上 下
36 / 61
■本編 (ヒロイン視点)

レッスンじゃない2

しおりを挟む

「あ……鳴瀬さん……」

 キスしながら押し倒されて、琴香はベッドの上でぼーっと鳴瀬を見上げた。部屋は薄暗くて、もう眼鏡も外してしまったから、わかるのはほとんどシルエットだけだ。見えすぎるのは緊張するけど、見えないのも寂しい。手を伸ばすと、そっと覆いかぶさって抱きしめてくれる。

「服、脱がされるのと自分で脱ぐのと、どっちがいいですか」

 そう言いながらも、鳴瀬の指は琴香のルームウェアのボタンをひとつはずした。

「……こういうの聞かれるのって、恥ずかしいんですね……」
「はは」

 低い笑い声も好きだ。
 ふたつ、みっつ。前をくつろげられると、さすがに恥ずかしくなってそっぽを向いた。さっきあれほど見てくれと叫んだ胸だけど、寝転がっているとあんまりカタチが綺麗じゃないんだ。気に入ってくれるだろうか。

「触っていいですか」

 琴香が恥じらって何も言えないうちに、鳴瀬の両手が乳房を掴んだ。

「んっ、……あ、」
「好きそうすね、胸……前にも思いましたけど」
「まえ、って……?」
「キッチンの、未遂のとき」
「あぁ、あれ……ん、鳴瀬さん、覚えて」
「忘れるわけないじゃないすか」

 しっとりした手のひらが、くるりと先端を撫でた。

「こういうのとか」
「あっ、ん」
「こういうのとか」

 反対の手は、先端をカリカリと優しく刺激する。

「あっ、やっ……」
「あのときも反応よくて困りました……かわいくて」

  好きだ、これ。自分で触ってもなんともないのに、彼の指だとすごく感じてしまう。じんじんとする先っぽを、つままれたり、くりくりといじられたり。

「あ、ん、…………いっ……」
「い?」
「……きもち、いい、です……」

 はぁはぁと、呼吸が乱れてくる。口を指で押さえて耐えていると、そっと外される。

「声、聞かせて。すげー興奮する……」
「こ、え……んっ、ここ、好きです……あ、あぅ」
「先生、エロい」

 首筋に顔を埋めて、鳴瀬は熱く息を吐いた。

「腰、動いてる」
「んあっ、はぁ」

 琴香の脚の間に伸びた手が、そこをぐりぐりと探し当てる。

「ん、あ、あっ」
「クリも好きなんすか……まじか……かわいい」
「まって、やぁっ……あ、あーっ」

 ぎゅーっと足の先にまで力が入る。
 仰け反った琴香の背に腕を回した鳴瀬が、身体を引き寄せる。

 ──お腹のあたりに、口付けられている。

(……ふわふわする……きもちいい……)

 身体が熱っぽい。ベッドからはたしかに自分のにおいがするのに、雰囲気はいつもとまるで違う。ベッドがぎしりと鳴る音や二人分の吐息が、狭い寝室を甘いだけの空間に変えてしまっている。

「な、るせ、さん……?」

 そういえば。さっきから、なにをして……

「あ、うそ、だめっ」

 ズボンと下着を膝まで引き抜かれたと思ったら、下腹部に、吐息が吹きかかった。

「あっ、んんーっ」

 指が茂みをかきわけて、敏感なところをやさしくやさしく上下してくる。

「やだやだ見ないでっ」

 触られているだけなのに、そこがぬかるんでいるのがわかる。あとからあとからひどくなって、しまいにはぐちゅぐちゅと音を立ててそこを指がかき混ぜる。

「やめてえ……!」

 ぶわっと全身に汗をかく。知らない感覚が波のように押し寄せる。自分でもこんなに長く、激しく慰めたことはない。身を縮めて、彼の頭にしがみついた。ひんやりとした濡れ髪をぎゅっと掴む。

