異世界転生ハーレムプラン ~ 最強のスキルが【幼女化】ってマジですか?~

帝国妖異対策局

文字の大きさ
上 下
162 / 189

第161話 レヴィアたんの燻製肉

しおりを挟む
 レヴィアたんの討伐によって、グレイベア村と地下帝国の食糧危機はとりあえず半年先まで引き延ばすことができた。

 その可食部の殆どは干し肉に加工されている。加工に当たってはグレイベア村と地下帝国からも人手ならぬ魔族手を引っ張り出して協力してもらっている。

 加工の主な作業場所は、地下帝国から人魚村に敷かれたトロッコ線の出口だ。出口には小屋が建てられ、その煙突からは常に煙が立ち昇っていた。

 小屋の前には、近くに流れる小川から引いて来た小さな水路が何本もあり、その中に人魚たちが並んでいる。

 人魚たちは上半身を陸に出し、肉を洗ったり、切り分けたりと忙しく作業を続けていた。

 その肉を、コボルトやゴブリンたちがせっせと小屋の中へと運んでいく。

 扉が開かれても、建物のずっと奥にあるトロッコ発着場を見ることはできない。なので、知らない者がここを見ても、肉を加工するための作業場にしか見えないだろう。

 この建物の奥、トロッコ発着場の少し手前に掘られた大きな地下空間では、ルカが小さなファイアブレスを吐いて肉の乾燥とスモーク作業に勤しんでいた。

 一応、煙が建物の煙突に向うよう穴を空けてはいるが、その流れをスムーズにするために、風の精霊ウィンドルフィンが空気の流れを誘導している。

 彼にはスモークが肉に均等に行き渡らせる役割も担っていた。

 もちろん、ルカが自主的にこの作業に名乗りを上げたわけではない。

「ほら、これが桜チップで作ったスモークレヴィアたんの乾燥肉だよ。食べてみて」

 以前ネットスーパー3Fで開催されていた「夏のキャンプセール」で購入した、燻製器とウッドチップを使って、人魚たちが加工した干し肉をスモークレヴィアたんにしてルカに食べさせてみた。

「!?」※ルカ
「うっ!?」※グレイちゃん

 ルカは一口食べて、そのまま固まった。いつの間にかルカの隣に並んでいたグレイちゃんが、ルカの干し肉の反対側に噛り付いて、固まっていた。

「「ふおぉぉぉ!」」

 次の瞬間、二人同時に干し肉をカジカジしてポッキーゲームを始めた。一瞬にして二人はチュー状態になって、お互いの口をペロペロする。

「なんじゃ! この美味さは! ただの干し肉のときと全然違うのじゃ!」

「うーっ! うっ! うーっ!」

「でしょ? こうして燻製にすると、香りが豊かになるだけでなく、肉の旨味が凝縮されて、より美味しくなるんだよ」 

「そうなのか!? なら全部! ここの干し肉を全部燻製にするのじゃ!」

「うーん。そうしたいけど、ルカちゃんの願いを叶えるには、燻製する場所が必要になるね」

 あっと言う間にラーナリアンデスワームが、地下に巨大な空間を掘り上げた。

「それにスモークチップが足りないかなぁ。ネットスーパーで買える量には限りがるからね。この世界の木でスモークに適した気を探すしかないかも」
 
 たちまちグレイベア村と地下帝国から、スモークチップを探すための魔族が編成された。エルフ族は食べ物を燻製することがあるらしく、チップに適した木を知っていた。

 結果、ネフューネ村から出向中のシルフェンがリーダーとなって、スモークチップの木探し隊がマーカス領内を駆け回ることとなった。

「それにこれだけの肉を乾燥させたり、スモークさせるとなると、火力がねぇ」

 この時点になると、俺もわざとルカを挑発する発言をしていたのだが、ルカはこれにも乗ってきた。

「では、わらわが手伝ってやる!」

「うーっ! グレイも手伝う! うーっ!」

 こうして、レヴィアたんのスモーク乾燥肉の製造のために、魔族最強のドラゴンの火力と、巨大な膂力を持つグレイベアの腕力が使えるようになった。



~ 海上交易 ~

 乾燥肉がいくら日持ちするとはいえ、さすがに半年は無理だ。というわけで、完成した干し肉の大半は、海上交易で穀物や野菜、調味料と交換されていった。

 人魚村は、王国から暗黙にその存在を認められている魔族の村のひとつだ。海産物を税として王国に納める代わりに、この海域の保護を約束している。

 海上交易も認められているものの、普段は日常の生活に必要なものを交換する程度でしかない。

 だが、今回は二十年振りに大怪魚レヴィアたんが獲れたということで、王国から大勢の商人がその肉や素材を求めて、人魚村に押し寄せてきた。

「レヴィアたんのおかげで、人魚村もウハウハですなぁ~」
 
 沖に停泊する商船と人魚村の間を忙しく往復する小舟を見て、俺は足元の水路にいるアリエラさんに、そんな言葉を投げかけた。

「コホンッ! 二十年振りの大取引ですからね。それに儲かるのはグレイベア村も一緒ですよ。あと、レヴィアたんじゃなくレヴィアサンです」

 務めて冷静を装って答えるアリエラさん。だがアリエラさんの顔が一瞬、ニヘラッとなったのを俺は見逃さなかったぜ。



~ 食糧問題対策会議 ~

「お役に立てず、申し訳ございません」

 地下帝国の会議室で開かれた「食糧問題対策会議」で、冒頭一番、ステファンが頭を下げた。

 どうやらミチノエキ村での食糧調達は、難しいということらしい。その理由というのが……

「王都から徴税官たちが来ておりまして、現在、ミチノエキ村の物流だけでなく、個々の商取引まで、彼らの監視の目が向けられている状況です」

「それじゃ、派手な取引はできないね。仕方ないよ」

 俺は、かつてネフューネ村でみた地方の徴税官たちを思い浮かべながら、深いため息を吐いた。

 奴らときたら、その横柄で権力を振りかざす態度以上に、徴税のネタを探す眼力が凄まじい。魔法のスキル持ちじゃないかと思う程だった。

 それが王都直属の徴税官ともなれば、その能力はさらに高いはずだ。ここは大人しくしておくのが吉だろう。

 となると――

「あとは、白狼族たちとの交渉が成功するのを祈るだけだな」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

貞操逆転世界の男教師

やまいし
ファンタジー
貞操逆転世界に転生した男が世界初の男性教師として働く話。

処理中です...