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第20話∶そして日常は続く
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ガブリエルが立去ってから数日後。カーラーンでレイが客の食べ終えた食器を片付けていると、後ろから声が聞こえてくる。
「なあ、聞いたか? ウェイトリーのお嬢さんの話」
「ああ、何でも河に身ぃ投げたって話だろ? ウェイトリーもそれを隠そうとしたが、王都の耳に入ってきて、国の調査が入ってきてるってんだろ?」
「そりゃあ良い、若い身空のお嬢さんが死ぬってまで追い込まれたんだ。きっちりケジメは付けなくっちゃな」
「全くだ」
「……」
「ん? どうしたレイ」
「いえ、何でも無いです」
客への問いかけに笑って首を横に振ると、レイは静かに皿を洗い初めた。他人から聞くレティシア死亡の顛末は、ほぼ自分が想定したとおりになっている。彼らの身柄は国からの騎士団が拘束し、この土地の運営は事態が収束するまで王都直属の役人が行うと聞く。
そういえば、妖精犬の話を噂話は聞こえない。ならばガブリエルもまた無事に逃げ切ったという事だろう。その事に安堵の息を吐くと、レイはとある変化に気がついた。
リアが自分を『レイ』と呼んで、『レイ』として扱ってくれたからだろうか。他人から『レティシア』の事を聞かれても、リアに問い詰められた時程の動揺は覚えず、次第に噂話を聞きながら仕事を行う事までできるようになっていた。『レイ』にとって、『レティシア』の存在は、それほどまでに遠いものになってきた。
私服を肥やし、贅を楽しむ事しか興味の無かった父や継母達も。公爵家を捨てた自分にも。この土地を収めるにはふさわしいものではない。噂話を耳に聞く度に『レティシア』の死を実感し、肩の荷が降りたような身軽な心地を味わいながら、レイが黙って皿を洗い続けているとリアが隣に近づいた。
「あー……その」
視線を彼方此方へと彷徨わせながら、リアは言葉を探していた。
「リア、どうしたの?」
レイに問いかけられ、リアの視線がピタリと止まった。そして長い沈黙の後、聞き取れそうにない程に、小さな声で問いかけた。
「……平気か?」
「平気って、何が?」
リアの言葉の意味が分からず、きょとんと首を傾げるレイに対し、呆れた表情を浮かべて細い手の甲に付いた引っかき傷へと視線を向けた。
「あの犬っころ達に体中引っ掻き回されて出来た傷だよ。傷口に水が入ったら、滲みるだろ」
「大丈夫、ジュリーさんの軟膏があるから平気」
にこりと笑いそのまま皿を洗い続けるが、レイの手の甲の傷は未だ鮮明な赤色を刻んで痛々しい。暫く黙って見つめていたが、レイの手から皿をひったくると、そのまま場所を陣取り変わって皿を洗い続けた。
怪我の度合いを言うのであれば、リアの方が余程に酷い。腕にも顔にも、犬の噛み跡や爪の跡だらけで、腕からは包帯を巻かれているのに、じんわりと小さな赤い点が滲んでいる。
「もぉぉ、だから大丈夫だって、言っているのに」
黙々と皿を洗い続けているリアから皿を洗う役を取ろうとレイも抗ってはみるが、ひらひらと躱され、タオルをポイと投げつけられるだけであった。
「洗い終わったモンからさっさと拭け」
「は、はい」
「あのねえリア。気を使っているなら、もうちょっと分かりやすくしなさいな。優しさっていうのはね、分かるようにしないと伝わらないのよ?」
拭き終わった皿を取りに来たジュリーにリアが窘められるとレイは二人の間に立ち、ジュリーを見上げた。
「だ、大丈夫です。ジュリーさん。リアが優しい事は、知っていますから」
「ーーふうん」
小言を言おうとしていたジュリーの表情が緩み、ニマニマと何かを楽しんでいるような視線をリアとレイに向けている。その視線はリアも気づいているのか、皿を洗う手を止めないままにジュリーの方へと顔を向けた。
「何だよ、言いてぇ事があるなら言え」
