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第58話 君の名は……
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お手製シャンプーとリンスの消費は激しく四日目にして全部が無くなってしまったようだ。早朝、空のボトルを持って女コボルトのコルアが申し訳なさそうな顔でやってきた。
「ミンナ、イイニオイ、ケ、キレイ、ヨロコンデ、タクサン、ツカッタ」
「「「「「シンイチー、みてみて、けがつやつやー」」」」」
後ろにくっついて来た子コボルトたちが毛並みを艶々させてはしゃいでいる。周りに香油の良い香りが広がっていく。
「マジか……」
「ゴメンナサイ」
コルアが申し訳なさそうな顔をして耳を垂れさせた。成程、この消費スピードじゃ、エルザたちもコボルトからシャンプーを借り辛かったわけだ。
種族間の確執でなさそうだった点については安心したけれど、シャンプーの供給が大きな課題として出てきた。かなり手間が掛かるんだよなぁ。
「申し訳ないけど、もうないんだ。また作るけど、ちょっと時間が掛かるかも」
「ショウチ、ザンネン、デモ、マツ」
コルアはしょんぼりとしたまま帰って行った。申し訳なさ過ぎて胸が痛い。
その日の夜、俺は四畳半に寝転んで週刊女性達を読みながらシャンプーの量産について考えていた。
いまや四畳半は100均ショップで300円で販売されているゴザを幾重にも敷き詰めて、ほぼ完ぺきな畳の四畳半空間となっていた。部屋に漂う井草の匂いに落ち着いてしまうのは、前世の性《さが》だろう。
1階フロアには小さな棚ひとつ分だけ主婦層が手に取る雑誌が置かれているらしく、文字に飢えていた俺はとりあえず週刊誌を何冊か注文した。
「ラブホ不倫愛人疑惑? マジか!? このアイドルの娘、結構好きだったのに……」
俺のお腹の上に寝そべってミニサイズのドラゴンの羽をパタパタさせている幼女と、俺の太ももに齧りついてヨダレでべたべたにしている幼女(グレイベア)がいなければ、ここが前世《日本》での生活空間だと言われても違和感がない。
「それでシンイチ、シャンプーはどうするのじゃ、わらわもあれで髪を洗わんともう落ち着かんのじゃが」
「うーうー!」
「うーん。神スパで買ってもいいんだけど、こっちの世界に持ち込むものは最小限に抑えたいんだよね」
そう言って、俺が紙パックのカフェオレを寝たままチューチュー吸っているのを、幼女(ドラゴン)が奪い取って自分もチューチュー飲み始める。
「これだけのものを持ち込んでおいて、何を今更としか思えんのじゃが?」
幼女(ドラゴン)はカフェオレを幼女(グレイベア)に何度かチューチューさせてから、また俺の口にストローを差し込んで戻す。俺がチューチューすると、既にカフェオレは空になっていて、紙パックがひしゃげた。
「いやまぁ、そうなんだけどね。シャンプーとか洗剤とかの排水をそのまま地面に流しちゃったら色々問題あるんだよ」
「なら、シンイチのいた世界ではどうしておったのじゃ?」
「ちゃんと無害化するためのバカでかい処理施設があったんだよ。それと同じようなことができる設備がないとシャンプー持ち込みはNGかなぁ」
「そうか……なら地道に作っていくしかないのじゃな」
「うん。それでさ、ちょっと聞きたいんだけどいいかな?」
「なんじゃ、改まってどうした?」
「幼女(ドラゴン)の名前は何ていうの?」
「そんなもんないわ」
「ないの?」
「ドラゴンとか大空の覇者とか、地獄のトカゲとか、そういう感じでざっくりとしか呼ばれたことはないな」
「仲間からはなんて呼ばれてるのさ」
「ん? 他のドラゴンに会ったことないからわからん」
ほむ。ここはドラゴンに命名できるチャンスか。
「あのさ、俺が名前を付けてもいい?」
幼女(ドラゴン)は一瞬の間をおいてから頷いた。
「かまわんぞ」
「今の間は何? もしかして名付けすると、俺の下僕になって美少女に変化するとか?」
「下僕にはならんな。美少女に変化することならできんことはないが、今はできん」
「幼女だからか?」
「幼女だからじゃ」
俺は身体を起こし、目の前に幼女(ドラゴン)を座らせ、一生懸命に名前を考える。
「ああああああ、とか?」
「良いのか悪いのかわからんが、もしわらわが竜体だったらブレスを吐いている気がする」
うーむ。火を吐く赤い竜かぁ。赤い覇者、レッドキング……なんか怒られそうだな。ん、キングじゃなくてクィーンか?
