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<8・矛盾する主張>
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人狼ゲームにおいて、自分の“視点”を整理することは重要だ。
己の役職は確定情報としてわかっている。それを前提にして、他の人が話す情報から“誰が本当のことを言っていて嘘をついているのか”を推理するのである。
断定できる情報はそう多いものではない。ましてや、ワンナイト人狼では皆と情報を共有できるタイミングが二日目の昼しかないので、余計乏しい情報の中で推理しなくてはならなくなる。
唯一の救いは、この村の大前提のルール。それは“自分の陣営に不利益となることはやってはいけない”ということである。人狼ゲームにおける大前提のマナーと言ってもいい。つまり、“村の役職の人間は嘘をつかない”ことを信じていいということでもある。村によっては、村役職の結果騙りが有効である場合もあるが、ワンナイトではそのメリットが殆どない。この村に確実に存在する、本物の村の人間達はまず真実を言う。問題は、“誰が村人でそれ以外なのかがわからない”ことである。
例えば占い師のキャサリンを本当の占い師だと思うのなら、キャサリンとキャサリンが村人判定を出しているカンナ=カロリーヌは村陣営として証言を信じていいことになる。
そして怪盗であるミラを信じるのなら、ミラは怪盗でキャサリンは占い師であることを信じていいということになるのだ。そうやって、芋づる式に情報を整理し、自分の中で確定して内訳を定めていくのである。
この情報整理を間違えると、とんでもないミスリードを起こすことになりかねない。ワンナイトだろうと普通村だろうと、そこは充分気をつけなければならないことである。おかしな内訳を言ったら最後、その人間は“人外ではないか”というレッテルを貼られて、言葉を信じてもらえなくなったり吊られたりする結果になるのだから。今回のワンナイト配役では、てるてるを除き誰一人自分が吊られていい配役はないということになる。つまり、おかしな内訳を“吊られてはいけない人間”が話すのは致命的になりかねない、ということであるのだが。
――問題は、それが“うっかり”か“意図的”かがわからない、ということ。
カンナはじっとジャックを睨む。果たして彼が今した行為は人外の意図したものなのか、それとも村人が迷走しただけなのか。
「お前の主張を整理するとだ」
同じ疑問を持ったはずのキャサリンが、深いため息をついて言う。
「今回の村では占い師と村人、あるいは占い師と人狼一匹が欠けていた。そして、私とカロリーヌが人狼、あるいは私一人が人狼である。そういう主張だな?」
「そうだ、それの何が問題なのだ?キャサリン。筋は通っているだろう。お前が占いにロケットできたのも、そのカロリーヌがロケットできたのも、互いに人狼として示し合わせていたと考えるのが自然ではないか」
ジャックはまだわかっていないらしい。心底不満そうに言葉を連ねる。
「ワンナイト人狼の2Wにおける最も簡単で信用を得やすい騙りだぞ。占いと村人、怪盗と村人でラインを繋ぐ!そもそも君達が本物ならば、かえってロケットCOはしづらいのではないか?先に情報を話して、人外の騙りに上からかぶせられてはたまらんからな」
まあ、それは理解できる。カンナもそれを考えて、一瞬COを少し遅らせようかということも思ったのだから。
だが、彼は気づいていないのか、問題はそこではない、ということに。
「ジャック。あんたは本当に気づいていないのか?”現時点で”私とキャサリンで2Wだけは有り得ないってことを」
これはもうはっきり言うしかない。時間もどんどん減りつつあるのだから。
「CO状況とあんたの主張する内訳は、こうだ」
【CO状況】
<占い師CO>
キャサリン→カロリーヌ村人
<怪盗CO>
ミラ→キャサリン占い師
マリー→ミラ人狼(実質人外CO)
<村人CO>
カロリーヌ
ジャック
【ジャック主張の内訳(2Wの場合)】
<占い師>