「いつの間にかアンタ、さん付け、されなくなったのねぇ。ふふ、すっかり仲良しじゃないの」
「そう言うのじゃねぇっての」
からかうジュリーに、リアの唇が不貞腐れたように歪まっている。不貞腐れている時のリアの表情は、昔使用人に叱られていた時によく行っていたものと同じで、レイは笑みを浮かべて皿を再び拭き初めながらチラチラとリアの顔を見ていると、リアのアイスブルーの視線が向けられた。
「えへ」
イタズラがバレてしまった時や、彼女の母に叱られる時。『レティシア』はいつもこうして、気まずそうに笑いかけていた。
彼女は『レイ』である事を選んだが、『レティシア』として生きてきた幸せな思いがあった証は、確か『レイ』の中に残っている。喩え、『レイ』がそれを手放していても『リア』がそれを覚えていればそれで良いと、今なら自然にそう決意できた。
「あら?」
てっきりジュリーは笑うレイにリアが何かしら威嚇でもするかと思い、腰に手を当て叱ろうとしていた。だが、リアの反応はレイに笑みを返し、そのまま口笛を吹きながら皿を洗い続け、レイもまたリアの口笛に合わせて鼻歌を歌っている。二人が紡ぐ楽しげな雰囲気を尊重させてやりたくて。
ジュリーはヒラリと木の椀を回収すると、客からの注文のコーヒーを作る為に洗い場から離れた。
口笛のメロディが終わり、レイもまた歌を止めた。まだ『レティシア』だった頃。いつも二人で『忠義の騎士リア』の騎士物語のごっこ遊びに興じていたり、彼の口笛に併せて歌を歌っていた。
自分にとってその思い出が大事であったように、彼にもまたその思い出は、大切な瞬間であったのだろうか。その思い出を今も大切にしてくれているから、『リア』と呼んで欲しいと言ってくれたのではないだろうか。
(――理由は……確かめられなくても良い)
リアが語りたがらない事を明かさなくても、自分にとっての『忠義の騎士リア』は、彼だけしかいない。
名前を変えても。性別を偽っても、それだけは変わらないと今なら強く信じる事ができる。
「……ふふ」
胸の中にじんわりと広がりつつ温もりが大切で、幸せで。だからもっと感じていたくて。一歩だけレイはリアへと近づくと、拭き終わった皿を食器棚に片付けた。
「なあ、聞いたか? ウェイトリーのお嬢さんの話」
「ああ、何でも河に身ぃ投げたって話だろ? ウェイトリーもそれを隠そうとしたが、王都の耳に入ってきて、国の調査が入ってきてるってんだろ?」
「そりゃあ良い、若い身空のお嬢さんが死ぬってまで追い込まれたんだ。きっちりケジメは付けなくっちゃな」
「全くだ」
「……」
「ん? どうしたレイ」
「いえ、何でも無いです」
客への問いかけに笑って首を横に振ると、レイは静かに皿を洗い初めた。他人から聞くレティシア死亡の顛末は、ほぼ自分が想定したとおりになっている。彼らの身柄は国からの騎士団が拘束し、この土地の運営は事態が収束するまで王都直属の役人が行うと聞く。
そういえば、妖精犬の話を噂話は聞こえない。ならばガブリエルもまた無事に逃げ切ったという事だろう。その事に安堵の息を吐くと、レイはとある変化に気がついた。
リアが自分を『レイ』と呼んで、『レイ』として扱ってくれたからだろうか。他人から『レティシア』の事を聞かれても、リアに問い詰められた時程の動揺は覚えず、次第に噂話を聞きながら仕事を行う事までできるようになっていた。『レイ』にとって、『レティシア』の存在は、それほどまでに遠いものになってきた。
私服を肥やし、贅を楽しむ事しか興味の無かった父や継母達も。公爵家を捨てた自分にも。この土地を収めるにはふさわしいものではない。噂話を耳に聞く度に『レティシア』の死を実感し、肩の荷が降りたような身軽な心地を味わいながら、レイが黙って皿を洗い続けているとリアが隣に近づいた。
「あー……その」
視線を彼方此方へと彷徨わせながら、リアは言葉を探していた。
「リア、どうしたの?」
レイに問いかけられ、リアの視線がピタリと止まった。そして長い沈黙の後、聞き取れそうにない程に、小さな声で問いかけた。
「……平気か?」
