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■本編 (ヒロイン視点)
レッスンじゃない2
しおりを挟む「あ……鳴瀬さん……」
キスしながら押し倒されて、琴香はベッドの上でぼーっと鳴瀬を見上げた。部屋は薄暗くて、もう眼鏡も外してしまったから、わかるのはほとんどシルエットだけだ。見えすぎるのは緊張するけど、見えないのも寂しい。手を伸ばすと、そっと覆いかぶさって抱きしめてくれる。
「服、脱がされるのと自分で脱ぐのと、どっちがいいですか」
そう言いながらも、鳴瀬の指は琴香のルームウェアのボタンをひとつはずした。
「……こういうの聞かれるのって、恥ずかしいんですね……」
「はは」
低い笑い声も好きだ。
ふたつ、みっつ。前をくつろげられると、さすがに恥ずかしくなってそっぽを向いた。さっきあれほど見てくれと叫んだ胸だけど、寝転がっているとあんまりカタチが綺麗じゃないんだ。気に入ってくれるだろうか。
「触っていいですか」
琴香が恥じらって何も言えないうちに、鳴瀬の両手が乳房を掴んだ。
「んっ、……あ、」
「好きそうすね、胸……前にも思いましたけど」
「まえ、って……?」
「キッチンの、未遂のとき」
「あぁ、あれ……ん、鳴瀬さん、覚えて」
「忘れるわけないじゃないすか」
しっとりした手のひらが、くるりと先端を撫でた。
「こういうのとか」
「あっ、ん」
「こういうのとか」
反対の手は、先端をカリカリと優しく刺激する。
「あっ、やっ……」
「あのときも反応よくて困りました……かわいくて」
好きだ、これ。自分で触ってもなんともないのに、彼の指だとすごく感じてしまう。じんじんとする先っぽを、つままれたり、くりくりといじられたり。
「あ、ん、…………いっ……」
「い?」
「……きもち、いい、です……」
はぁはぁと、呼吸が乱れてくる。口を指で押さえて耐えていると、そっと外される。
「声、聞かせて。すげー興奮する……」
「こ、え……んっ、ここ、好きです……あ、あぅ」
「先生、エロい」
首筋に顔を埋めて、鳴瀬は熱く息を吐いた。
「腰、動いてる」
「んあっ、はぁ」
琴香の脚の間に伸びた手が、そこをぐりぐりと探し当てる。
「ん、あ、あっ」
「クリも好きなんすか……まじか……かわいい」
「まって、やぁっ……あ、あーっ」
ぎゅーっと足の先にまで力が入る。
仰け反った琴香の背に腕を回した鳴瀬が、身体を引き寄せる。
──お腹のあたりに、口付けられている。
(……ふわふわする……きもちいい……)
身体が熱っぽい。ベッドからはたしかに自分のにおいがするのに、雰囲気はいつもとまるで違う。ベッドがぎしりと鳴る音や二人分の吐息が、狭い寝室を甘いだけの空間に変えてしまっている。
「な、るせ、さん……?」
そういえば。さっきから、なにをして……
「あ、うそ、だめっ」
ズボンと下着を膝まで引き抜かれたと思ったら、下腹部に、吐息が吹きかかった。
「あっ、んんーっ」
指が茂みをかきわけて、敏感なところをやさしくやさしく上下してくる。
「やだやだ見ないでっ」
触られているだけなのに、そこがぬかるんでいるのがわかる。あとからあとからひどくなって、しまいにはぐちゅぐちゅと音を立ててそこを指がかき混ぜる。
「やめてえ……!」
ぶわっと全身に汗をかく。知らない感覚が波のように押し寄せる。自分でもこんなに長く、激しく慰めたことはない。身を縮めて、彼の頭にしがみついた。ひんやりとした濡れ髪をぎゅっと掴む。
「なるせさんっ、なるせさっ……あっ、やだ、い、イく、イくからぁっ……!」
甘い痺れのせいで、顎ががくがく震える。もうすこし、あとすこし。
「ひぁっ!?」
こえる、と思ったときに、なかに侵入してきたもの。異物感に顔をしかめて、琴香は息を吐いた。
「は、あ……ゆ、び……」
「痛い?」
やっと鳴瀬の声が聞けた。ほっとして、力が抜ける。
「大丈夫、です……でも」
指はそこから動かない。なれるのを待っているのか、わざと焦らしているのか、琴香にはわからない。すこしだけ不安に思って、薄暗闇のなかで彼の名を読んだ。
「き、……キスしてほしい、鳴瀬さん」
すぐに来てくれる。頬が触れて、宥めるようにキスされる。
「ごめん、ちょっと焦って、……急いだかも」
「平気……」
砕けた物言いにきゅんきゅんする。いまのやりとり、すごく恋人っぽい。
「好き……」
呼吸と同じくらい自然に溢れてしまう。この人が好きで、早く自分のものにしてしまいたい。欲しがってほしい。下腹部の痛みを誤魔化すように、彼の身体に脚を絡める。
「大丈夫、だから……早く、したい」
吐息が頬をかすめる。彼が笑ったのがわかる。
「俺もです」
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