欠け
<怪盗>
ミラ
<てるてる>
マリー
<村人>
ジャック
欠け
<人狼>
キャサリン
カロリーヌ
「占い師を騙っているキャサリンと、村人を騙っている私が人狼。マリーがてるてるであるなら。ミラはどうなるんだ?」
「なんだと?」
「彼女は怪盗をCOし、キャサリンと占いを交換したと主張しているんだよ?だけど、あんたの主張だとキャサリンは本当は人狼ってはずじゃないか。怪盗が本物なら、彼女が交換したのは人狼になってしまう。でも、彼女は占い師を交換したと主張していて、キャサリンとラインが繋がっている。……どっちにせよ、ミラは人外。その場合は怪盗を交換されたキャサリンは現・怪盗=村陣営。私とキャサリンで2Wだけは有り得ないと思うのだけども」
「……あ」
やっとジャックは気づいたらしい。ぽかん、と口を開けて固まっている。
キャサリンとカンナが狼ならば、結果を偽っているミラも人外濃厚になり数があわなくなる。勿論この推論は“ミラが結果騙りしている元真怪盗”である可能性を完全に否定するものではないが、それならそれでミラのCOは危険が伴うものになるのではないか。これならばまだ、キャサリンが狼で、適当にカロリーヌに村人を投げたらそれが本物の村人に的中した、といった方が筋が通るのではないか。
ただしその場合は人狼はキャサリンとミラの二人ということになってくる。なんせ、ミラはキャサリンに大して怪盗COにより元占い師判定を出しているのだから。いずれにせよ、キャサリン―カロリーヌ2W主張はあまりに無理がありすぎるのである。
「……もし狂人がこの村にいたら、ジャックは狂人濃厚になるわよね。今のあまりにも見えてない内訳主張は、狂アピに見えてくるわ」
ミラはあきれ果てた様子で肩をすくめた。
「でもこの村に狂人はいない。とすると、今のジャックのアピールを私達がどう受け取るか?という問題になってくる。迷走している村人のうっかりなのか、あるいはわざと破綻したくて滅茶苦茶な内訳主張をしてきたのか、だわ」
そう、そこなのだ、問題は。
てるてるが存在するせいで、“わざと破綻して吊られたい人間がいる”のが問題なのである。破綻している、あるいは狂アピまがいをしているからといって、そいつを安直に吊るのは非常に危険。実際同じことが人外COをしたも同然のマリーに言えてしまうので、自分達は彼女吊りを宣言することができずにいるのである。
「……とりあえず、占い師COしたキャサリン。私視点では、貴女は確実に村陣営だと分かっている。そして、貴女が村人判定したカロリーヌのことも信じているわ。貴女達に指示を出してもらいたいわね。勿論、私は本物の元怪盗だから、私吊りだけは断固として拒否させてもらうけど」
「じょ、冗談じゃない!さっきの君たちの話を聞いていて納得したぞ。そうやって、君とキャサリンで俺を吊りに来る気なんじゃないのか!?」
「はいはい、煩い煩い」
「なんだその態度は!」
立ち上がって喚き始めるジャック。いきなり冷静さを欠きすぎだろう、とカンナは頭を抱えるしかない。
まあ確かに、彼視点ではキャサリンとミラ、あるいはミラが狼濃厚になってくるのだろう。だとしたらそのあたりに指定権が移るのは非常にまずいはずである。断固として拒否したい気持ちもわかる。
「俺は人狼でもてるてるでもない、真っ当で善良な村人だ。絶対に俺吊りだけは認めん、認めんからな!」
この人狼ゲームは、自分達が元の世界に帰ることができるかどうかがかかっている。必死になるのも当然だろう。ちらり、とさっきから黙りっぱなしのマリーを見れば、彼女はおろおろしながらしくしくと涙を零している。
「わ、私は怪盗なんですよう……!本当に、人狼とかてるてるとかじゃないんですからー!」
もはや、内訳主張もする気がない。完全に、ノイズを振りまく態勢だ。マリーのことは、人狼orてるてるで決め打ちして放置しておけばいいだろう。
問題は。恐らくこの場で、一番まだ信用を得ていそうな――カンナがどう動くのか、ということである。
――私が考えないといけない。一体誰が人狼?誰がてるてる?誰を吊れば、このゲームに勝つことができるの?