「あっ、一応聞くけど雌なんだよね?」
「シンイチ、竜に戻ったら絶対に焼いてやるからな!」
「あー、花のように美しい竜に相応しい名前かぁ……竜と花……」
俺はノートを取り出してサインペンで今思いついた名前を書く。
「『竜華』と書いて『ルカ』でいかがでしょうか!」
「おおぉ! いいな! わらわは『ルカ』! 以後、ルカ様と呼ぶがよいぞ!」
「ははぁ」
「うぅぅー」
「ところでシンイチ、そのわらわの名を記した紙を貰えぬか?」
「いいよ。どうするの?」
「大事にとっておくのじゃ」
「それなら、もっとちゃんとした色紙とかに書くけど?」
「いや、シンイチが始めてわらわの名を記したこの紙がいいのじゃ」
「ならいいけど……」
俺は名前を書いたページをハサミで丁寧に切り取って茶封筒に入れてルカに渡した。それにしても異世界なのに100均の文房具一式が揃っているのが今更ながら凄いと思った。
「シンイチ、ちと後ろを向いてくれんか?」
「いいよー」
「……もういいぞ」
ルカの手から封筒が消えていた。
「えっ? 封筒をどこにやったの?」
「くくく、シンイチよ。女には女だけにしかない隠し場所があるのじゃよ」
「えっ? まさかお股に? そんなの身体によくないよ!」
俺はルカの両足を持ってそのままゴザの上に倒し、股座股に封筒が挟まれていないか確認しようとした。
「たわけー! そんなとこに隠すかー!」
「そうなの?」
ルカは全身を真っ赤にして怒りながら居住まいをただした。
「おまえというやつは、DTで奥手でヘタレの癖に、幼女に対しては一切の容赦がないのぅ」
ルカが深いため息をついてそんな酷いことを言う。
俺は封筒の隠し場所については聞かないことにした。
「ミンナ、イイニオイ、ケ、キレイ、ヨロコンデ、タクサン、ツカッタ」
「「「「「シンイチー、みてみて、けがつやつやー」」」」」
後ろにくっついて来た子コボルトたちが毛並みを艶々させてはしゃいでいる。周りに香油の良い香りが広がっていく。
「マジか……」
「ゴメンナサイ」
コルアが申し訳なさそうな顔をして耳を垂れさせた。成程、この消費スピードじゃ、エルザたちもコボルトからシャンプーを借り辛かったわけだ。
種族間の確執でなさそうだった点については安心したけれど、シャンプーの供給が大きな課題として出てきた。かなり手間が掛かるんだよなぁ。
「申し訳ないけど、もうないんだ。また作るけど、ちょっと時間が掛かるかも」
「ショウチ、ザンネン、デモ、マツ」
コルアはしょんぼりとしたまま帰って行った。申し訳なさ過ぎて胸が痛い。
その日の夜、俺は四畳半に寝転んで週刊女性達を読みながらシャンプーの量産について考えていた。
いまや四畳半は100均ショップで300円で販売されているゴザを幾重にも敷き詰めて、ほぼ完ぺきな畳の四畳半空間となっていた。部屋に漂う井草の匂いに落ち着いてしまうのは、前世の性《さが》だろう。
1階フロアには小さな棚ひとつ分だけ主婦層が手に取る雑誌が置かれているらしく、文字に飢えていた俺はとりあえず週刊誌を何冊か注文した。
「ラブホ不倫愛人疑惑? マジか!? このアイドルの娘、結構好きだったのに……」
俺のお腹の上に寝そべってミニサイズのドラゴンの羽をパタパタさせている幼女と、俺の太ももに齧りついてヨダレでべたべたにしている幼女(グレイベア)がいなければ、ここが前世《日本》での生活空間だと言われても違和感がない。
「それでシンイチ、シャンプーはどうするのじゃ、わらわもあれで髪を洗わんともう落ち着かんのじゃが」
「うーうー!」
「うーん。神スパで買ってもいいんだけど、こっちの世界に持ち込むものは最小限に抑えたいんだよね」
