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<第十九話・拒>
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泣き叫ぶ琴子の声を、果たして神官達はどんな気持ちで聞いたのだろうか。
そこに見覚えのある顔はないが、恐らく全員が笹下村の住人なのだろう。年配の男性が多いが、中には若い男性もいる。全員が白い装束という、どこか現実離れした装いで統一されているせいか、仮面を被っているわけでもないのに揃って同じ表情をしているように思えてしまう。
そう、罪悪感なんてものを削ぎ落とした――狂信者の顔だ。
彼らは揃って、当たり前のように“儀式によってしか世界は救われない”と信じているのである。
「……木田琴子さんといったか」
やがて、リーダー格らしき年配の神官が口を開いた。
松明の灯りしかないので暗く、判別はつきづらいが――恐らくは六十代といったところだろう。髪は殆どが白く染まり、目元や眉間には深いシワが刻まれている。きっと若い頃はそれなりにイケメンというやつだったのだろう。ただ、端正なその顔に滲むのは途方もない苦労だ。もしかしたら、見た目よりも本当は若いのかもしれなかった。
「貴女の言うことは、間違ってはいないだろう。誰だってこのような運命、受け入れ難いものだ。それが世界の為と言われても納得できるものではあるまい。そして我々も、このやり方が現代にそぐわぬ古いものであることは、重々承知しているのだ」
「じゃあ……!」
「だが、残念ながら他のやり方は見つかっていない。……みかげさまのご遺志もあるし、同時に……あまりにも重なった“条件”が悪すぎたのだ。この地に竜脈が走っていなければ。この地にあの世への門がなければ。この盆地が山に完全に囲まれたものでなければ。そして……人々の闇や欲望がこまで深いものでなければ……地獄の蓋が緩むことも、このような惨たらしい犠牲を出す必要もなかったというのに」
確かに、それはそうなのだろう。“みかげさま”の思想を、思考を、記憶を受け取った琴子にはわかっている。この土地はあらゆる悪い条件が揃った場所だった。
地盤が悪かったせいで、山を切り崩して道を通すことやトンネルを掘ることは困難を極めた。何かを試みる度に落盤事故や土砂崩れに見舞われ、そのたびに人は“霊山に傷をつけようとした祟りに違いない”と恐れてきた背景があるとのだという。
実際本当に祟りであったかはわからない。
本当に竜脈だの地獄の蓋だの、そういうものがあるのかは実のところ誰にもわかっていない。
捧げられた“御影”も、悪しきものの存在こそ嗅ぎとることができたもののの、地獄そのものが見えていたわけではなかった。ただ長年の伝承と信仰、起きた出来事が人々にそういう認識を強く植え付けてきたにすぎないのである。
実際、地獄の蓋の上に存在する村と言われても納得が出来るほど、この土地は呪われていたのだろう。それほど多くの人が死んだ、それもまた事実ではあったのだろう。
果たしてそれが天災であったのか呪いであったのか、それが誰にもわからなかったというだけで。
「過去起きた天災の多くが、不幸なこの土地の地質であり、眼に見えぬ力のせいではなかったことはわかっている。だが、起きた惨劇の全てが明らかになったわけではない。未だその一部は科学で説明できぬものであるのも事実であるし……何より、“みかげさま”が定期的に生け贄を選んで差し向けてくるのも事実。生け贄となる人物の目印は、“この村に来てみかげさまの名を口にする”こと。……みかげさまの名前も、この村で起きている儀式も、他言無用で絶対に村の外に漏れるはずがない……漏らしてはならない掟であるはずなのに、だ。何故か一定の期間ごとに、みかげさまの名前を知った者が興味本意でこの村を訪れる……まるで誘われるように」
そういえば、と琴子は気付く。
自分達がこの村に来た切っ掛けは、美園が見かけた大型掲示板の書き込みであったはず。
昔はなかったインターネット文化だが、“誰が書いたかわからない、簡単に解明できない”という匿名性は、昔ながらの“不幸の手紙”にも通じるものがあるだろう。
実際あの書き込みが本当に“この村”で行方不明になった女性の弟のものだったなんて、一体誰が言い切れるのか。そんなもの、自分達に調べる手段などないというのに。
――あれはもしかしたら、“みかげさま”本人の書き込みだった……?
