ワケアリ彼氏とイケナイ秘密

はじめアキラ@テンセイゲーム発売中

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<22・愛しい人、お気に召すまま>

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 このご時世、恋愛と一言で言ってもいろんな形があるだろう。
 それこそ、同性同士で恋をすることもあるし、セックスを伴わない恋愛をすることもある。特殊な性癖同志だって、互いに納得していて充足感を得られて、他人に迷惑をかけないならば何でもアリだろう。恋の形が様々あるならば、それに伴ってセックスの形も様々あって然るべきだと言える。
 そう。それこそ、女性が男性を抱くようなセックスだってアリであるはずなのだ。そういうことを想定していなければ、こういった道具だって存在するはずがないのだから。

「ほ、本当に買ったんだ……」

 千愛が出してきたモノを見て、成都はやや引いている印象だった。が。引いていると見せかけて興奮しているのはバレバレである。頬は赤く染まっているし、まだお互い服を脱いだだけなのにもう中心が兆しているのだから。
 明らかに、期待している。そもそも千愛とて、彼が本気で嫌がりそうなら最初からこういうものの購入を検討したりなどしない。

「ちゃんと、二人一緒に気持ちよくなれるんだから」

 それは、いわゆるペニバンと呼ばれるベルトだった。攻め側がそれを装着することで、女性であっても男性を抱くことが可能となるのである。装着側にも挿入できるブツがついているので、ちゃんと気持ちよくなることができるのだ。ちょっと高いものを買ったので、大きさも変えられる。それぞれが好みにあったサイズで楽しむことができるというわけだ。今回は初回だし、どちらも標準サイズを装備する予定である。

「成都、後ろが好きなんでしょ?私、成都を一番気持ちよくさせてあげたいわけ」
「わ、わかるけど、それは……」
「それだけじゃないの。……成都のトラウマ、少しでも軽くしたい」
「!」

 ぎゅ、と。布団の上で彼に抱きついて、千愛は告げた。

「私だってね。成都に、上書きしたいの。怖いのも、辛いのも、嫌なのも全部。私で塗り替えたいの。……半分は、自分勝手な独占欲みたいなものだけど……そういう私は、イヤ?」

 狡い物言いをしているのはわかっているが、止められなかった。
 自分が男性だったら、もっと話は簡単だったことだろう。でも残念ながら、千愛は直接彼を抱いてやれる体ではない。惣介に刻まれたいろんなものを、自分が綺麗に全て消してやるのは楽なことではないと知っている。ゆえに。
 少しでもそれに近いもので、楽しませてあげたいのだ。
 苦しいよりも、嬉しいとか、満たされたとか。そういうセックスを、たくさん教えてあげたい。自分も同じだけ、知りたい。

「言っておくけどね。……こんな、姿。成都にしか見せたこと、ないんだからね……」

 思わずそう告げると。成都がそっと千愛の背中に腕を回してきたのである。ぎゅ、と強く抱きしめられる。同時に下腹部に硬い物がすりつけられて、お腹の底がぎゅっと閉まるような気がした。
 どうしてだろう。彼とのセックスも初めてではないのに、なんで処女みたいにこんなにドキドキしてしまうのか。どこかで毎回、新しい世界を期待してしまっている自分がいる。

「嬉しい」

 耳元で、いつもよりも掠れた声で囁かれる。

「俺も……もっと見たいです。俺しか、知らない千愛さんを」

 愛しい気持ちが溢れて、心臓が爆発してしまいそう。千愛は彼と共にそっと布団の上に倒れ込んだ。前戯も何もしていないのに、ココロだけで絶頂してしまいそう。そんなセックスも、世の中にはあるのだと知る。

「一緒に、気持ちよくなろ……」



 ***



 言い出したのは自分なのに、どうしてこんなに恥ずかしいのだろう。お互い体をひっくり返してイイところを攻める、いわゆるシックスナインというやつである。どうしても前回はやらなかったことがしてみたかったというのもあるし、前の時以上に彼を気持ちよくして嫌なことを忘れさせたかったというのもあった。
 ただし。

「ひっ」

 割れ目の上の突起をきゅっと抓まれたのがわかり、千愛は小さく声を上げた。これは、想像以上に自分の方に余裕がないかもしれないと思う。基本そっちよりも中の方で感じる体質だが、それでも敏感であるのは間違いないのだ。自分の目からでは、己の体がどうなっているのか見えないのが返って恥ずかしい。ただ、ひくひくと腰が震えるたび、ぬちゃ、ぬちゃ、という恥ずかしい音が響くのが分かるだけだ。

「千愛さん、凄いですね……わかりますか」

 どろり、と足を伝う体液の感触。どれだけ期待してしまっているのだろう。濡れた場所だけやけに冷たくて、恥ずかしさに震えてしまう。

「どろどろですよ。あ、お尻の穴までひくひくしてる」
「や、やめてよ、そんなとこ!」
「汚くなんかないです。すっごく、綺麗……。嬉しいです、千愛さんがここまで喜んでくれてて」

 ねとねとになった指がお尻の穴まで這うのがわかって恥ずかしくなる。ああ、お尻まで感じるなんて知られたくなかったのに酷いことをする。実際、自分で指を入れてみたこともあって、この調子だとそれもすっかりバレていそうな雰囲気だ。こうなったら仕返しをしてやろう、と千愛も千愛で彼のお尻の谷間に指を這わせる。
 まるで赤い薔薇のような綺麗な場所を覗き込んだ。排泄器官のはずなのに、成都のそこはちっとも汚くは見えない。ひとさし指を丁寧に濡らしたあとで、そっとその穴に触れて、中へと突き入れる。火傷しそうなほどに熱い。同時に、成都の指が千愛の割れ目の中にずぶりと侵入してきたのがわかった。

