競り市で落とされて

設楽大介

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その⑦次の相手

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男は体をつないだまま体位を変え、もう一度愛海に向かい合い、目を合わせ
「いきますね」と予告して愛海の乳房をつかむと少し愛撫したのち一気に加速し、
「う、ん、ん」と呻き、最後に緩く腰を振りながら果て、どっと愛海の体の上に体重をかけてきた。
最後は正常位で、というところに生真面目さを感じた。体にかかる重みに嫌な気持ちにはならず、むしろ幸せを感じた。
かるく抱きしめられた後、男は抜くとゴムの口をきっちり縛って処理をした。
「ありがとう。連絡はまた事務局通して」男はそういうと去っていった。

あっけなかった。愛海はこの短い時間に、出会い、恋をし、そして捨てられた気分になった。
まもなく次のセリが始まる。競りは一パーティー中3回行われ、女性はそのうちの一回には参加するよう義務づけられていた。
―――たったあれだけで35万?
あれだけで自分の手元には30万近い金が入ってくる。
孝文の来訪を待ちわびて涙を流していた日々がばからしく思えるほどだった。
それに、自分はもう一線を越えてしまった、という思いが愛海の心にのしかかってきた。
自分はもう金で体を売ったのだ。売春婦なのだ。もう、どうなっても、どう転んでも同じ、という極端な倫理観の崩壊が愛海を襲った。
一見派手で遊びなれた風にみられる愛海だったが、体の関係にまで進んだのは孝文が初めてで、この……売春が生涯で二人目の男とのセックスだった。
―――次のセリにも出よう。
一途に思っていた相手に失恋し、立ち直れず自分を見失った愛海は、また自分を売るために、体を起こし立ち上がろうとした。
「競りに参加するの?」
その時、そう声をかけてきた者がいた。
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