう。
だが今回ばかりは、キャサリンも思うところがあったのだろう。彼女は告げた。
「霊能CO……クラリッサ白。彼女は狂人だったと思っていいと私も考える。……それを踏まえて、今日の議論をしたいところだな」
参加者の中で、現在実質グレーにいる者達を、怪しい順or信用できる順に並べて提示することである。発言を見極めて、誰が狼に近いように見えるか、村人たちが思考開示する方法の一つだ。
今回は完全グレーの者と暫定白の者が参加者の中にいるが。もし、クラリッサの真を切り、ダリル真占いで決め打つのであれば殆どの人間がグレー扱いということになる。ダリルはエイダ黒、という結果しか出しておらず、エイダは既に吊られていてこの場にはいないのだから。
――あんまり私も、実のある発言はできてないし。なんとか、夜の間に誰が怪しいのか考えておかないと。
カンナは思考を整理する。グレースケール対象をクラリッサの白にまで広げるのなら、カンナの場合“1のウォーレン”、“4のテレンス”“5のヘンリエッタ”、“6のジェフ”“11のカロリーヌ”の五人となる。非常に範囲が広くなってしまう。やはり、クラリッサの真を完全に切るかどうかから先に考えた方が良さそうである。
――初日の占い、三日目昼に提示された占い。どっちも占い先と占い理由は悪くない。あとは私が、テレンス白という結果を信じられるかどうかだな……。
今日の吊りは、残る占い師のクラリッサで確定。そもそも占い師はローラー予定であったし、生き残ったクラリッサの真を追うのは他の村人から見ても難しい状況である。クラリッサ自身、自分吊りそのものに不満は述べていない。彼女が真であっても、ここは吊られて霊能結果を見てもらった方がいい場面であるのだから。幸い、彼女は二つ白結果を残していて、その二人共が生存している状況である。
「クラリッサ。今日の吊りは貴女ですが、何か遺言はありますか?私はダリルさん真で見てますが、個人的にはまだ完全に貴女の真を切っていません。状況次第ではまだ追うつもりなので、村のためになる遺言があればぜひ願いしたいところですね」
柔らかな口調で告げるザカライア。実際、クラリッサは破綻したわけではないし、彼女は狂人アピールの類もしていない(あるいは、占い結果が狂アピである可能性もあるが)。真をまだ追う、というのは果たして本心なのかどうなのか。
「そうですね……」
クラリッサは少し目を伏せて、考えた後に告げる。
「……私の残りグレーは四人。私の視点では、この中に二人狼がいることになります。正直誰が一番怪しくて、誰がそうではないかというのがなかなか判断がつかない状況ですね。ただ、今日の動きからして、グレー四人のうち一番白く見ているのはミラさんです。護衛ぶらしをしているように見えるテレンスさんを牽制したり、情報が落ちるように吊り先誘導をしたカロリーヌさんを注意したり……非常に村のためになる動きをしていると感じるからですね」
「なるほど。では逆に一番黒いと思える人はいますか?」
「非常に甲乙つけがたいところです。ただ、もし明日私が生きていたら、その白く見えているミラさんと対立していたカロリーヌさんの色は見てみたかったところですね」
それは実質、自分を疑っているということではないか。カンナは眉をひそめる。
この言葉を人外のそれと受け取るか、真占い師のそれと受け取るかで大きく判断が変わってくるだろう。
「遺言は以上です。今日は私吊りで構いません。ただし、再三になりますが真占い師は私です。狼は、ダリルさんが噛まれ真に見えるようにと狙って狂人を噛んだのです。どうか、私の白は信じてください。狼は必ず、完全グレー四人の中にいるのです」
「……なるほど、参考にする」
それを、指示役であるキャサリンはどう受け取ったのか。
ふと、カンナはクラリッサの言葉を思い返して首を傾げた。村役ならば当然そこに触れるべきではないのだが――現状は高い確率で、猫狩はどちらもグレーの中に潜んでいることになる。今の発言からして、彼女は遠まわしにミラを村役と疑っていると言ったようなものではないだろうか?確かに、そこは何か持っていそうだとはカンナも思っていたが――。
『時間となりまシタ。皆様、投票をお願いしマス!』
さあ、再び投票時間だ。今回も票はバラける要素がない。
<投票結果>
1のウォーレン(1)→7のクラリッサ
4のテレンス(0)→7のクラリッサ
5のヘンリエッタ(0)→7のクラリッサ
6のジェフ(0)→7のクラリッサ
7のクラリッサ(0)→1のウォーレン
8のザカライア(0)→7のクラリッサ
9のミラ(0)→7のクラリッサ
10のキャサリン(0)→7のクラリッサ
11のカロリーヌ(0)→7のクラリッサ
『投票が終わりまシタ。7のクラリッサさんが吊られマス。クラリッサさんは、ゲーム終了まで霊界という名の隣室で待機となりますので、お待ちくだサイ』
投票結果が出、夜になる瞬間。カンナの耳に、どこか笑いを含んだようにも聞こえるクラリッサの声が響いた。
「あとはお願いしますね……ミラさん」
――……それは、どういう意味?