そう言って、俺が紙パックのカフェオレを寝たままチューチュー吸っているのを、幼女(ドラゴン)が奪い取って自分もチューチュー飲み始める。
「これだけのものを持ち込んでおいて、何を今更としか思えんのじゃが?」
幼女(ドラゴン)はカフェオレを幼女(グレイベア)に何度かチューチューさせてから、また俺の口にストローを差し込んで戻す。俺がチューチューすると、既にカフェオレは空になっていて、紙パックがひしゃげた。
「いやまぁ、そうなんだけどね。シャンプーとか洗剤とかの排水をそのまま地面に流しちゃったら色々問題あるんだよ」
「なら、シンイチのいた世界ではどうしておったのじゃ?」
「ちゃんと無害化するためのバカでかい処理施設があったんだよ。それと同じようなことができる設備がないとシャンプー持ち込みはNGかなぁ」
「そうか……なら地道に作っていくしかないのじゃな」
「うん。それでさ、ちょっと聞きたいんだけどいいかな?」
「なんじゃ、改まってどうした?」
「幼女(ドラゴン)の名前は何ていうの?」
「そんなもんないわ」
「ないの?」
「ドラゴンとか大空の覇者とか、地獄のトカゲとか、そういう感じでざっくりとしか呼ばれたことはないな」
「仲間からはなんて呼ばれてるのさ」
「ん? 他のドラゴンに会ったことないからわからん」
ほむ。ここはドラゴンに命名できるチャンスか。
「あのさ、俺が名前を付けてもいい?」
幼女(ドラゴン)は一瞬の間をおいてから頷いた。
「かまわんぞ」
「今の間は何? もしかして名付けすると、俺の下僕になって美少女に変化するとか?」
「下僕にはならんな。美少女に変化することならできんことはないが、今はできん」
「幼女だからか?」
「幼女だからじゃ」
俺は身体を起こし、目の前に幼女(ドラゴン)を座らせ、一生懸命に名前を考える。
「ああああああ、とか?」
「良いのか悪いのかわからんが、もしわらわが竜体だったらブレスを吐いている気がする」
うーむ。火を吐く赤い竜かぁ。赤い覇者、レッドキング……なんか怒られそうだな。ん、キングじゃなくてクィーンか?
「あっ、一応聞くけど雌なんだよね?」
「シンイチ、竜に戻ったら絶対に焼いてやるからな!」
「あー、花のように美しい竜に相応しい名前かぁ……竜と花……」
俺はノートを取り出してサインペンで今思いついた名前を書く。
「『竜華』と書いて『ルカ』でいかがでしょうか!」
「おおぉ! いいな! わらわは『ルカ』! 以後、ルカ様と呼ぶがよいぞ!」
「ははぁ」
「うぅぅー」
「ところでシンイチ、そのわらわの名を記した紙を貰えぬか?」
「いいよ。どうするの?」
「大事にとっておくのじゃ」
「それなら、もっとちゃんとした色紙とかに書くけど?」
「いや、シンイチが始めてわらわの名を記したこの紙がいいのじゃ」
「ならいいけど……」
俺は名前を書いたページをハサミで丁寧に切り取って茶封筒に入れてルカに渡した。それにしても異世界なのに100均の文房具一式が揃っているのが今更ながら凄いと思った。
「シンイチ、ちと後ろを向いてくれんか?」
「いいよー」
「……もういいぞ」
ルカの手から封筒が消えていた。
「えっ? 封筒をどこにやったの?」
「くくく、シンイチよ。女には女だけにしかない隠し場所があるのじゃよ」
「えっ? まさかお股に? そんなの身体によくないよ!」
俺はルカの両足を持ってそのままゴザの上に倒し、股座股に封筒が挟まれていないか確認しようとした。
「たわけー! そんなとこに隠すかー!」
「そうなの?」
ルカは全身を真っ赤にして怒りながら居住まいをただした。
「おまえというやつは、DTで奥手でヘタレの癖に、幼女に対しては一切の容赦がないのぅ」
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