ベスティエンⅢ【改訂版】

花閂

文字の大きさ
上 下
71 / 87
#29: On the eve of promised session solemnly

しおりを挟む


美作「新年あけましておめでとうございます✨ 相変わらずのワガママでマイペースな面々ではございますが、今年も『ベスティエン』をどうぞお引き立てのほど宜しくお願い致します」

曜至「美作のヤツ、何で噺家みてーな喋り方してんだ?」

渋撥「正月やからやろ」

美作「年長者が誰もシャンとした挨拶せえへんさかい、俺がする羽目になってんねん」

曜至「年長者? 近江さん?」

美作「近江さんには初めから挨拶なんか期待してマセン。ちゅうか何で無条件で自分は免除されてると思うねん。曜至くんも年長者やろ、歳だけは」

曜至「鶴榮は?」

美作「初売りの準備中」

曜至「バイク屋が初売りで何に気合い入れてんのか俺には分かんねェ」

渋撥「お前は初売りの準備せんでええんか」

曜至「さあ?」

美作「曜至くんは鶴さんと違うて跡継ぎの自覚あれへんな」

曜至「チゲーよ、マジで親父のヤツ初売りの話なんか一切してなかったっつーの」

美作(親からも期待されてへんのやな、曜至くん)

禮 「あけましておめでとうございまーす。今年もよろしくお願いしまーす」

渋撥「えらい急に出てきたな」

禮 「純ちゃんに呼ばれたよ。ハッちゃんあけおめ」

渋撥「おめでとさん」

禮 「曜至くんあけおめ」

曜至「アケオメ言うな。俺はアケオメだのコトヨロだの嫌ェなんだよ」

美作「曜至くんみたいに言葉遣いキッタナイ人に言われたないよなー? 禮ちゃんあけおめー✨」

禮 「純ちゃんあけおめー✨」

曜至「女に異様に甘ェヤローも嫌ェだよ」

渋撥「で、何で俺等正月から呼び出されてんねん。俺は早よ寝たい」

曜至「俺も。初日の出見ようぜーとか言って街に繰り出して年越しから寝てねェ」

禮 「えー。ハッちゃんたちだけで行ったん? 何でウチ誘うてくれへんの?」

渋撥「アホか。年末年始に禮連れ出したら親っさんに恨まれるわ」

美作「正月早々皆様を呼び出したのはですね、お年玉の使い道調査大会を行う為でーす」

禮 「何で?」

曜至「誰得?」

美作「ほな最初は紅一点の禮ちゃんにきいてみたいと思います」

禮 「えっ? ええっ💦 ウチから? ウチは前から欲しかったもの買ったりとか貯金とか、あとはお父はんとトラちゃんとご飯食べ行ってオゴったげたり……シマス」

渋撥「チッ」

曜至「豪快な舌打ち聞こえてんぞ」

渋撥「新年から嫌なヤツの名前聞いたで、クソ」

美作「お、近江さんはお年玉何に使わはります?」

渋撥「あァッ?」

美作「何でもええんですけど……(新年初八つ当たりや)」

渋撥「タバコ」

美作「はい?」

渋撥「タバコ買う。最近値上がりしたさかいな」

美作「……そーですか」

渋撥「金はぎょうさん払っとるのに白い目で見られるは、そのクセ喫煙所なんかゼンゼン足れへんは。あー、ムカついてきた。年明けから嫌な名前聞いた所為や」

禮 「そもそもハッちゃん吸うたらあかんよ。高校生なんやから」

曜至「近江さんに対してそんな当たり前のこと面と向かって言えるのは禮くらいだよ」

美作「この物語は純度100%フィクションのみで構成されています。尚、未成年の喫煙は法律で固く禁じられています。健康を損なう危険性があるので絶対にやめましょう」

曜至「急にどーした?」

美作「イヤ、今までちゃんと言うたことあれへんかったさかい、ここらで新年の挨拶がてらしっかり言うといたほうがええかなと。俺が言わな誰も言わへんやろ、このメンバー」

禮 「喫煙・暴力・威嚇・妄りな性行為はあかんよー」

曜至「お前も言うのか禮。まあ、ヤローに言われるよかいいけどな」

美作「さて、曜至くんのお年玉の使い道は?」

曜至「まー俺もタバコは買うけどよ、去年まではカスタムパーツの為の貯金とかしてたぜ」

美作「意外に堅実やな」

曜至「でもま、欲しかったパーツも買ったし、今年からは完全に自分の為だけに使うけどな」

美作「いや、バイクのパーツも自分の為やろ。ちょお我慢して金貯めて買ったからてよおでけたエライ子やわ~なんか思わへんで」

曜至「細かいトコ突っ込みやがって。うちの母ちゃんみたいなヤツだな」

禮 「ほんで曜至くん、今年からはお年玉何に使うん?」

曜至「あ? ラブホ代とか有料のエロ動画」

美作「他人様からもろた金を何に使とんねん」

曜至「俺がもらった金を俺がどう使おうと俺の勝手だろうが。大体この前近江さんに回した動画だって元はといえばッ……」

 ドバッキャァアアッ!