なんでまたそんな意味深なことを、と思ったが。尋ね返すことなどできるはずもない。夜時間専用の部屋で、カンナははああ、と深くため息をついた。
――というか、クラリッサは最後にしれっと遺言投票しているなあ。捨て票なら霊能のキャサリンに入れるだろうから、これは彼女なりのアピールってところか。でも、さりげなく疑っているって言ってた私じゃなくて、ウォーレンに入れるっていうのはどういうことなんだろう。
正直なところ、ウォーレンはあまり疑っている位置にはないと思っているカンナである。正確な進行に対して言い出したのもそうだし、一歩引いて冷静に村の様子を見ている印象であるからだ。同じ理由で、ヘンリエッタもあまり黒くは見えない。この二人のあたりに、村役があってもおかしくはない印象である。ただ、猫であるなら少々目立たなすぎる気がしないでもないが。
――グレースケール対象五人。やっぱり、ノイズ気味に感じるのはテレンスだな。
テレンスと、ジェフ。このどちらか、あるいは両方が狼であるように見える。ただ、テレンスが狼であった場合、彼が初日で吊り先誘導しようとしていたザカライアが相対的に白くなるだろうか。ザカライアの発言そのものは、そこまで怪しいものはない、ように思う。此処もできれば真占い師に色をつけてほしかった位置ではあるが、今吊り先としての優先順位は高くはないだろう。
とすると、グレースケール順はこうなるだろうか。
――黒い順に……テレンス>ジェフ>ザカライア>ヘンリエッタ>ウォーレン=ミラ かな……?
後ろ二人は、村役に見える位置だ。ただ、ミラは自分が人外であっても積極的に殴ってくるかもしれない――なんてメタもある。万が一ここが狼だったら吊れないし、かなり判断が難しくなるだろう。できれば噛まれて村人証明してくれると助かるなと思ってしまう。
ヘンリエッタとウォーレンの二人を比べてヘンリエッタの方を若干黒く見たのは、ここの方が囲い位置であるからである。ただし、恐らく狂人であろうクラリッサに主人の正確な位置がわかっているとは思えない。しかも初日は、本当に判断材料がない状態で運だけで囲っているようなもの。囲いとしては、まだテレンスの方が充分有り得ることだろう。実際、テレンスは人外として怪しむ要素が多くあったというのは、既に占い理由としてクラリッサ自身が述べていることである。
――やっぱり、考えれば考えるほど……真占い師はダリルに見えてならない。ここは、もう思考を決めうって考えた方がいいような気がする……!
夜の残り時間が減っていくのを見ながら、カンナは決意した。クラリッサは破綻していないが――ここはすっぱりと彼女の真を切ってしまった方がいい、と。
つまり、テレンスは彼女の囲いと思うべき。
彼女の最後の言葉は、人外としての遺言として判断するべきである、と。
――狂人として、狼に思考開示したとしたら?……最後の言葉は、どう受け取るべき?
彼女は投票直後にまで、ミラの名前を口にしている。真占い師と考えるならば、信頼している彼女を頼りたくなるのはわからないではない。だが。
占い師と考えるなら、それこそ疑問に思うべきこともある。彼女は、既に二人を占って白を出しているのだ。何故最後の最後で一番頼るべきと考えた相手が、自分が白出ししたヘンリエッタとテレンスではないのだろう?テレンスは頼りなさそうに見えるという理由からわからないではないが、落ち着いた様子のヘンリエッタなら村を良い方向に導いてくれそうなものである。占い師が、占い結果よりも村役職よりも、グレーで発言でしか追えていない相手を信じるなんてことがあるのだろうか。
――これも、偽占い師の言葉と考えるなら筋が通る……?ミラの名前を伝えたかったのが、村へではなくご主人様へであったとしたら……。そして、何故か疑っていた私ではなくウォーレンに投票した理由は……。
『……私の残りグレーは四人。私の視点では、この中に二人狼がいることになります。正直誰が一番怪しくて、誰がそうではないかというのがなかなか判断がつかない状況ですね。ただ、今日の動きからして、グレー四人のうち一番白く見ているのはミラさんです。護衛ぶらしをしているように見えるテレンスさんを牽制したり、情報が落ちるように吊り先誘導をしたカロリーヌさんを注意したり……非常に村のためになる動きをしていると感じるからですね』
カンナははっと顔を上げる。まさか、と一つの可能性に思い至ったのだ。
――まさか……狼への、噛み先指示!?
『四日目の朝になりまシタ。……ミラさんは、無残な遺体で発見されまシタ。皆様、本日の議論を始めてくだサイ』
気づいたが、時すでに遅し。
四日目の朝になった時、まさに現実は目の前につきつけられているのである。ミラが、昼の部屋からいなくなっていたのだ。
「……昨日。クラリッサが村目と見ていたミラが噛まれているわけか」
ウォーレンが、苦々しい口調で告げた。
「しかも、クラリッサの白を無視して、完全グレーであるミラを噛んできた。……これはもう、クラリッサの真は切っていいのではないか?なんにせよ霊能、結果を頼むよ」
「ああ」
村役であり指示役、判断役は。可能な限り思考開示を控えた方がいい場合もある。皆の意見を聴いてから指定を出す場合は特にそう。
だが今回ばかりは、キャサリンも思うところがあったのだろう。彼女は告げた。
「霊能CO……クラリッサ白。彼女は狂人だったと思っていいと私も考える。……それを踏まえて、今日の議論をしたいところだな」
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