よく、皆の発言を思い出して考えなければ。再びゲーム外の内容で言い争いを始めてしまったジャックとミラを横目で見ながら、カンナは皆の発言を見直し始めた。タブレットには、自分達が何を口にしたのか、一字一句確認できるようになっている。
『ワンナイトって、縄が一本しかないんですよね?狼吊らないと負けだし、平和村もありえるし』
『まあ、狼を一晩で吊り上げたら村の勝ち。吊れなかったら狼の勝ち。実にシンプルでわかりやすい村ではあるな。基本的に、朝一で全員COするのが望ましいだろう』
『占いCOだ。カロリーヌは村人だった』
『私が本物の怪盗です!ミラさんは人狼でした!吊るべきはミラさんですよ!!』
『へえ、貴女が人狼なのね。貴女を吊れば私達は勝てるってこと?楽勝じゃない』
『待て、ミラ!君が言いたいこともわかるが、もしそれが本当ならば彼女は迂闊すぎだろう……!』
『私の中での確定情報は、私が占い師でカロリーヌが村人であるということだけだ。残る君達三人の中身はまったくわからない。何が欠けているのかもだ。怪盗COした二人が二人共偽ということもあるし……極めて無難に村人COに逃げたジャック、お前も充分怪しいということになる。あるいは、そうやって必死でマリーを吊り庇うことによって、自分が吊られたがっているてるてるという可能性もな』
『……もし狂人がこの村にいたら、ジャックは狂人濃厚になるわよね。今のあまりにも見えてない内訳主張は、狂アピに見えてくるわ』
――誰が本当のことを言っていて、誰が嘘をついていて……そして何が意図的で、何が事故か?
まるで数字の羅列のように、整理されていく情報。参加者達の証言。
カンナは目を見開いた。
――やっぱりそうだ。……こう考えると、全ての証言に筋が通る……!
やはり、この村に人狼はいる。
自分達が勝つために吊るべき人間は、この中のただ一人。それは。
「……みんな」
誰が味方で敵か。村人である自分こそが、腹をくくって確定せなければいけない。
「私の推理を聞いてくれないか。……吊るべき人間が、決まったからな」
さあ、今こそ、未来を切り開くための推理を。
己の役職は確定情報としてわかっている。それを前提にして、他の人が話す情報から“誰が本当のことを言っていて嘘をついているのか”を推理するのである。
断定できる情報はそう多いものではない。ましてや、ワンナイト人狼では皆と情報を共有できるタイミングが二日目の昼しかないので、余計乏しい情報の中で推理しなくてはならなくなる。
唯一の救いは、この村の大前提のルール。それは“自分の陣営に不利益となることはやってはいけない”ということである。人狼ゲームにおける大前提のマナーと言ってもいい。つまり、“村の役職の人間は嘘をつかない”ことを信じていいということでもある。村によっては、村役職の結果騙りが有効である場合もあるが、ワンナイトではそのメリットが殆どない。この村に確実に存在する、本物の村の人間達はまず真実を言う。問題は、“誰が村人でそれ以外なのかがわからない”ことである。
例えば占い師のキャサリンを本当の占い師だと思うのなら、キャサリンとキャサリンが村人判定を出しているカンナ=カロリーヌは村陣営として証言を信じていいことになる。
そして怪盗であるミラを信じるのなら、ミラは怪盗でキャサリンは占い師であることを信じていいということになるのだ。そうやって、芋づる式に情報を整理し、自分の中で確定して内訳を定めていくのである。
この情報整理を間違えると、とんでもないミスリードを起こすことになりかねない。ワンナイトだろうと普通村だろうと、そこは充分気をつけなければならないことである。おかしな内訳を言ったら最後、その人間は“人外ではないか”というレッテルを貼られて、言葉を信じてもらえなくなったり吊られたりする結果になるのだから。今回のワンナイト配役では、てるてるを除き誰一人自分が吊られていい配役はないということになる。つまり、おかしな内訳を“吊られてはいけない人間”が話すのは致命的になりかねない、ということであるのだが。
