異世界転生ハーレムプラン ~ 最強のスキルが【幼女化】ってマジですか?~

帝国妖異対策局

文字の大きさ
上 下
156 / 189

第155話 魔族の葬送

しおりを挟む
 野営の準備が終わって日も傾き始めてきた頃、赤髪碧眼Dカップラミアのノルフィンさんが亡くなった仲間たちを弔いたいというので、俺はショゴタンの犠牲となった魔族の遺体回収を手伝った。

 既にショゴタンに取り込まれてしまった遺体は、もうどうしようもない。

 結局、発見することができたのは4人だけで、しかもそのうちの二人は正視して見ることができないほどの状態だった。

 ほんと申し訳なかったけど、俺にはその遺体の運搬を手伝うことはできなかった。

 森の木に手をつき、散々吐いた後、ノルフィンさんたちのところに戻ると、地面に5つの遺体が並んで横たえられていた。

 生き残っている魔族たちが全員集まって、遺体の周りを取り囲んでいる。

 黙って、ただただ、遺体を見つめていた。

「あれが魔族のやり方なのじゃ」

 それは俺も知っている。

 コボルト村やグレイベア村で何度か見たことがあるから。

 魔族の中には、死者は聖樹の元へ還ると考えるものもいる。

 他にも魔神の楽園へ誘われるとか色々バリエーションはあるみたいだけど、

 基本的に「死んでしまったら、ただ土へと還るだけ」

 というのが、多くの魔族の根底に持っている考え方のようだった。

 それを否定するつもりはない。

 変えようとは思わない。

 だから、これは俺の問題でしかないし、魔族たちにとってとても失礼なことに当たるかもしれない。

 けど、

「ノルフィンさん。俺も死者を見送らせてもらっていいですか?」

「えっ!? えぇ、もちろんいいけど」

 ノルフィンさんが驚いたのは、俺の突然の申し出というよりも、手に持っている野草の花束を見てのことだろう。

 俺は一人の遺体の前に膝をつくと、花を数本つかみ取って遺体の胸元に置いた。

「貴方がみんなを守ってくれたおかげで、ここにいる人が助かりました。貴方の信じる神様から最高のご褒美が貴方に与えられますように。あなたの眠るこの場所が美しい花で満たされますように」

「「「「……」」」」

 完全な沈黙が広がる。森からは風の音さえ聞こえない。

 ひとり一人に同じことを俺は繰り返した。

「ぐす……」
「うっ……サマリンド……うっ……」
「……あなた……」
「ぐすっ……ぐすっ」

 魔族の中から嗚咽が上がる。

 最後に俺は、並ぶ遺体の中央に残った花束を置いて、遺体さえ残らなかった魔族たちの安寧を祈った。

 俺が祈りを終えると、ノルフィンさんが音もなく近づいてきて、そっと俺を抱き締めた。

「私たちの仲間のために、ありがとう」

「いや、これは俺のためにやったことなんだ。もし失礼があったら、申し訳いことをしたよ。ごめんね」

 そう。これは俺のワガママだ。魔族たちの都合なんて一切考えていない。ただ、自分のためにやったことでしかない。

「そう……。それでも、ありがとう」
 
 そう言ってノルフィンさんは、俺の背中を優しく撫でた後、俺から離れた。



~ 宴会 ~

 死者への葬儀を終えて、全員が野営場所に戻った頃には、辺りはすっかりと暗くなっていた。

 魔族たちのために、特別な夕食を提供しようと、俺はココロチンとシリルっちに脳内土下座して、もう一度ネットスーパーの買い出しをお願いした。

(ココロチン:了解です)

(シリル:了解)

(二人ともありがとう!)

(ココロチン:特別ボーナスとして私たちもご相伴に与らせてもらいますからね)

(もちろん! 好きなもの頼んでよ!)

 こうして神ネコ配送の佐藤さんが到着するのを待っていると……。

 ドシンドシンドシン!

 ドシンドシンドシン!
 
 ドシンドシンドシン!

 巨大な地響きがだんだんと野営地の方に近づいてきた。

「……さまー」

 暗闇の中からライラの声が聞こえた気がする。

 ドシンドシンドシン!

 ドシンッ!

 地響きが止まったとき、俺たちの目の前には巨大なグレイベアと、その背中に乗ったライラがいた。

「ライラ!」
「シンイチ様!」

 俺はグレイベアの足元に駆け寄ると、ライラが俺の腕に飛び込んできた。
 
 俺はライラの首元に顔を埋めて、ライラ成分を燃料タンク一杯に補充する。

 一呼吸する度に、ライラ補給ゲージがどんどん上がっていくのがわかった。

 おっと、充填し過ぎて下半身にエナジーが回ってしまうところだったぜ。

「皆さんのお食事と他に必要になりそうなものを持ってまいりました」

「さすがライラ! ありがとうね!」

 そう言って俺は、再びライラを抱き寄せる。

「うーっ! グレイも頑張った! うーっ! 褒めて! うーっ!」

 ルカによって幼女に戻ったグレイちゃんが、そう言って俺の太ももに噛り付いてきた。

「グレイちゃんも、往復大変だったね。ありがとうね」

 そう言ってグレイちゃんの頭を撫でると、グレイちゃんは幸せそうな表情を浮かべて、俺の太ももを涎で濡らした。

 その夜は、ココロチンたちがネットスーパーで買い出しをしてくれた食材と、ライラが運んできた食糧とで、大宴会が催された。

 みんなが盛り上がってる中、俺は子供たちと一緒に、ライラが運んできてくれたテントを組み立てていた。

 さすがにラミアやミノタウロスは入れないだろうが、ゴブリンやオーク族にとっては休める空間になるはずだ。

 ぐふふ。もちろん俺とライラのテントもあるわけで。

 さすがに今夜はハッスルはできないがイチャイチャは出来るな!

「シンイチー! あっという間に家ができたよ! すごい!」

「そうだろ? みんなの分の家も作ろうな!」

「「「わーい!」」」
 
 全員分のテントが出来がった後は、子供たちをたくさんのお菓子とジュースで労った。

 炭酸飲料に大はしゃぎしている子供たちを余所にして、俺はといえば、エプロン姿で魔族たちに給仕するライラの姿を、エロい目で見守っていた。

 ぐふふ。早く就寝タイムにならないかなぁ。

 そして……その夜。

 俺はテントの中で、ライラを隣にして――

 ゴブリンとハーピーの子供たちと一緒に寝ることになった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜

仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。 森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。 その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。 これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語 今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ! 競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。 まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

処理中です...