「なるせさんっ、なるせさっ……あっ、やだ、い、イく、イくからぁっ……!」

 甘い痺れのせいで、顎ががくがく震える。もうすこし、あとすこし。

「ひぁっ!?」

 こえる、と思ったときに、なかに侵入してきたもの。異物感に顔をしかめて、琴香は息を吐いた。

「は、あ……ゆ、び……」
「痛い?」

 やっと鳴瀬の声が聞けた。ほっとして、力が抜ける。

「大丈夫、です……でも」

 指はそこから動かない。なれるのを待っているのか、わざと焦らしているのか、琴香にはわからない。すこしだけ不安に思って、薄暗闇のなかで彼の名を読んだ。

「き、……キスしてほしい、鳴瀬さん」

 すぐに来てくれる。頬が触れて、宥めるようにキスされる。

「ごめん、ちょっと焦って、……急いだかも」
「平気……」

 砕けた物言いにきゅんきゅんする。いまのやりとり、すごく恋人っぽい。

「好き……」

 呼吸と同じくらい自然に溢れてしまう。この人が好きで、早く自分のものにしてしまいたい。欲しがってほしい。下腹部の痛みを誤魔化すように、彼の身体に脚を絡める。

「大丈夫、だから……早く、したい」

 吐息が頬をかすめる。彼が笑ったのがわかる。

「俺もです」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【R18】愛され総受け女王は、20歳の誕生日に夫である美麗な年下国王に甘く淫らにお祝いされる

奏音 美都
恋愛
シャルール公国のプリンセス、アンジェリーナの公務の際に出会い、恋に落ちたソノワール公爵であったルノー。 両親を船の沈没事故で失い、突如女王として戴冠することになった間も、彼女を支え続けた。 それから幾つもの困難を乗り越え、ルノーはアンジェリーナと婚姻を結び、単なる女王の夫、王配ではなく、自らも執政に取り組む国王として戴冠した。 夫婦となって初めて迎えるアンジェリーナの誕生日。ルノーは彼女を喜ばせようと、画策する。

お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~

ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。 2021/3/10 しおりを挟んでくださっている皆様へ。 こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。 しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗) 楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。 申しわけありません。 新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。 修正していないのと、若かりし頃の作品のため、 甘めに見てくださいm(__)m

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

【完結】maybe 恋の予感~イジワル上司の甘いご褒美~

蓮美ちま
恋愛
会社のなんでも屋さん。それが私の仕事。 なのに突然、企画部エースの補佐につくことになって……?! アイドル顔負けのルックス 庶務課 蜂谷あすか(24) × 社内人気NO.1のイケメンエリート 企画部エース 天野翔(31) 「会社のなんでも屋さんから、天野さん専属のなんでも屋さんってこと…?」 女子社員から妬まれるのは面倒。 イケメンには関わりたくないのに。 「お前は俺専属のなんでも屋だろ?」 イジワルで横柄な天野さんだけど、仕事は抜群に出来て人望もあって 人を思いやれる優しい人。 そんな彼に認められたいと思う反面、なかなか素直になれなくて…。 「私、…役に立ちました?」 それなら…もっと……。 「褒めて下さい」 もっともっと、彼に認められたい。 「もっと、褒めて下さ…っん!」 首の後ろを掬いあげられるように掴まれて 重ねた唇は煙草の匂いがした。 「なぁ。褒めて欲しい?」 それは甘いキスの誘惑…。

もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~

泉南佳那
恋愛
 イケメンカリスマ美容師と内気で地味な書店員との、甘々溺愛ストーリーです!  どうぞお楽しみいただけますように。 〈あらすじ〉  加藤優紀は、現在、25歳の書店員。  東京の中心部ながら、昭和味たっぷりの裏町に位置する「高木書店」という名の本屋を、祖母とふたりで切り盛りしている。  彼女が高木書店で働きはじめたのは、3年ほど前から。  短大卒業後、不動産会社で営業事務をしていたが、同期の、親会社の重役令嬢からいじめに近い嫌がらせを受け、逃げるように会社を辞めた過去があった。  そのことは優紀の心に小さいながらも深い傷をつけた。  人付き合いを恐れるようになった優紀は、それ以来、つぶれかけの本屋で人の目につかない質素な生活に安んじていた。  一方、高木書店の目と鼻の先に、優紀の兄の幼なじみで、大企業の社長令息にしてカリスマ美容師の香坂玲伊が〈リインカネーション〉という総合ビューティーサロンを経営していた。  玲伊は優紀より4歳年上の29歳。  優紀も、兄とともに玲伊と一緒に遊んだ幼なじみであった。  店が近いこともあり、玲伊はしょっちゅう、優紀の本屋に顔を出していた。    子供のころから、かっこよくて優しかった玲伊は、優紀の初恋の人。  その気持ちは今もまったく変わっていなかったが、しがない書店員の自分が、カリスマ美容師にして御曹司の彼に釣り合うはずがないと、その恋心に蓋をしていた。  そんなある日、優紀は玲伊に「自分の店に来て」言われる。  優紀が〈リインカネーション〉を訪れると、人気のファッション誌『KALEN』の編集者が待っていた。  そして「シンデレラ・プロジェクト」のモデルをしてほしいと依頼される。 「シンデレラ・プロジェクト」とは、玲伊の店の1周年記念の企画で、〈リインカネーション〉のすべての施設を使い、2~3カ月でモデルの女性を美しく変身させ、それを雑誌の連載記事として掲載するというもの。  優紀は固辞したが、玲伊の熱心な誘いに負け、最終的に引き受けることとなる。  はじめての経験に戸惑いながらも、超一流の施術に心が満たされていく優紀。  そして、玲伊への恋心はいっそう募ってゆく。  玲伊はとても優しいが、それは親友の妹だから。  そんな切ない気持ちを抱えていた。  プロジェクトがはじまり、ひと月が過ぎた。  書店の仕事と〈リインカネーション〉の施術という二重生活に慣れてきた矢先、大問題が発生する。  突然、編集部に上層部から横やりが入り、優紀は「シンデレラ・プロジェクト」のモデルを下ろされることになった。  残念に思いながらも、やはり夢でしかなかったのだとあきらめる優紀だったが、そんなとき、玲伊から呼び出しを受けて……

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~

けいこ
恋愛
カフェも併設されたオシャレなパン屋で働く私は、大好きなパンに囲まれて幸せな日々を送っていた。 ただ… トラウマを抱え、恋愛が上手く出来ない私。 誰かを好きになりたいのに傷つくのが怖いって言う恋愛こじらせ女子。 いや…もう女子と言える年齢ではない。 キラキラドキドキした恋愛はしたい… 結婚もしなきゃいけないと…思ってはいる25歳。 最近、パン屋に来てくれるようになったスーツ姿のイケメン過ぎる男性。 彼が百貨店などを幅広く経営する榊グループの社長で御曹司とわかり、店のみんなが騒ぎ出して… そんな人が、 『「杏」のパンを、時々会社に配達してもらいたい』 だなんて、私を指名してくれて… そして… スーパーで買ったイチゴを落としてしまったバカな私を、必死に走って追いかけ、届けてくれた20歳の可愛い系イケメン君には、 『今度、一緒にテーマパーク行って下さい。この…メロンパンと塩パンとカフェオレのお礼したいから』 って、誘われた… いったい私に何が起こっているの? パン屋に出入りする同年齢の爽やかイケメン、パン屋の明るい美人店長、バイトの可愛い女の子… たくさんの個性溢れる人々に関わる中で、私の平凡過ぎる毎日が変わっていくのがわかる。 誰かを思いっきり好きになって… 甘えてみても…いいですか? ※after story別作品で公開中(同じタイトル)

処理中です...