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第三逝
其の七「一閃」
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さて、燃焼魔法と暴風魔法での掃討が出来ないとなるとどうするか・・・。
補助魔法で俺が支援しつつ、スヴェルに戦ってもらう?
いや、慣れない繊細な魔法操作を安定して行う事は厳しいだろう。
となると当初の予定通り、補助魔法でスヴェルの弓矢を強化して一撃で成体を仕留めてから、2人で一気に卵を破壊するしかないか・・・。
「スヴェル、最初の予定通りの動きで成体を仕留めてから手分けして卵を破壊するぞ。」
「うへ~、やっぱそうなるかぁー。しゃーない、それならさっさとやろうぜ。」
俺達は急いで洞窟の入口に戻った。
2人とも臭いに気が削がれないように持ち合わせた布で口と鼻を覆い、スヴェルはいつでも射られるように弓矢を取り出した。
入口からでは視認出来ないので慎重に洞窟の奥へ歩を進める。
立ち篭める腐敗臭に足取りが重くなりそうだ。
この洞窟は2、3箇所しか枝分かれしていない為、『ハウカタエラ』を見つけるのはそう難しくない。
臭いを頼りに俺達は着々と奥へ進んで行く。
洞窟の暗闇の中でも不自由しないのはエルフの身体能力のお陰だ。
2つ目の分かれ道に差し掛かったところで、右側の洞窟の奥で自分の尾を頭で抱えるようにして眠る成体を見つけた。
かなり大きい個体だ。
周りには夥しい数の卵が産み付けられている。
崩れた丸のような形をしてブヨブヨしている卵は、非常に気持ち悪い。
孵化寸前でどの卵もグニグニと蠢いている。
孵す訳にはいかない。
急がなければ。
幸い『ハウカタエラ』の成体はまだ俺達に気付いていない。
俺とスヴェルは素早く成体を仕留める準備にうつった。
「スヴェル、念の為5倍でいくぞ。」
「5倍もいるか?いや、そのくらい慎重にいった方がいいか・・・。よし、頼む。」
「パワーゴウィシュテヒィッキンク・フィンスィヌ」
俺は両手をスヴェルの弓矢へ向けながら呪文を唱えた。
身体強化ではなく、弓矢を強化する理由は簡単で、威力を上げつつ弓矢が壊れないようにする為だ。
俺達は普段弓矢を全力で引くことはない。
エルフの全力の腕力に弓矢が耐えられないからだ。
小型の弓ともなればいとも容易く壊れてしまう。
狩りをする際は軽く引いて離すくらいの感覚だ。
スヴェルなら4倍強化でも弓矢を壊す可能性がある。
正直なところ、5倍でも少し不安だ。
だがそれ以上の補助魔法を安定してかけ続ける自信が俺にはない。
「お、いい感じだ。やるぞ・・・」
スヴェルは呼吸を整え、弦を大きく引いた。
ギリギリと弓から音がする。
5倍じゃ足りなかったか?
いや、大丈夫なはずだ。
今は補助魔法に集中しろ・・・。
ビュンッ!!!
引き絞られた弦がスヴェルの指から離れる。
放たれた矢は唸りをあげながら一直線に『ハウカタエラ』に向かって飛んで行く。
寝ている成体の胴体、肩甲骨の下辺りを矢が貫いた。
補助魔法で俺が支援しつつ、スヴェルに戦ってもらう?
いや、慣れない繊細な魔法操作を安定して行う事は厳しいだろう。
となると当初の予定通り、補助魔法でスヴェルの弓矢を強化して一撃で成体を仕留めてから、2人で一気に卵を破壊するしかないか・・・。
「スヴェル、最初の予定通りの動きで成体を仕留めてから手分けして卵を破壊するぞ。」
「うへ~、やっぱそうなるかぁー。しゃーない、それならさっさとやろうぜ。」
俺達は急いで洞窟の入口に戻った。
2人とも臭いに気が削がれないように持ち合わせた布で口と鼻を覆い、スヴェルはいつでも射られるように弓矢を取り出した。
入口からでは視認出来ないので慎重に洞窟の奥へ歩を進める。
立ち篭める腐敗臭に足取りが重くなりそうだ。
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臭いを頼りに俺達は着々と奥へ進んで行く。
洞窟の暗闇の中でも不自由しないのはエルフの身体能力のお陰だ。
2つ目の分かれ道に差し掛かったところで、右側の洞窟の奥で自分の尾を頭で抱えるようにして眠る成体を見つけた。
かなり大きい個体だ。
周りには夥しい数の卵が産み付けられている。
崩れた丸のような形をしてブヨブヨしている卵は、非常に気持ち悪い。
孵化寸前でどの卵もグニグニと蠢いている。
孵す訳にはいかない。
急がなければ。
幸い『ハウカタエラ』の成体はまだ俺達に気付いていない。
俺とスヴェルは素早く成体を仕留める準備にうつった。
「スヴェル、念の為5倍でいくぞ。」
「5倍もいるか?いや、そのくらい慎重にいった方がいいか・・・。よし、頼む。」
「パワーゴウィシュテヒィッキンク・フィンスィヌ」
俺は両手をスヴェルの弓矢へ向けながら呪文を唱えた。
身体強化ではなく、弓矢を強化する理由は簡単で、威力を上げつつ弓矢が壊れないようにする為だ。
俺達は普段弓矢を全力で引くことはない。
エルフの全力の腕力に弓矢が耐えられないからだ。
小型の弓ともなればいとも容易く壊れてしまう。
狩りをする際は軽く引いて離すくらいの感覚だ。
スヴェルなら4倍強化でも弓矢を壊す可能性がある。
正直なところ、5倍でも少し不安だ。
だがそれ以上の補助魔法を安定してかけ続ける自信が俺にはない。
「お、いい感じだ。やるぞ・・・」
スヴェルは呼吸を整え、弦を大きく引いた。
ギリギリと弓から音がする。
5倍じゃ足りなかったか?
いや、大丈夫なはずだ。
今は補助魔法に集中しろ・・・。
ビュンッ!!!
引き絞られた弦がスヴェルの指から離れる。
放たれた矢は唸りをあげながら一直線に『ハウカタエラ』に向かって飛んで行く。
寝ている成体の胴体、肩甲骨の下辺りを矢が貫いた。
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