よくよく考えてみれば、“名前を知ってこの村に来て、それを口にした人間は全て生け贄に選ばれる”のだとしたら。名前を知っておきながら、十何年もの間生き延びている者がいるなんて少々妙な話だ。
勿論姉が何か手記を残していた可能性もあるが、その場合普通なら真っ先にこの地に直接足を運んで調べようとするのではないか。
そして聞き込みをして、名前を口にして消される――それが普通なのではないか。
そもそもそれだけの月日が経っているのに今さら姉のことを調べるため、有象無象が蠢く大型掲示板に書き込みをするなんて。どうして気づかなかったのか。どう考えても流れが不自然であったのに。
「地獄の蓋の上にこの村がある……その伝承がどこまで真実かは誰にもわからない。御影様にさえ見えなかったものが、普通の神官としての力しか持たぬ我ら“祭”の一族に見えるはずもない。そして我々に見えぬなら、他の村人達にはもっとわかるはずもないだろう。事実はひとつ。御影様が異変を防ぐために生け贄を我らに送り続けていること……そして、実際儀式を続けていくことで、この地に平穏が齎され続けているということ」
少なくとも、と。神官筆頭は眼を細めて言う。
「少なくとも……初代の御影様を捧げ、以降も結界を強化するための人柱を送るようになって以来。落盤事故もなければ、水害も殆どない。理不尽に村の者が死ぬことはなくなった……それが紛れもない現実だ。悪く思うな、娘よ」
何よそれ、と琴子は憤る。
村の者は、生け贄になることはない。生け贄を押し付けられるのはいつだって村の外からやって来た、罪のない人々だ。確かに自分達も少々面白半分なところがあったし、不謹慎な真似をしていたのもふざけていたのも事実なのかもしれない。でも、それだけだ。どうしてそれが、惨たらしく殺されてもいいほどの罪だなんてことになるのだろうか。
村の平穏を守るためなら。それが世界の平穏を守るのだと言うお題目さえあるのなら。無関係な人間が何人死んでも構わないと言うのか。それこそが、理不尽な死に方でしかないとなぜわからないのか。
生け贄を送られたからって、それを捧げなければいけない理由がどこにある?――死んだ“みかげさま”が邪神になってしまった可能性さえあるのに、都合の悪い可能性は全て目を背けるというのか。
「そんなに、生け贄が必要なら……自分達でなればいいじゃんか……っ!」
こんなこと、言ってはいけないのかもしれない。
けれど恐怖と、理不尽さから来る怒りがもう振りきれていた。身勝手と言いたければ言え、何故自分なのだと、自分でなくてはならないのだと思うことの何がいけないのか。
「本当に悪いのが何なのか確かめもせずに、みかげさまとちゃんと交渉することもせずに……昔の悪い風習を意地になって繰り返してるだけじゃない!永遠に続けるつもり?みかげさま、が言うままずっとずっと生け贄を捧げ続けるの?そうやって人を殺し続けるの?あんた達それで恥ずかしいと思わないわけ!?」
己が何もかも正しいとは思わない。むしろ人として間違ったことを言っているのかもしれない。自分が助かりたいために、自分の身可愛さに滅茶苦茶言っていると言いたければ言えばいい。
それでも自分にだって叫ぶ権利はあるはずだ。拒む権利はあるはずだ。抵抗する権利だってあるはずなのだ。それをこんな形で奪われて、何故大人しく処刑を待たなければいけないのだろう。
「最初の時からそう……!あんた達は体よく恐ろしい生け贄の役を、小さな女の子に押し付けただけじゃん!あんな酷い真似して殺して、それでも飽きたらずに何人殺し続けてきたのよ!そんなに生け贄がないと駄目なら自分達がなればいいじゃん、そうすればみかげさまの痛みや苦しみだって少しはわかっただろうに!人間の心って奴を失わないで済んだんだろうに!意気地無し!最低!鬼畜!死んでも恨んでやる……絶対に呪ってやるんだから!!」
死にたくない。消えたくない。痛い思いなんかしたくない。
それでも自分にはただ、こんなみっともない言葉を吐くことしかできないのである。縛り付けられた体はまるで動いてくれる気配なく、言葉も通じる余地がないというなら尚更に。
「……既に定められた現実だ。諦めろ、娘」
やがて、リーダーの男に差し出される籤の箱。悪夢の中で見たものと同じだった。
あの箱の中に、ろくな文字が入ってないことはわかりきっている。ああ自分も同じように、あの箱の中から引かれた文字で殺されるのだ。琴子の視界が涙で滲む。いくら目を瞑っても、涙を流しても、悪夢のような現実が洗い流されてくれることは、ない。
「今宵の文字は……“潰”」