――問題は、それが“うっかり”か“意図的”かがわからない、ということ。
カンナはじっとジャックを睨む。果たして彼が今した行為は人外の意図したものなのか、それとも村人が迷走しただけなのか。
「お前の主張を整理するとだ」
同じ疑問を持ったはずのキャサリンが、深いため息をついて言う。
「今回の村では占い師と村人、あるいは占い師と人狼一匹が欠けていた。そして、私とカロリーヌが人狼、あるいは私一人が人狼である。そういう主張だな?」
「そうだ、それの何が問題なのだ?キャサリン。筋は通っているだろう。お前が占いにロケットできたのも、そのカロリーヌがロケットできたのも、互いに人狼として示し合わせていたと考えるのが自然ではないか」
ジャックはまだわかっていないらしい。心底不満そうに言葉を連ねる。
「ワンナイト人狼の2Wにおける最も簡単で信用を得やすい騙りだぞ。占いと村人、怪盗と村人でラインを繋ぐ!そもそも君達が本物ならば、かえってロケットCOはしづらいのではないか?先に情報を話して、人外の騙りに上からかぶせられてはたまらんからな」
まあ、それは理解できる。カンナもそれを考えて、一瞬COを少し遅らせようかということも思ったのだから。
だが、彼は気づいていないのか、問題はそこではない、ということに。
「ジャック。あんたは本当に気づいていないのか?”現時点で”私とキャサリンで2Wだけは有り得ないってことを」
これはもうはっきり言うしかない。時間もどんどん減りつつあるのだから。
「CO状況とあんたの主張する内訳は、こうだ」
【CO状況】
<占い師CO>
キャサリン→カロリーヌ村人
<怪盗CO>
ミラ→キャサリン占い師
マリー→ミラ人狼(実質人外CO)
<村人CO>
カロリーヌ
ジャック
【ジャック主張の内訳(2Wの場合)】
<占い師>
欠け
<怪盗>
ミラ
<てるてる>
マリー
<村人>
ジャック
欠け
<人狼>
キャサリン
カロリーヌ
「占い師を騙っているキャサリンと、村人を騙っている私が人狼。マリーがてるてるであるなら。ミラはどうなるんだ?」
「なんだと?」
「彼女は怪盗をCOし、キャサリンと占いを交換したと主張しているんだよ?だけど、あんたの主張だとキャサリンは本当は人狼ってはずじゃないか。怪盗が本物なら、彼女が交換したのは人狼になってしまう。でも、彼女は占い師を交換したと主張していて、キャサリンとラインが繋がっている。……どっちにせよ、ミラは人外。その場合は怪盗を交換されたキャサリンは現・怪盗=村陣営。私とキャサリンで2Wだけは有り得ないと思うのだけども」
「……あ」
やっとジャックは気づいたらしい。ぽかん、と口を開けて固まっている。
キャサリンとカンナが狼ならば、結果を偽っているミラも人外濃厚になり数があわなくなる。勿論この推論は“ミラが結果騙りしている元真怪盗”である可能性を完全に否定するものではないが、それならそれでミラのCOは危険が伴うものになるのではないか。これならばまだ、キャサリンが狼で、適当にカロリーヌに村人を投げたらそれが本物の村人に的中した、といった方が筋が通るのではないか。
ただしその場合は人狼はキャサリンとミラの二人ということになってくる。なんせ、ミラはキャサリンに大して怪盗COにより元占い師判定を出しているのだから。いずれにせよ、キャサリン―カロリーヌ2W主張はあまりに無理がありすぎるのである。
「……もし狂人がこの村にいたら、ジャックは狂人濃厚になるわよね。今のあまりにも見えてない内訳主張は、狂アピに見えてくるわ」
ミラはあきれ果てた様子で肩をすくめた。
「でもこの村に狂人はいない。とすると、今のジャックのアピールを私達がどう受け取るか?という問題になってくる。迷走している村人のうっかりなのか、あるいはわざと破綻したくて滅茶苦茶な内訳主張をしてきたのか、だわ」
そう、そこなのだ、問題は。
てるてるが存在するせいで、“わざと破綻して吊られたい人間がいる”のが問題なのである。破綻している、あるいは狂アピまがいをしているからといって、そいつを安直に吊るのは非常に危険。実際同じことが人外COをしたも同然のマリーに言えてしまうので、自分達は彼女吊りを宣言することができずにいるのである。
