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来世は空気を希望します!
14.選択を迫られています
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「さ、言葉がやる気になったところで本題に戻るぞ」
「……もしかしてうまく乗せられた?」
「気のせい気のせい」
……絶対気のせいじゃない。兄さんそういうとこある。
「話の続きだが、俺は会長として一年と半年いろいろやってきた。結果前回のワーズフェスタではついに表彰台まであと一歩の四位まで押し上げたが、古豪の完全復活と言うにはまだまだだ。てことで言葉、お前が我が地天学園を優勝まで導け」
「えっ……。 待って」
「待たない」
「お願い待って!」
おあ……。いくらメインストーリーを知っててこの展開が分かってたと言っても、なかなか無理難題を言われてる。
綴くんは有能で、一年生の夏休みのときに当時の無能な生徒会長を実力で引きずり下ろして会長の座に着いた。以来ずっと会長としてその辣腕を振るってる。
その妹の言葉ちゃんも落ちぶれたとはいえ歴史の長いこの学園で首席をとれるくらいには優秀。優秀だけど、綴くんと違って言葉ちゃんはまだこの学園で何も手にしていない。小学生に簡単な交通ルールを覚えさせた後、じゃあ車の運転よろしくねって言ってるようなものだ。
そもそもワーズフェスタというのは、スポーツ大会の魔術師版のようなもので競技は様々だ。パフォーマンスの美しさや魔術の精度を競ったり、相手と戦闘したり、そういうことをして勝ちをいくつも重ねていって、最終的に得点が一番高かった学校が優勝。だからまあ甲子園とかインターハイとかみたいなのが一番近いのかな。
というか分かりましたって承諾しないと話進まないから快諾したいんだけどね。現実的に考えるとすごく難しいことな気がしてくる。でも命かかってるからやらないと……。だけど本当にやり遂げられるの……? もしメインストーリー通りにいかなくて失敗したら……?
急激に不安が襲ってきて思わず黙って静止していたら、さっき兄さんの横にいた男性が割って入ってきた。
「話の途中失礼するね~。今更だけど、はいこれお茶。つづりんもどーぞ」
「ああ、ありがとう」
男性は四つのお茶とお菓子をお盆に乗せて運んできてくれて、それぞれの前にサーブしてくれた。ありがとうございます、とお礼を言えば、笑ってどういたしましてと返事をしたその人は、兄さんの隣にどっかり座り込んだ。
「だいぶしんどい話になってきたからね、一旦休憩しよ。あっオレ曙亜玖璃って言うの。よろしくね、妹ちゃん、ナイトくん」
「よ、よろしくお願いします」
「よろしくお願いします。ナイトくん……?」
「あは、緊張してる? 大丈夫大丈夫取って食ったりしないよ~。いやあそれにしても惜しいな、つづりんの妹じゃなければ口説いてたなあ」
「くどっ……!?」
「あはは。枝折くん落ち着いて、冗談だよきっと」
「亜玖璃、言葉に手を出したらいくらお前でも許さないからな」
「わーかってるって」
ノリが軽い。すごーく軽い。でも私が固まって話の空気が澱んだところに割って入って来てくれるあたり、ものすごく空気が読めるんだと思う。
曙亜玖璃。観月綴の同期で、優秀な綴くんと肩を並べられる実力者。そんでもって生徒会副会長。軽薄な言動が多いからちゃらんぽらんに見られがちだけど、本当は奔放なフリをしているだけで真面目な生徒。成績は優秀だし周囲からの信頼もなんだかんだ厚い。そんな彼がだらしない言動をしているのは、厳格で歴史ある家門の呪縛から逃げるため。わあ苦労人。
そしてやっぱり顔がいい。呼吸こそ保ったけど斜め前に座ったその顔まじまじ見ちゃった。オレンジ色の瞳が飴玉みたいで美味しそうだなあって凝視していたら目が合ってウインクされた。わあ美形のファンサ! すごーい!
