来世は空気を希望します！～壁になって推しカプを見守りたい系オタクJK、目覚めたらヒロインでした解釈違いです！〜

来世は空気を希望します！

7.枝折くんが格好良いです

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　ふと気付けば真っ白だった視界に景色が色づいている。

「言葉ことは？　どうした」

「えっ？　あ……。なん、でもないよ」

　急に話しかけられたので声のした方を仰ぎ見れば、大変お顔の良い青年がこちらを心配そうに見つめていた。うわ本当に顔がいいな。睫毛五メートルあるじゃん。
　そうでした。絵巻様とお話することになって光に包まれる直前まで、私は言葉ちゃんの幼なじみの枝折しおりくんと話していて、今から学園に向かってさあ行くぞ、と歩き出そうとしていたのでした。
　枝折くんの反応から考えるに絵巻様と話してた時間はさほど長くないみたい。

「急に静かになるな、びっくりした」

「ごめん。やっぱりちょっと緊張しちゃってるみたい」

　少し硬い顔で笑えば、枝折くんはちょっとだけ眉根を寄せて、指を掬いとるように手を握ってくれた。ぼぼぼボディタッチ！　ボディタッチです！　イケメン急にボディタッチする！　

「綴つづりさんは言葉のことをすごく大事に思っている。怖がることなんか何もないだろう？　それに俺も隣にいるんだ。頼ってくれて構わない」

　繋いだ指先にぎゅっと力が込められる。好きじゃん……。言葉ちゃんのことめちゃくちゃ大好きじゃん……。実は付き合ってるでしょそうなんでしょ！　
　でも実際は付き合ってなくて完全に枝折くんの片思いなのでそれらしく返事しなきゃいけない。言葉ちゃんは枝折くんのことどう思ってるのかなあ……。

「うん……そうだね、ありがとう。そうだよね、兄さんはきっと喜んで迎えてくれるよね」

「ああ。……そうだ、制服もよく似合ってる。可愛い」

「ほんと？　良かった！　届いたばかりでまだちょっとそわそわしちゃうんだけど」

「よく似合ってるよ。言葉の髪と瞳の色によく合ってる」

「枝折くんに褒めてもらえるの嬉しいな、枝折くんも似合ってて格好良いよ！」

「そ、そうか、ありがとう」

　あっ照れてそっぽ向いちゃった。言葉ちゃんを褒めるのは全然平気なのに言葉ちゃんから褒められるのに弱いんだよね。うーん可愛いな。
　地天学園は全寮制なので、言葉ちゃんと綴くんは綴くんが冬休みに実家に帰ってきたときに会ったのが最後。今はゲーム内時間で三月下旬の頃なのでもう三ヶ月は顔を合わせてません。だから「受験生の言葉」と「学園生の綴」として会ってた訳で、それが今日初めて「どちらも学園生の兄妹」になった。緊張しちゃう気持ちも分かるなあ。頑張って言葉ちゃん。ああいや今は私が頑張らなきゃいけないのか。
　そうそう、枝折くんが身にまとってる制服も言葉ちゃんの着てるものの男子生徒版なので似たデザインをしています。濃いグレーのブレザーは女子制服と違ってセーラー襟は無し。シンプルに仕上がってます。学園の校章が入ったシャツに群青のネクタイを締めて、スカートと同じ少し薄いグレーとラベンダーの布で出来たスラックス、黒いローファー。
　うん、本当に枝折くんに似合ってる！　すっと伸びた背筋にブレザーが映える。話の流れなんかじゃなくてずっと格好良いよって褒めていたいくらい。