渋撥「油断も隙もないヤツや」

曜至「りーふーじーんッ! りーふーじーんッ!💢」

渋撥「理不尽て何やねん」

曜至「だってアンタだって観てんじゃん! アンタが俺に頼むんじゃん! 禮がいるトコではカッコつけてッ……」

 ドスッドスッボコッ!

美作「……と、まあ今年も『ベスティエン』はこんな感じでお送りします。では、バーイ」

曜至「今年こそちょっとくらい理不尽を改善する努力しようぜ!」
しおりを挟む
シリーズ
 ベスティエン
 ベスティエン Ⅱ
 ベスティエン Ⅲ

イラスト
 イラストアーカイヴ
感想 0

あなたにおすすめの小説

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

恋もバイトも24時間営業?

鏡野ゆう
ライト文芸
とある事情で、今までとは違うコンビニでバイトを始めることになった、あや。 そのお店があるのは、ちょっと変わった人達がいる場所でした。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開中です※ ※第3回ほっこり・じんわり大賞で奨励賞をいただきました。ありがとうございます。※ ※第6回ライト文芸大賞で奨励賞をいただきました。ありがとうございます。※

最弱伝説俺

京香
BL
 元柔道家の父と元モデルの母から生まれた葵は、四兄弟の一番下。三人の兄からは「最弱」だと物理的愛のムチでしごかれる日々。その上、高校は寮に住めと一人放り込まれてしまった!  有名柔道道場の実家で鍛えられ、その辺のやんちゃな連中なんぞ片手で潰せる強さなのに、最弱だと思い込んでいる葵。兄作成のマニュアルにより高校で不良認定されるは不良のトップには求婚されるはで、はたして無事高校を卒業出来るのか!?

愛しくて悲しい僕ら

寺音
ライト文芸
第6回ライト文芸大賞 奨励賞をいただきました。ありがとうございます。 それは、どこかで聞いたことのある歌だった。 まだひと気のない商店街のアーケード。大学一年生中山三月はそこで歌を歌う一人の青年、神崎優太と出会う。 彼女は彼が紡ぐそのメロディを、つい先程まで聴いていた事に気づく。 それは、今朝彼女が見た「夢」の中での事。 その夢は事故に遭い亡くなった愛猫が出てくる不思議な、それでいて優しく彼女の悲しみを癒してくれた不思議な夢だった。 後日、大学で再会した二人。柔らかな雰囲気を持つ優太に三月は次第に惹かれていく。 しかし、彼の知り合いだと言う宮本真志に「アイツには近づかない方が良い」と警告される。 やがて三月は優太の持つ不思議な「力」について知ることとなる。 ※第一話から主人公の猫が事故で亡くなっております。描写はぼかしてありますがご注意下さい。 ※時代設定は平成後期、まだスマートフォンが主流でなかった時代です。その為、主人公の持ち物が現在と異なります。

結婚相手は、初恋相手~一途な恋の手ほどき~

馬村 はくあ
ライト文芸
「久しぶりだね、ちとせちゃん」 入社した会社の社長に 息子と結婚するように言われて 「ま、なぶくん……」 指示された家で出迎えてくれたのは ずっとずっと好きだった初恋相手だった。 ◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌ ちょっぴり照れ屋な新人保険師 鈴野 ちとせ -Chitose Suzuno- × 俺様なイケメン副社長 遊佐 学 -Manabu Yusa- ◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌ 「これからよろくね、ちとせ」 ずっと人生を諦めてたちとせにとって これは好きな人と幸せになれる 大大大チャンス到来! 「結婚したい人ができたら、いつでも離婚してあげるから」 この先には幸せな未来しかないと思っていたのに。 「感謝してるよ、ちとせのおかげで俺の将来も安泰だ」 自分の立場しか考えてなくて いつだってそこに愛はないんだと 覚悟して臨んだ結婚生活 「お前の頭にあいつがいるのが、ムカつく」 「あいつと仲良くするのはやめろ」 「違わねぇんだよ。俺のことだけ見てろよ」 好きじゃないって言うくせに いつだって、強引で、惑わせてくる。 「かわいい、ちとせ」 溺れる日はすぐそこかもしれない ◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌ 俺様なイケメン副社長と そんな彼がずっとすきなウブな女の子 愛が本物になる日は……

処理中です...