異世界転生ハーレムプラン ~ 最強のスキルが【幼女化】ってマジですか?~

帝国妖異対策局

文字の大きさ
上 下
166 / 189

第165話 嫁にしたいと思わんか?

しおりを挟む
 大好評のうちに終わったこども市。 

 そのおかげなのだろうか、翌日の会談は、あっさりとお互いの合意に達することができた。

 リーコス村を訪れる商人は、ドラン公国へと向う北街道と、西方のドルネア公爵領に向かう西街道の二つの道を行き来している。

 話し合いの結果、北街道の商人からは主に穀物を、西街道の商人からは調味料や野菜を、リーコス村が購入し、それをグレイベア村に卸してもらうことになった。

 さらにリーコス村からも少ない量ではあるものの、牧畜による肉や乳製品、小麦等を購入することができるようになった。

 これで食糧面でのグレイベア村と地下帝国の不安は大きく軽減されることになった。余裕があるうちに農業生産に力を入れて、食糧自給率を上げていくことにしよう。

 また続く戦乱と増え続ける妖異の脅威に対抗するために、お互いに協力することでも合意している。

 強力な妖異については、俺の【幼女化】やルカ、グレイちゃんたちが対処することになるだろう。だが、今やリーコス村の安全は、俺たちにとっても重要なものとなった。協力を惜しむつもりはない。

 こうして、リーコス村との交渉は無事に終了した。

「シンイチ殿! 呑んでおられるか!」

 会談が終わったその夜の酒宴では、いまやすっかりと打ち解けたヴィルフォファング村長が、俺の肩に手を廻して酒を勧めてくる。

「はっ、はい。いただいております。リーコス村の乳酒、う、うまいっすね!」

 だが村長がいくら打ち解けようとも、俺のキョドリ具合に変化はない。

「おっ、なんだもう杯が空ではないか! おーい! アーシェ、シンイチ殿にお酒を!」

「はーい!」
 
 酒宴の間で忙しく給仕していたヴィルミアーシェさんが、俺の前にやってきて、酒を注いでくれた。

 はわぁ……。

 なんだろうヴィルミアーシェさんから、凄くいい匂いがする。

 思わず俺は鼻で大きく息を吸い込んでしまった。

「うぐっ!」

 首に回っていた村長の腕がギュッと俺を締め付ける。

「シンイチ殿、うちの娘は美しかろう? どうだ嫁にしたいと思わんか?」
  
 村長が俺の耳元で囁いた。

 ラッシャァァァァァァァァァ!

 俺の全身全霊が歓喜に打ち震える。

「もちろん、いただきま……」

 村長に思わず返事しかけた瞬間、何故かシュモネー夫人の視線がこちらに向けられている事に気が付いてしまった。

 シュモネー夫人の顔は笑顔ではあったが、その目の奥には笑えるような要素が一切見られない。というか視線で刺されて出血しそうだった。

「お、お父さまったら! いくらお酒が入ってるからって、シンイチ様にご迷惑でしょ!」

 ヴィルミアーシェさんが村長を叱りつける。

「ご、ごめんなさいね。シンイチ様、お父さまは酔っ払うと、お気に入りの殿方を掴まえては、私を嫁にやろうとするの」 

 そう言って、ヴィルミアーシェさんが俺に頭を下げた瞬間、俺はその場の異様な空気に気が付いた。

 酒宴にいる白狼族の若者たちから笑顔が消えていることを。

 彼らの敵意のこもった視線が俺に注がれていることを。

 その視線の意味が俺にはわかる。

 つまり、ヴィルミアーシェさんを嫁にするなら、俺を倒してからにしろとかそんな感じだろう。

 というかヴィルフォラッシュ……お前もか。

 黒毛の狼族らしき女性が俺の前に進み出てきて、ヴィルミアーシェさんを庇うようにしながら言った。

「ア、アーシェはわ、わたしのヨメ! つ、妻にするなら、わ、わたしを倒してから!」

 俺は首に廻された村長の腕を丁寧に外し、その場にいる全員に聞こえるように大声で言った。

「た、大変ありがたい話だとは思うのですが、ぼ、ぼくには愛する妻がしゅでに居りますので……」

 ホッという空気が流れた。

「ふむ。ならば第二夫人ということか……」

 ピキッ! という音がして再び空気が凍る。

「あっ、あの、その、一応、名目上ではあるのですが、第二夫人も既に居りまして……」

 再び、ホッという空気が……今度はあんまり流れなかった。

「第二夫人だと……」
「うらやまけしからん」
「処すか」

 なんだか物騒な声がチラホラ聞こえてくる。

「うーむ、第三夫人かぁ。どうしたものかのぉ」

 空気を一切読まないヴィルフォファング村長がそんなことを言い始める。

 このままでは、もしかすると白狼族の若者に刺されかねん!

 そんな危惧を抱いて震え始めた俺を、シュモネー夫人が救ってくれた。

「タヌァカ様の第二夫人は、ドラゴンのルカ様です。今やタナァカ様はドラゴンの婿として、多くの魔族を率いられている身。第三夫人を迎えられるにあたっては、ライラ皇后陛下とルカ皇妃陛下の同意を得る必要があります」

「皇后陛下?」
「そういやタヌァカ殿って皇帝なんだってよ」
「つっても自称だろ?」
「いやいや、そもそもドラゴンの婿だし」
「もし皇帝をやっちまったらドラゴンが復讐に来るってこと?」
「逆にライラ様とルカ様に報告してしまえば、アーシェさんを守れるはず」

 白狼族……怖い。

 というか、ヴィルフォラッシュはライラとルカに報告しようとするの止めて。

「ドラゴンの婿か……うぅむ」

 第二夫人がドラゴンと聞いては、さすがのヴィルフォファング村長も考え込んでしまい、それ以上、娘を推してくることはなくなった。

 ふと、ヴィルミアーシェさんと目が合う。

 はにかみながらも、ニコッと笑顔を返してくれるヴィルミアーシェさんは、とても可愛かった。

(ココロ:ちょっと残念とか思ってます?)

(おおおおもおも思ってなんかないんだからね!)

 ココロチンへの返事が謎のツンデレ口調になってしまった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

貞操逆転世界の男教師

やまいし
ファンタジー
貞操逆転世界に転生した男が世界初の男性教師として働く話。

処理中です...