異世界転生ハーレムプラン ~ 最強のスキルが【幼女化】ってマジですか?~

帝国妖異対策局

文字の大きさ
上 下
46 / 189

第45話 エンカウント

しおりを挟む
 タンドルフは、ドワーフというよりホビットというイメージが近いドワーフの鍛冶職人だった。

「ふむふむ。これならすぐに取り掛かれるよ。一週間くらい貰えればは作れるかな。こっちは一から打つんじゃなく、裏の武器屋で剣を選んでくれたら……両方で10日ってところだよ」

 タンドルフは図面を見ながら顎に手を当てて見積もりを立てていた。

「義眼の方は、ちと時間と金が掛かりそうだな。中に治癒の魔石を仕込む必要があるんだが、あいにく品切れで、入手の当てもないんだよ」

「治癒の魔石がないと作れないの?」

「側《がわ》だけ作っても使えなくはないけど、毎日取り出して熱湯で消毒しないとダメかな。ハイポーションを沁み込ませれば一週間は持つけど……」

「治癒の魔石なら?」

「ずっと入れたままで大丈夫だよ」

「治癒の魔石ってどこで買える? 何だったら俺の方で手に入れてくるけど」

「魔石商に掛け合えば融通してくれるかもしれないけど、王侯貴族や大商人を相手に競り合うことになるよ」

「そんなに高価なのか……」

「俺たち庶民は、冒険者がギルドに流したものか、魔石を加工する際に割れたのを下して貰ってるんだ。それだって値はそこそこするけど」

「わかった。とりあえず側だけ作ってよ。魔石の方は俺の方で調達してみる。で、これ全部でおいくら万円?」

「まんえん? ああ、金か。そうだな全部で大金貨1枚ってところか」

「じゃ、大金貨2枚渡しとく」

「おお!? そんなに必要ないよ?」

「なら、いま想定していたのより良い素材を使ってくれ。頼む」

「わ、わかった。一流品を作って見せるよ」

 俺はタンドルフに金貨を渡す。

「それにしても、この図面の紙は凄く品質がいいな。こんなに細かい線までくっきりと描かれてるなんて……あんたもしかしてどこぞの貴族さんなのかい?」

「いいや違うよ。もし頼んでいたものが一流品だと俺に思わせることができたら、これを筆とセットでプレゼントするよ」

「本当かい!? よし、絶対に思わず唸らせるようなのを仕上げてみせるよ!」

「よろしく!」

 俺はタンドルフの店を出て、資材を購入しているステファンたちとの待ち合わせ場所に向かう。

「えっと、この辺だったような……」

 お昼を過ぎる頃になると、人混みが急に増えて、通りには新たな露店が開かれていた。俺は少し方向感覚を失ってしまった。いや正直に言おう。迷子になった。

 本気で迷子になった場合は、街の門の前で待つことになっているので、それほど心配する事態ではない。プチ迷子だ。

 俺は門で待つことに心を決めた。二人を探して焦るあまりお腹が痛くなるような事態を避けて、ここはあえて観光を楽しもうと思ったのだ。

 そう気持ちを切り替えてしまえば、ぶらぶら露店をひやかしながら散歩としゃれこむのも悪くない。

 ぶらぶら。

 ぶらぶら。

 ぶら……。

(ぴろろん! 田中様の登録された情報に89%合致する方を探知しました)

「ほへ?」

 視界に索敵マップが表示されピンク色のハートマークが点滅している。ここから約10mくらい先だ。

「ハートマークが点滅……ってハッ!? 」

(田中様が登録された『好みの女性』に89%合致する方ですね)

(キタコレ! ココロチン! ナイスアシスト!)

(ふぁい・おー!です!)

 俺は人混みをかき分けて10mの距離を一気に縮めていった。まるで1000kmのように感じる10mだった。
 
 とうとう来る! 

 ヒロインが来る! 

 イチャラブが来る! 

 ハーレムくりゅぅぅぅ!

 バッ!

 人混みを抜けた先には天使がいた。

 って、いや、エンジェル・キモオタじゃないよ? ホントにホントのMy天使!

 美しい銀髪、大きく潤んだ薄い緑の瞳、小さくてぷっくりとした艶やかな唇、確かにあの『後輩ちゃん』と呼ばれていたお姉さんだ。あの優しかったお姉さんが俺の目の前に立っていた。が、しかし……

 ふむ。なるほど合致率が100%じゃないのは胸のせいか。

 異世界で出会った好みの女性は貧乳さんでした。

 だがそんなの問題ねー! 俺はもう既に心を奪われている! だから今は貧乳でもいい。いや貧乳こそいい!

 よーし! 

 ……とそこで俺の足が止まる。

(えっとココロチン? ここからどうすればいい? どうすれば彼女とお近づきになれる?)

(あぁ、このチンカス! そんなの当たって砕けろでしょ!)

(チ、チンカスって……ココロチン)

 俺は頭の中にいるはずのココロチンに背中を蹴り飛ばされたかのように、つんのめって彼女の前に躍り出た。

 目の前の彼女、銀髪の君は超俺のタイプだった。ココロチンに好みを登録するときに、可愛いければ誰でもいいと言ったような気がしないでもないが、ただの記憶違いだろう。間違いないこの銀髪の君こそ俺のドストライクだ!

「あっ、あのっ!?」
 
 俺が飛び出てきたことに驚きながら、彼女が声を掛けてきた。彼女の方から声を掛けてきたんだよ! これって脈ありじゃね? もしかして俺って好感度高めじゃね? いやむしろ惚れられてんじゃね? 
 
 彼女と目が合う。その美しい潤んだ瞳が何かを期待するように俺を見上げていた。

 これは……妄想じゃなく脈ありなのでは……。そして彼女のぷるるんとした唇がゆっくりと開かれる。いきなりですか? いきなりそこからですか? もちろん頂きますよぉ!

「うちのおいしいパンを買ってくださいませんか!」

「……」

 彼女の足元に置かれたたくさんの籠に、たくさんの種類の、たくさんのパンが置かれていた。

「おいしいパンいかがですか!」

「はい」

 俺はパンを全部お買い上げした。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

貞操逆転世界の男教師

やまいし
ファンタジー
貞操逆転世界に転生した男が世界初の男性教師として働く話。

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

うちの冷蔵庫がダンジョンになった

空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞 ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。 そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。

処理中です...