ベスティエンⅡ【改訂版】

#06：少女孵化

〆

杏　「禮レイはさあ、近江さんに怒られたことなんかあれへんやろ」

禮　「あるよ。ていうかしょっ中やよ。ハッちゃんスグ怒るもん」

杏　「ウソやあ。教室まで迎え来はるしフツーに喋ってはるし、禮レイにだけはめちゃめちゃ甘いやん」

禮　「そんなことないよ。ハッちゃんよりも鶴ちゃんのほうがぜんぜん優しいよ」

杏　「あぁ～、荒菱館の元№２の羽後さんか。ウチあんま知らんけど、いっつもグラサンかけとって胡散臭ない？」

禮　「ハッちゃんより鶴ちゃんのほうがカリカリしてへんし女のコに優しいし気ぃ遣てくれるし、全体的に大人ってかんじやよ」

杏　「そこまで言うて、アンタそんなしょっちゅう近江さんに怒られとんの？」

禮　「例えばね、この前三人で焼き肉食べ行ったんやけど……」



店員「ユッケを御注文のお客様」

渋撥「俺や」

禮・鶴「…………」

渋撥「何ジッと見とんねん」

禮　「うん……ユッケ食べてる人目の前で見るの初めてやの」

鶴榮「お前昔からソレよう食うてるよなァ」

禮　「鶴ちゃんは食べへん人？　ウチも食べへんけど」

鶴榮「ワシこんなんよう食わんで」

渋撥「何でや。美味いやろ」

禮　「うわっ、ほんま食べた💦」

鶴榮「お前勇気あるっちゅうか、色んなこと気にせえへんやっちゃな～」

渋撥「人がメシ食ってる時に何やねん。ユッケ食って何があかんねん」

鶴榮「せやかて……なァ？」

禮　「うん。ユッケって何か、ミミズがのたくってるみたいやもん」

渋撥「…………」

鶴榮「ミミズなんかよう食べられへんよなァ？　ワシ無理」

禮　「ウチ見ただけであかんよ。あんなウニウニしてんのに口入れるなんて絶対無理」

渋撥「人が食っとる時に何言うとんねん、このアホが！　食われへんよになるやろがッ！」

鶴榮「イヤ、お前がゲテモノ食いっちゅうことはよう分かったわ。好きなだけ食え。もう一皿頼んだろか？」

禮　「せやけどミミズて食べ物ちゃうし……」

渋撥「禮っ‼💢　無理矢理口に突っ込んだろかッ」

禮　「やー！　こんなん絶対食べられへんーっ！」

渋撥「せやさかいこんなんて言うな💢」



禮　「て、ゴメン言うまで怒られた。ハッちゃんて心狭ない？」

杏　「ソレ１００％アンタが悪いやん💧」