そして、残酷な宣言とともに、文字が公開された。つぶす、という字。何かを潰されて殺されるということ。頭を潰して一思いに、なんて優しいものでないのは明白である。
恐らく文字にあわせた処刑が迅速に行えるよう、予め道具は用意されているのだろう。後ろに控えていた神官の一人が、盆に載せた道具を持って歩いてくる。それは、金槌だった。黒光りする工具が、琴子の目の前に設置された小さな机に置かれる。
しゃん、と。再び錫が、鳴った。
「では、右の指から順に……打ち据えて、潰していくものとしましょう。難しい方にはペンチをお貸しします」
筆頭神官は、無情に拷問の内容を口にする。
「潰しやすいように、台座は倒して使うものとします。皆様、準備を」
そして、琴子の未来は――決定された。
そこに見覚えのある顔はないが、恐らく全員が笹下村の住人なのだろう。年配の男性が多いが、中には若い男性もいる。全員が白い装束という、どこか現実離れした装いで統一されているせいか、仮面を被っているわけでもないのに揃って同じ表情をしているように思えてしまう。
そう、罪悪感なんてものを削ぎ落とした――狂信者の顔だ。
彼らは揃って、当たり前のように“儀式によってしか世界は救われない”と信じているのである。
「……木田琴子さんといったか」
やがて、リーダー格らしき年配の神官が口を開いた。
松明の灯りしかないので暗く、判別はつきづらいが――恐らくは六十代といったところだろう。髪は殆どが白く染まり、目元や眉間には深いシワが刻まれている。きっと若い頃はそれなりにイケメンというやつだったのだろう。ただ、端正なその顔に滲むのは途方もない苦労だ。もしかしたら、見た目よりも本当は若いのかもしれなかった。
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「じゃあ……!」
「だが、残念ながら他のやり方は見つかっていない。……みかげさまのご遺志もあるし、同時に……あまりにも重なった“条件”が悪すぎたのだ。この地に竜脈が走っていなければ。この地にあの世への門がなければ。この盆地が山に完全に囲まれたものでなければ。そして……人々の闇や欲望がこまで深いものでなければ……地獄の蓋が緩むことも、このような惨たらしい犠牲を出す必要もなかったというのに」
確かに、それはそうなのだろう。“みかげさま”の思想を、思考を、記憶を受け取った琴子にはわかっている。この土地はあらゆる悪い条件が揃った場所だった。
地盤が悪かったせいで、山を切り崩して道を通すことやトンネルを掘ることは困難を極めた。何かを試みる度に落盤事故や土砂崩れに見舞われ、そのたびに人は“霊山に傷をつけようとした祟りに違いない”と恐れてきた背景があるとのだという。
実際本当に祟りであったかはわからない。
本当に竜脈だの地獄の蓋だの、そういうものがあるのかは実のところ誰にもわかっていない。
捧げられた“御影”も、悪しきものの存在こそ嗅ぎとることができたもののの、地獄そのものが見えていたわけではなかった。ただ長年の伝承と信仰、起きた出来事が人々にそういう認識を強く植え付けてきたにすぎないのである。
実際、地獄の蓋の上に存在する村と言われても納得が出来るほど、この土地は呪われていたのだろう。それほど多くの人が死んだ、それもまた事実ではあったのだろう。
果たしてそれが天災であったのか呪いであったのか、それが誰にもわからなかったというだけで。
「過去起きた天災の多くが、不幸なこの土地の地質であり、眼に見えぬ力のせいではなかったことはわかっている。だが、起きた惨劇の全てが明らかになったわけではない。未だその一部は科学で説明できぬものであるのも事実であるし……何より、“みかげさま”が定期的に生け贄を選んで差し向けてくるのも事実。生け贄となる人物の目印は、“この村に来てみかげさまの名を口にする”こと。……みかげさまの名前も、この村で起きている儀式も、他言無用で絶対に村の外に漏れるはずがない……漏らしてはならない掟であるはずなのに、だ。何故か一定の期間ごとに、みかげさまの名前を知った者が興味本意でこの村を訪れる……まるで誘われるように」
そういえば、と琴子は気付く。
自分達がこの村に来た切っ掛けは、美園が見かけた大型掲示板の書き込みであったはず。
昔はなかったインターネット文化だが、“誰が書いたかわからない、簡単に解明できない”という匿名性は、昔ながらの“不幸の手紙”にも通じるものがあるだろう。
実際あの書き込みが本当に“この村”で行方不明になった女性の弟のものだったなんて、一体誰が言い切れるのか。そんなもの、自分達に調べる手段などないというのに。
――あれはもしかしたら、“みかげさま”本人の書き込みだった……?