「……とりあえず、占い師COしたキャサリン。私視点では、貴女は確実に村陣営だと分かっている。そして、貴女が村人判定したカロリーヌのことも信じているわ。貴女達に指示を出してもらいたいわね。勿論、私は本物の元怪盗だから、私吊りだけは断固として拒否させてもらうけど」
「じょ、冗談じゃない!さっきの君たちの話を聞いていて納得したぞ。そうやって、君とキャサリンで俺を吊りに来る気なんじゃないのか!?」
「はいはい、煩い煩い」
「なんだその態度は!」
立ち上がって喚き始めるジャック。いきなり冷静さを欠きすぎだろう、とカンナは頭を抱えるしかない。
まあ確かに、彼視点ではキャサリンとミラ、あるいはミラが狼濃厚になってくるのだろう。だとしたらそのあたりに指定権が移るのは非常にまずいはずである。断固として拒否したい気持ちもわかる。
「俺は人狼でもてるてるでもない、真っ当で善良な村人だ。絶対に俺吊りだけは認めん、認めんからな!」
この人狼ゲームは、自分達が元の世界に帰ることができるかどうかがかかっている。必死になるのも当然だろう。ちらり、とさっきから黙りっぱなしのマリーを見れば、彼女はおろおろしながらしくしくと涙を零している。
「わ、私は怪盗なんですよう……!本当に、人狼とかてるてるとかじゃないんですからー!」
もはや、内訳主張もする気がない。完全に、ノイズを振りまく態勢だ。マリーのことは、人狼orてるてるで決め打ちして放置しておけばいいだろう。
問題は。恐らくこの場で、一番まだ信用を得ていそうな――カンナがどう動くのか、ということである。
――私が考えないといけない。一体誰が人狼?誰がてるてる?誰を吊れば、このゲームに勝つことができるの?
よく、皆の発言を思い出して考えなければ。再びゲーム外の内容で言い争いを始めてしまったジャックとミラを横目で見ながら、カンナは皆の発言を見直し始めた。タブレットには、自分達が何を口にしたのか、一字一句確認できるようになっている。
『ワンナイトって、縄が一本しかないんですよね?狼吊らないと負けだし、平和村もありえるし』
『まあ、狼を一晩で吊り上げたら村の勝ち。吊れなかったら狼の勝ち。実にシンプルでわかりやすい村ではあるな。基本的に、朝一で全員COするのが望ましいだろう』
『占いCOだ。カロリーヌは村人だった』
『私が本物の怪盗です!ミラさんは人狼でした!吊るべきはミラさんですよ!!』
『へえ、貴女が人狼なのね。貴女を吊れば私達は勝てるってこと?楽勝じゃない』
『待て、ミラ!君が言いたいこともわかるが、もしそれが本当ならば彼女は迂闊すぎだろう……!』
『私の中での確定情報は、私が占い師でカロリーヌが村人であるということだけだ。残る君達三人の中身はまったくわからない。何が欠けているのかもだ。怪盗COした二人が二人共偽ということもあるし……極めて無難に村人COに逃げたジャック、お前も充分怪しいということになる。あるいは、そうやって必死でマリーを吊り庇うことによって、自分が吊られたがっているてるてるという可能性もな』
『……もし狂人がこの村にいたら、ジャックは狂人濃厚になるわよね。今のあまりにも見えてない内訳主張は、狂アピに見えてくるわ』
――誰が本当のことを言っていて、誰が嘘をついていて……そして何が意図的で、何が事故か?
まるで数字の羅列のように、整理されていく情報。参加者達の証言。
カンナは目を見開いた。
――やっぱりそうだ。……こう考えると、全ての証言に筋が通る……!
やはり、この村に人狼はいる。
自分達が勝つために吊るべき人間は、この中のただ一人。それは。
「……みんな」
誰が味方で敵か。村人である自分こそが、腹をくくって確定せなければいけない。
「私の推理を聞いてくれないか。……吊るべき人間が、決まったからな」
さあ、今こそ、未来を切り開くための推理を。
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