来世は空気を希望します!~壁になって推しカプを見守りたい系オタクJK、目覚めたらヒロインでした解釈違いです!〜

小津 悠理

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来世は空気を希望します!

22.魔法が使えました

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 何を隠そう、言葉ちゃんがその魔法使いなのに魔術師として暮らしてる人だからです。しかも数少ない光の魔法使い。ただでさえ少ない魔法使いのうち、火や水の魔法使いに比べて光と闇の魔法使いは更に希少。しかも美少女ときた。ぼけっとしてたらいろいろと危ない。
 地天学園は歴史が長く、魔術だけじゃなく魔法の研究や指導もしっかりしている。この世界では魔術に比べて魔法はまだまだ未解明なところが多い。力の強い魔法使いがその力の使い方を学ばないまま野に放たれたら、下手したら一般的なやり方では太刀打ちできない巨悪の完成ってことになりかねない。それを防ぐためと魔法使いを守るために地天学園は魔法使い用のカリキュラムが準備されてる。ほかの学校にもそういう課程はあるけど、一番しっかり組まれているのが地天の特色なのよね。
 ……と、ここまで日記帳に書いて気がついた。てことは今の私は魔法が使えるのでは……? 否応なしにテンション上がりますが? 
 や、やってみよう。言葉ちゃんは魔法を使うのが下手くそだから地天に来た訳じゃなく、より精度を上げて魔法を操れるようにするために来てるから、暴発とかはしないはず。大丈夫大丈夫、魔法はイメージ……。
 そうだな、危なくない魔法がいいよね。明かりとかどうだろう。照明的な。
 よしそれでいこう。えーと、両手を祈るように組んで、その上ら辺に光の玉が浮かんでいるところを想像する……。別に手の形とかはどうでもいいんだけどそれっぽいからやっとこう。あんまり光の玉が大きいと眩しいからピンポン玉くらいの大きさで。それから事象を発現させる呪文を唱える。呪文は魔術と違って個人の感覚でおっけー。「照らせ」とかでいいかな。すーはー。よし、言うぞ。

「……照らせ!」

 躊躇いがちに発した呪文に応じて光の粒がどこからともなく現れて、次々と組んだ手の上に集まり始める。じわじわとその大きさを大きくした光は、ちょうど想像していたピンポン玉サイズで収束を止めた。光はふわふわと手の上で浮いている。

「で、できた」

 手を開いて水をすくうように光を手の上に乗せる。あ、触れない。

「わ、わ、すごい……」

 すごい。魔法、使えた。魔法使えた!これが言葉ちゃんの魔法。眩しいかなと思ったけどそんなにぴかぴかしてない。ふわーっとぼわーっとした明かりだ。太陽の光ってよりは月の光に近い感じ。ほんのりあったかくて優しい色をしている。綺麗だ……。
 光の輝きと同じように身体の中がぽかぽかし始めた。これが魔力ってやつかしら。
 今ものすごく感動しているし、動揺している。本当に私は今、現代とは違うところにいるんだ。
 同じくらい今後に不安もあるけど、不安になっておどおどすることはしない。言葉ちゃんらしくないからね! 私は私らしく観月言葉を生きる!
 魔法から気が逸れたからか、光の玉はしゅわしゅわと解けて消えた。部屋に元の静けさが戻ってくる。維持できるようにならなきゃいけないな。魔力のキャパシティとかも把握しておきたい。思いついたことは日記帳に何でも書いておこう。これから困ったことが起きたときのヒントになるかもしれないし。
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