だから兄さん、すかさず頭はたくのはやめてあげて。枝折くんも半分腰を浮かせて臨戦態勢に入ろうとしないの。
「……もしかしてうまく乗せられた?」
「気のせい気のせい」
……絶対気のせいじゃない。兄さんそういうとこある。
「話の続きだが、俺は会長として一年と半年いろいろやってきた。結果前回のワーズフェスタではついに表彰台まであと一歩の四位まで押し上げたが、古豪の完全復活と言うにはまだまだだ。てことで言葉、お前が我が地天学園を優勝まで導け」
「えっ……。 待って」
「待たない」
「お願い待って!」
おあ……。いくらメインストーリーを知っててこの展開が分かってたと言っても、なかなか無理難題を言われてる。
綴くんは有能で、一年生の夏休みのときに当時の無能な生徒会長を実力で引きずり下ろして会長の座に着いた。以来ずっと会長としてその辣腕を振るってる。
その妹の言葉ちゃんも落ちぶれたとはいえ歴史の長いこの学園で首席をとれるくらいには優秀。優秀だけど、綴くんと違って言葉ちゃんはまだこの学園で何も手にしていない。小学生に簡単な交通ルールを覚えさせた後、じゃあ車の運転よろしくねって言ってるようなものだ。
そもそもワーズフェスタというのは、スポーツ大会の魔術師版のようなもので競技は様々だ。パフォーマンスの美しさや魔術の精度を競ったり、相手と戦闘したり、そういうことをして勝ちをいくつも重ねていって、最終的に得点が一番高かった学校が優勝。だからまあ甲子園とかインターハイとかみたいなのが一番近いのかな。
というか分かりましたって承諾しないと話進まないから快諾したいんだけどね。現実的に考えるとすごく難しいことな気がしてくる。でも命かかってるからやらないと……。だけど本当にやり遂げられるの……? もしメインストーリー通りにいかなくて失敗したら……?
急激に不安が襲ってきて思わず黙って静止していたら、さっき兄さんの横にいた男性が割って入ってきた。
「話の途中失礼するね~。今更だけど、はいこれお茶。つづりんもどーぞ」
「ああ、ありがとう」
男性は四つのお茶とお菓子をお盆に乗せて運んできてくれて、それぞれの前にサーブしてくれた。ありがとうございます、とお礼を言えば、笑ってどういたしましてと返事をしたその人は、兄さんの隣にどっかり座り込んだ。
「だいぶしんどい話になってきたからね、一旦休憩しよ。あっオレ曙亜玖璃って言うの。よろしくね、妹ちゃん、ナイトくん」
「よ、よろしくお願いします」
「よろしくお願いします。ナイトくん……?」
「あは、緊張してる? 大丈夫大丈夫取って食ったりしないよ~。いやあそれにしても惜しいな、つづりんの妹じゃなければ口説いてたなあ」
「くどっ……!?」
「あはは。枝折くん落ち着いて、冗談だよきっと」
「亜玖璃、言葉に手を出したらいくらお前でも許さないからな」
「わーかってるって」
ノリが軽い。すごーく軽い。でも私が固まって話の空気が澱んだところに割って入って来てくれるあたり、ものすごく空気が読めるんだと思う。
曙亜玖璃。観月綴の同期で、優秀な綴くんと肩を並べられる実力者。そんでもって生徒会副会長。軽薄な言動が多いからちゃらんぽらんに見られがちだけど、本当は奔放なフリをしているだけで真面目な生徒。成績は優秀だし周囲からの信頼もなんだかんだ厚い。そんな彼がだらしない言動をしているのは、厳格で歴史ある家門の呪縛から逃げるため。わあ苦労人。
そしてやっぱり顔がいい。呼吸こそ保ったけど斜め前に座ったその顔まじまじ見ちゃった。オレンジ色の瞳が飴玉みたいで美味しそうだなあって凝視していたら目が合ってウインクされた。わあ美形のファンサ! すごーい!
だから兄さん、すかさず頭はたくのはやめてあげて。枝折くんも半分腰を浮かせて臨戦態勢に入ろうとしないの。
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