「平気って、何が?」
リアの言葉の意味が分からず、きょとんと首を傾げるレイに対し、呆れた表情を浮かべて細い手の甲に付いた引っかき傷へと視線を向けた。
「あの犬っころ達に体中引っ掻き回されて出来た傷だよ。傷口に水が入ったら、滲みるだろ」
「大丈夫、ジュリーさんの軟膏があるから平気」
にこりと笑いそのまま皿を洗い続けるが、レイの手の甲の傷は未だ鮮明な赤色を刻んで痛々しい。暫く黙って見つめていたが、レイの手から皿をひったくると、そのまま場所を陣取り変わって皿を洗い続けた。
怪我の度合いを言うのであれば、リアの方が余程に酷い。腕にも顔にも、犬の噛み跡や爪の跡だらけで、腕からは包帯を巻かれているのに、じんわりと小さな赤い点が滲んでいる。
「もぉぉ、だから大丈夫だって、言っているのに」
黙々と皿を洗い続けているリアから皿を洗う役を取ろうとレイも抗ってはみるが、ひらひらと躱され、タオルをポイと投げつけられるだけであった。
「洗い終わったモンからさっさと拭け」
「は、はい」
「あのねえリア。気を使っているなら、もうちょっと分かりやすくしなさいな。優しさっていうのはね、分かるようにしないと伝わらないのよ?」
拭き終わった皿を取りに来たジュリーにリアが窘められるとレイは二人の間に立ち、ジュリーを見上げた。
「だ、大丈夫です。ジュリーさん。リアが優しい事は、知っていますから」
「ーーふうん」
小言を言おうとしていたジュリーの表情が緩み、ニマニマと何かを楽しんでいるような視線をリアとレイに向けている。その視線はリアも気づいているのか、皿を洗う手を止めないままにジュリーの方へと顔を向けた。
「何だよ、言いてぇ事があるなら言え」
「いつの間にかアンタ、さん付け、されなくなったのねぇ。ふふ、すっかり仲良しじゃないの」
「そう言うのじゃねぇっての」
からかうジュリーに、リアの唇が不貞腐れたように歪まっている。不貞腐れている時のリアの表情は、昔使用人に叱られていた時によく行っていたものと同じで、レイは笑みを浮かべて皿を再び拭き初めながらチラチラとリアの顔を見ていると、リアのアイスブルーの視線が向けられた。
「えへ」
イタズラがバレてしまった時や、彼女の母に叱られる時。『レティシア』はいつもこうして、気まずそうに笑いかけていた。
彼女は『レイ』である事を選んだが、『レティシア』として生きてきた幸せな思いがあった証は、確か『レイ』の中に残っている。喩え、『レイ』がそれを手放していても『リア』がそれを覚えていればそれで良いと、今なら自然にそう決意できた。
「あら?」
てっきりジュリーは笑うレイにリアが何かしら威嚇でもするかと思い、腰に手を当て叱ろうとしていた。だが、リアの反応はレイに笑みを返し、そのまま口笛を吹きながら皿を洗い続け、レイもまたリアの口笛に合わせて鼻歌を歌っている。二人が紡ぐ楽しげな雰囲気を尊重させてやりたくて。
ジュリーはヒラリと木の椀を回収すると、客からの注文のコーヒーを作る為に洗い場から離れた。
口笛のメロディが終わり、レイもまた歌を止めた。まだ『レティシア』だった頃。いつも二人で『忠義の騎士リア』の騎士物語のごっこ遊びに興じていたり、彼の口笛に併せて歌を歌っていた。
自分にとってその思い出が大事であったように、彼にもまたその思い出は、大切な瞬間であったのだろうか。その思い出を今も大切にしてくれているから、『リア』と呼んで欲しいと言ってくれたのではないだろうか。
(――理由は……確かめられなくても良い)
リアが語りたがらない事を明かさなくても、自分にとっての『忠義の騎士リア』は、彼だけしかいない。
名前を変えても。性別を偽っても、それだけは変わらないと今なら強く信じる事ができる。
「……ふふ」
胸の中にじんわりと広がりつつ温もりが大切で、幸せで。だからもっと感じていたくて。一歩だけレイはリアへと近づくと、拭き終わった皿を食器棚に片付けた。
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