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第43話 DTを殺す
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ステファンとライラは俺にとって家族のようなものだ。俺が二人に放ったその言葉に嘘偽りは一切ない。過去には色々あったにせよ、今では二人とも俺によくしてくれている。その献身的な態度と振る舞いに俺は頭が下がる思いだ。
ステファンは片腕で戦う技術を日々模索しながら、片方ではコボルト村の発展に積極的に働いてくれていた。ネフューに作ってもらったスケッチボードを下げて、村の地図を作ったり、資材管理の帳簿を付けていたりと、八面六臂の活躍をしてくれている。
ライラの存在はステファンだけでなく、俺にとっても本当にありがたかった。
相変わらず俺は美人や若い女性が苦手だ。マーカスやヴィルのハーレムメンバーだって俺にはよほどのことが無い限り近づいてこない。いったいハーレム展開プランはどこに行ったのかと、いつものことだが今回もきっちり言っておく。
そんな苦手な彼女たちに依頼や指示など何らかのコンタクトを取りたいと思ったとき、それをライラにお願いできるようになったのは本当にありがたかった。
俺がハーレムメンバーに何かを伝えようとしても『何それ? セクハラ?』と俺を殺しかねない視線が返ってくるところを、ライラなら上手に伝えてくれる。
例えばだ。村人全員で集まっての昼食時、カレンとエルザがマーカスにべたべた――このべたべたはもう少しでR18なやつだ――するのを俺が注意するとする。
カレンはさすが年上の余裕で何も言わないが、そのワガママボディを俺に見せつけて煽ってくる。まぁ、それはいい。夜のおかずのレパートリーが増えるだけだ。
だが都条例違反のエルザは俺をEDにするつもりなのだろうか。なのだろう。徹底的に言葉のナイフを投げつけてくる。
マーカスのことは俺は全幅の信頼を寄せているが、女のことに関してだけは全く頼りにならない。関わりたくないオーラを全身に漂わせて、てめぇの女に言葉で殺されそうな俺から目を逸らすのだ。
これがライラを通して伝えた場合、俺の受けるダメージは0で済む。これを感謝せずにいられようか!
ライラは常に俺が何を必要としているのかを理解してくれて、俺の指示をビッチ共に居丈高に伝えるのではなく、あの手この手を駆使して丁寧に懐柔していた。
この間はチョコチップクッキーを求めてきたので渡したら、それを女性陣に配りながら俺の要望を伝えてくれていたよ。
そんな俺の救世主であるライラだがひとつだけ困った点があった。いや正確には困ってもないんだけど、困ってるというか。そのつまり――
隙あらば俺を挑発してくるんだよ! 喧嘩の挑発じゃなくエッチぃ方の挑発を!
「シンイチ様、ステファン様よりこの地図をシンイチ様にお届けするよう仰せつかりました」
「ありがと……うっ!?」
どうぞと頭を下げて俺に地図を渡すと、ゆっくりと上半身を起こし、胸元がくっきりはっきりじっくり見える隙を作る。罠だとわかっててもその白い谷間に視線が吸い込まれちゃうんだよ。だって俺DTだし。
「シンイチ様、少しご相談が……」
「ひょわっ、はひ? 近い近い近い」
何か用事があるときはパーソナルスペースを突破して近くに寄ってくる。隙あらば腕を取ろうとするが、俺のような前世からのベテランDTじゃなければこれは避けられないね。
避けなきゃいい? 何言ってんの! そこで肌が一瞬でも触れてごらんなさい! 「きゃーこの人チカンです!」と駅のホームに引き摺り出されて、そこからは俺がいくら無罪を訴えても誰も信じてくれなくて、慰謝料で、家族崩壊で、絞首刑になってたところだよ!
……と一瞬で妄想してしまうくらい、俺の女性恐怖症は酷くなってるの。ハーレム期待してウキウキで転生してきたら、エルザみたいな可愛い娘に「生理的に無理」とか言われてますからね。女性コワイは俺の魂に刷り込まれちゃってるのよ。
そんな俺の恐怖を全くもって知ることなく、ライラは身体を寄せてくる。俺が下がる。さらに寄せてくる。さらに俺は下がる。
「どうして下がられるのですか」
「いや、ライラが近いから」
「近いとダメですか?」
俺の耳元でライラが囁く。神スパで購入して女性陣に配った濃いミルク石鹸の良い香りが俺の鼻孔をくすぐった。
「だだだだだ駄目じゃないけどどどどど」
俺の視線が白く膨らむ谷間に集中する。あっ、あんなところにホクロが……。
「触っていいんですよ?」
あっ、 理性の線が……プツンって……切れ……りゅ……。
「シンイチー! 【幼女化】してー!」
「「「「【幼女化】してー」」」」
子コボルトたちが俺を見つけて突進してきた。
「わたしはいつでもいいですよ」
ライラは俺の耳元に吐息を吹きかけると、子どもたちの頭を撫でてから去って行った。
危なかった。もう少しで俺のDTが殺されるところだったわ。万が一にもライラと一線を超えちゃった日には、俺は今後永遠にステファンの顔をまともに見れなくなるわ。
それをマーカスに話したら「ステファンを女体化して三人で楽しめばいいじゃないか?」 と抜かしやがった。
天才か! 死ねっ!
