ベスティエンⅢ【改訂版】

#22：Prinz-Prinzessin 王子姫

〆

渋撥「禮。メシ食いに行くか？」
禮　「うん。行く」
鶴榮「オイオイ。お前、石楠のお嬢にどんなメシ食わせる気やねん。むちゃくちゃ度胸あるヤツやな」
渋撥「メシなんか腹膨れたら何でもええやろ」
鶴榮「アッホか。相手はあの石楠やぞ。そんじょそこらの食いモンで満足するかいな」
渋撥「禮、何か食いたいモンあるか？」
禮　「んー？　何でもええよ？」
渋撥「何でもええんやと」
鶴榮（あかん。鵜呑みにしとる。何ちゅう単純な頭しとんねんコイツ。イヤ、可哀想なアホの子や。可哀想すぎて同情するわ）
渋撥「お。丁度牛丼屋あるわ。牛丼でええ――」
鶴榮「ええわけあるかッ」
渋撥「何やねんお前はさっきから。人の横からギャンギャン煩いのォ」
鶴榮「俺はお前のこと思うて言うてやってんねん。残念ながらお前は可哀想な子や」
渋撥「言うてる意味分からんけどムカツクな💢」
鶴榮「悪いことは言わん。ソレはやめとけ。お嬢様に牛丼はないやろ」
禮　「ウチ牛丼食べてみたい✨✨」
鶴榮「えぇッ⁉」
渋撥「食うたことあれへんのか」
禮　「うん。あれへんよ。ちゅうか友だちもみんな無い思う」
渋撥「ほなオゴったろ。牛丼屋行くで、禮」
禮　「ほんま？　うわぁい♪　ハッちゃんありがとー」
渋撥「中坊は金あれへんもんな。牛丼くらい俺がなんぼでも食わしたる。好きなだけ食え」
鶴榮「ちゃう……禮ちゃんが牛丼食べたことあれへん理由はそんな理由ちゃう……。撥……お前は或る意味幸せなヤツやな……」



Tschüss.