よくよく考えてみれば、“名前を知ってこの村に来て、それを口にした人間は全て生け贄に選ばれる”のだとしたら。名前を知っておきながら、十何年もの間生き延びている者がいるなんて少々妙な話だ。
勿論姉が何か手記を残していた可能性もあるが、その場合普通なら真っ先にこの地に直接足を運んで調べようとするのではないか。
そして聞き込みをして、名前を口にして消される――それが普通なのではないか。
そもそもそれだけの月日が経っているのに今さら姉のことを調べるため、有象無象が蠢く大型掲示板に書き込みをするなんて。どうして気づかなかったのか。どう考えても流れが不自然であったのに。
「地獄の蓋の上にこの村がある……その伝承がどこまで真実かは誰にもわからない。御影様にさえ見えなかったものが、普通の神官としての力しか持たぬ我ら“祭”の一族に見えるはずもない。そして我々に見えぬなら、他の村人達にはもっとわかるはずもないだろう。事実はひとつ。御影様が異変を防ぐために生け贄を我らに送り続けていること……そして、実際儀式を続けていくことで、この地に平穏が齎され続けているということ」
少なくとも、と。神官筆頭は眼を細めて言う。
「少なくとも……初代の御影様を捧げ、以降も結界を強化するための人柱を送るようになって以来。落盤事故もなければ、水害も殆どない。理不尽に村の者が死ぬことはなくなった……それが紛れもない現実だ。悪く思うな、娘よ」
何よそれ、と琴子は憤る。
村の者は、生け贄になることはない。生け贄を押し付けられるのはいつだって村の外からやって来た、罪のない人々だ。確かに自分達も少々面白半分なところがあったし、不謹慎な真似をしていたのもふざけていたのも事実なのかもしれない。でも、それだけだ。どうしてそれが、惨たらしく殺されてもいいほどの罪だなんてことになるのだろうか。
村の平穏を守るためなら。それが世界の平穏を守るのだと言うお題目さえあるのなら。無関係な人間が何人死んでも構わないと言うのか。それこそが、理不尽な死に方でしかないとなぜわからないのか。
生け贄を送られたからって、それを捧げなければいけない理由がどこにある?――死んだ“みかげさま”が邪神になってしまった可能性さえあるのに、都合の悪い可能性は全て目を背けるというのか。
「そんなに、生け贄が必要なら……自分達でなればいいじゃんか……っ!」
こんなこと、言ってはいけないのかもしれない。
けれど恐怖と、理不尽さから来る怒りがもう振りきれていた。身勝手と言いたければ言え、何故自分なのだと、自分でなくてはならないのだと思うことの何がいけないのか。
「本当に悪いのが何なのか確かめもせずに、みかげさまとちゃんと交渉することもせずに……昔の悪い風習を意地になって繰り返してるだけじゃない!永遠に続けるつもり?みかげさま、が言うままずっとずっと生け贄を捧げ続けるの?そうやって人を殺し続けるの?あんた達それで恥ずかしいと思わないわけ!?」
己が何もかも正しいとは思わない。むしろ人として間違ったことを言っているのかもしれない。自分が助かりたいために、自分の身可愛さに滅茶苦茶言っていると言いたければ言えばいい。
それでも自分にだって叫ぶ権利はあるはずだ。拒む権利はあるはずだ。抵抗する権利だってあるはずなのだ。それをこんな形で奪われて、何故大人しく処刑を待たなければいけないのだろう。
「最初の時からそう……!あんた達は体よく恐ろしい生け贄の役を、小さな女の子に押し付けただけじゃん!あんな酷い真似して殺して、それでも飽きたらずに何人殺し続けてきたのよ!そんなに生け贄がないと駄目なら自分達がなればいいじゃん、そうすればみかげさまの痛みや苦しみだって少しはわかっただろうに!人間の心って奴を失わないで済んだんだろうに!意気地無し!最低!鬼畜!死んでも恨んでやる……絶対に呪ってやるんだから!!」
死にたくない。消えたくない。痛い思いなんかしたくない。
それでも自分にはただ、こんなみっともない言葉を吐くことしかできないのである。縛り付けられた体はまるで動いてくれる気配なく、言葉も通じる余地がないというなら尚更に。
「……既に定められた現実だ。諦めろ、娘」
やがて、リーダーの男に差し出される籤の箱。悪夢の中で見たものと同じだった。
あの箱の中に、ろくな文字が入ってないことはわかりきっている。ああ自分も同じように、あの箱の中から引かれた文字で殺されるのだ。琴子の視界が涙で滲む。いくら目を瞑っても、涙を流しても、悪夢のような現実が洗い流されてくれることは、ない。
「今宵の文字は……“潰”」
そして、残酷な宣言とともに、文字が公開された。つぶす、という字。何かを潰されて殺されるということ。頭を潰して一思いに、なんて優しいものでないのは明白である。
恐らく文字にあわせた処刑が迅速に行えるよう、予め道具は用意されているのだろう。後ろに控えていた神官の一人が、盆に載せた道具を持って歩いてくる。それは、金槌だった。黒光りする工具が、琴子の目の前に設置された小さな机に置かれる。
しゃん、と。再び錫が、鳴った。
「では、右の指から順に……打ち据えて、潰していくものとしましょう。難しい方にはペンチをお貸しします」
筆頭神官は、無情に拷問の内容を口にする。
「潰しやすいように、台座は倒して使うものとします。皆様、準備を」
そして、琴子の未来は――決定された。
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