ステファンは片腕で戦う技術を日々模索しながら、片方ではコボルト村の発展に積極的に働いてくれていた。ネフューに作ってもらったスケッチボードを下げて、村の地図を作ったり、資材管理の帳簿を付けていたりと、八面六臂の活躍をしてくれている。
ライラの存在はステファンだけでなく、俺にとっても本当にありがたかった。
相変わらず俺は美人や若い女性が苦手だ。マーカスやヴィルのハーレムメンバーだって俺にはよほどのことが無い限り近づいてこない。いったいハーレム展開プランはどこに行ったのかと、いつものことだが今回もきっちり言っておく。
そんな苦手な彼女たちに依頼や指示など何らかのコンタクトを取りたいと思ったとき、それをライラにお願いできるようになったのは本当にありがたかった。
俺がハーレムメンバーに何かを伝えようとしても『何それ? セクハラ?』と俺を殺しかねない視線が返ってくるところを、ライラなら上手に伝えてくれる。
例えばだ。村人全員で集まっての昼食時、カレンとエルザがマーカスにべたべた――このべたべたはもう少しでR18なやつだ――するのを俺が注意するとする。
カレンはさすが年上の余裕で何も言わないが、そのワガママボディを俺に見せつけて煽ってくる。まぁ、それはいい。夜のおかずのレパートリーが増えるだけだ。
だが都条例違反のエルザは俺をEDにするつもりなのだろうか。なのだろう。徹底的に言葉のナイフを投げつけてくる。
マーカスのことは俺は全幅の信頼を寄せているが、女のことに関してだけは全く頼りにならない。関わりたくないオーラを全身に漂わせて、てめぇの女に言葉で殺されそうな俺から目を逸らすのだ。
これがライラを通して伝えた場合、俺の受けるダメージは0で済む。これを感謝せずにいられようか!
ライラは常に俺が何を必要としているのかを理解してくれて、俺の指示をビッチ共に居丈高に伝えるのではなく、あの手この手を駆使して丁寧に懐柔していた。
この間はチョコチップクッキーを求めてきたので渡したら、それを女性陣に配りながら俺の要望を伝えてくれていたよ。
そんな俺の救世主であるライラだがひとつだけ困った点があった。いや正確には困ってもないんだけど、困ってるというか。そのつまり――
隙あらば俺を挑発してくるんだよ! 喧嘩の挑発じゃなくエッチぃ方の挑発を!
「シンイチ様、ステファン様よりこの地図をシンイチ様にお届けするよう仰せつかりました」
「ありがと……うっ!?」
どうぞと頭を下げて俺に地図を渡すと、ゆっくりと上半身を起こし、胸元がくっきりはっきりじっくり見える隙を作る。罠だとわかっててもその白い谷間に視線が吸い込まれちゃうんだよ。だって俺DTだし。
「シンイチ様、少しご相談が……」
「ひょわっ、はひ? 近い近い近い」
何か用事があるときはパーソナルスペースを突破して近くに寄ってくる。隙あらば腕を取ろうとするが、俺のような前世からのベテランDTじゃなければこれは避けられないね。
避けなきゃいい? 何言ってんの! そこで肌が一瞬でも触れてごらんなさい! 「きゃーこの人チカンです!」と駅のホームに引き摺り出されて、そこからは俺がいくら無罪を訴えても誰も信じてくれなくて、慰謝料で、家族崩壊で、絞首刑になってたところだよ!
……と一瞬で妄想してしまうくらい、俺の女性恐怖症は酷くなってるの。ハーレム期待してウキウキで転生してきたら、エルザみたいな可愛い娘に「生理的に無理」とか言われてますからね。女性コワイは俺の魂に刷り込まれちゃってるのよ。
そんな俺の恐怖を全くもって知ることなく、ライラは身体を寄せてくる。俺が下がる。さらに寄せてくる。さらに俺は下がる。
「どうして下がられるのですか」
「いや、ライラが近いから」
「近いとダメですか?」
俺の耳元でライラが囁く。神スパで購入して女性陣に配った濃いミルク石鹸の良い香りが俺の鼻孔をくすぐった。
「だだだだだ駄目じゃないけどどどどど」
俺の視線が白く膨らむ谷間に集中する。あっ、あんなところにホクロが……。
「触っていいんですよ?」
あっ、 理性の線が……プツンって……切れ……りゅ……。
「シンイチー! 【幼女化】してー!」
「「「「【幼女化】してー」」」」
子コボルトたちが俺を見つけて突進してきた。
「わたしはいつでもいいですよ」
ライラは俺の耳元に吐息を吹きかけると、子どもたちの頭を撫でてから去って行った。
危なかった。もう少しで俺のDTが殺されるところだったわ。万が一にもライラと一線を超えちゃった日には、俺は今後永遠にステファンの顔をまともに見れなくなるわ。
それをマーカスに話したら「ステファンを女体化して三人で楽しめばいいじゃないか?」 と抜かしやがった。
天才か! 死ねっ!
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