「あああっ!」
「ん、んんんんっ!」

 派手な千愛の声と、押し殺すような成都の声がハーモニーを奏でる。お互いに入れ合うのだから、ちゃんとほぐし合わなければいけない。そのはずなのだが、成都にはもうバレているだろう。はっきり言って、いきなりねじ込まれてもなんら問題ないくらい濡れているということに。ずちゅ、ずちゅ、と挿入される指。多分もう、三本くらい入っている。なのに痛いどころか、気持ち良すぎて頭が真っ白になりそうだった。
 こんなザマではいけない。布団の端に用意したローションを手に取ってべったりつけると、掌から指までをぬるぬるにする。そして、彼のお尻をマッサージするようにゆっくり押しながら、ぬるりと指をさらに奥まで差し込んだ。ひくひくと蠢いている上、指が折れそうなほど強く締め付けてくる。ひょっとして、かなりの名器というやつなのではあるまいか。気持ちの良いところはどこだろう、とぐりぐりと動かしながら探ってやれば、抗議するように成都の腰が揺れてくる。

「ち、千愛さんっ」
「あ、ここ?このちょっと膨らんでるとこ?……あああっ!は、反則、今そこ触んないでっ」
「そ、それは、お互い様でしょ……!」

 お互いのGスポットと呼べる場所にぐいぐいと押しこんだところで、掠れた悲鳴が上がった。ああ、このままイキたい。イキたいけれど、ここで終わったらあまりにも勿体ない気がする。下腹部に力を込めて、明滅する頭に鞭打って絶頂をせき止めた。ずるり、と彼の秘部から指を抜く。

「うくっ……!」
「成都、君……!ここで、寸止め、ね」

 本当は自分がイキそうでヤバかったから、というのは置いておいて。最後の最後に、爆発寸前だった彼自信の先端をちろりと舐めて終わってやった。頭がぐらぐらする。もう少し、もう少し我慢しなければ。我慢すればするほどきっとキモチイイのだから。彼を、本気で気持ち良くさせたいのだから。
 千愛はふらつきながらも、ペニバンのベルトを装着しにかかった。どろどろに濡れ、ほぐれた割れ目に内側の突起物を押し当て、一気に奥まで挿入する。

「ひぐうううううううっ!」

 思ったよりも大きい。標準サイズを選んだつもりだったが、少々想定外だったかもしれない。Gスポットによく当たります、なんて宣伝文句が書いてあったが、イキかけていて子宮が降りていたせいなのか、完全に奥まで押し上げられてしまっていた。入れただけで、息が詰まる。というか、軽く絶頂してしまった気がする。息を切らしながらもどうにかベルトを装着して、彼を押し倒した。
 己の股間に、派手なピンクのものがそそり立っている。なんて卑猥なんだろう。本当に男性になったみたいで、酷く興奮する。

「いい?成都君……」

 もう余裕なんてない。彼の上にのしかかり、ぐいぐいと先端をお尻にすりつけながら呟く。

「私だけ見て。私だけ考えて。……ねえ、おねだり、してみて。そしたら絶対、絶対忘れられなくなるから。私のこと以外、全部っ……!」
「千愛さ……っ千愛さん、千愛さん」
「うん、うん、いっぱい呼んで」

 何度でも何度でも何度でも名前を呼べばいい。自分も同じ数だけ彼を呼ぶから。離れていても近くにいても関係なく、その数だけ貴方の事を想うから。
 心にも体にも、自分と彼を刻み付けたい。どれだけ月日が過ぎても忘れないくらい深く、強く。

「抱いて、ください……お願いします」

 その言葉が合図だった。千愛は彼の唇にかみつくようなキスをして、同時に人工物も先端で、ぐい、と彼の蕾を割り裂いたのである。

「―――――っ!」

 互いの悲鳴は、キスと同時に飲み込まれて消えた。柔らかい肉を割るように推しこめば押し込むほど、千愛の腹の底も押し上げられて快感が上書きされる。ぷしゅ、と何かが吹き出すような音がした。自分の股間からも、彼のモノからもほぼ同時に。

――気持ちい……気持ちいい、気持ちいい、キモチイイよ成都君……!

 彼の体を掻き抱きながら、夢中で腰を振る。一度イッたはずなのに絶頂から降りてこられない。キスもやめられない。唇まで気持ちよくてたまらなかった。甘い唾液を交換し合うように、舌を絡めて吐息を吸いあうように――時々窒息しそうになって、それでも止められなくて。抱きしめる腕にさらに力が籠るのだ。

「すき」

 唾液の糸を引きながら唇が離れた瞬間、その言葉は自然に漏れた。すると成都は喘ぎながらも、残念ですけど、と続ける。

「俺の、方が。千愛さんのこと、好きですから」
「じゃあ……私はその、さらにもっともっと、成都君が、好き」
「それなら、俺はもっともっと好きです」
「なら、私はもっと、ずっと、超スーパーに好きになっちゃうから」
「だ、ったら、俺は……もう、ミラクルに、ハイパーに、千愛さんのことを好きになります」
「そ、それじゃあ私はもっともっともっと……もう、世界最強になるくらい、成都君を好きになるね。成都君自身にも、負けたり、しないんだから!」

 だから覚悟しておいてね、なんて。そんな事を言い合いながら笑ったのだ。拙い語彙さえ、今はあまりにも愛おしい。
 自分達の幸福すぎる夜は、きっとまだまだ長いだろう。
 そしてその先には、誰にも止められないくらいキラキラした朝が待っている。
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