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第37話 娼館に召喚!
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日が落ち始めた頃に、マーカスが天の岩戸にやってきて扉越しに声を掛けてきた。
「おい、坊主! みんなで色々と話し合ったんだけどよ。その……なんだ、お前にさ、そろそろ大人の男になって貰おうつうか……」
俺の方が大人になって折れろっていうのか? そうか宣戦布告するんだな?
「その……お前もそろそろ女を覚えた方がいいんじゃないかって結論になってさ、それでお前を娼館に連れていくことになったんだが」
ほぅ? 俺は扉の前で構えていた【幼女化ビーム】の体勢を解除する。
詳しい話を聞こうじゃないか。
「街にいたときは、俺も結構あちこちの娼館に通って良い店は知ってるんだ。だから、坊主もきっと満足のいく相手で男になれるはずだ」
「マーカス!」
「おっ、おう! どうした坊主」
「俺が奴隷制度を嫌っているのは知ってるよね?」
「おっ、おう。そうだな。そんなことを言ってた……ような?」
うん。口に出しては言ったことはないかな。
「女性に無理やり何かを強制するのも嫌いだよ。そんなの絶対に許せない」
「う、うん。それは当然だな。さすが坊主だ」
「娼館も言ってみれば女性にエッチな行為を強制してるんじゃないの? それって奴隷ってことじゃないの?」
「うっ……そうなのか、まぁ確かにそうともいえなくも……」
「でもお金はキッチリ払うんだよね?」
「へっ? もちろん払うが?」
「十分に支払われたお金の対価として、娼館の女性たちはエッチなことをしてくれる、それでいいんだよね?」
「そ、そうだな」
「労働に対して正当な報酬が支払われている。それって奴隷なのかな?」
「へっ?」
「それってちゃんとしたプロの職業なんじゃないのかな?」
「はっ? ま、まぁプロには違ぇねぇが……」
「それって凄いの?」
「そりゃ、まぁ、あらゆる手練手管を仕込まれてるからな。凄いっちゃ凄いな」
「プロとしての技術に誇りを持った彼女たちが正当な報酬を受けているのなら、それはもう職人であって奴隷なんかじゃないのでは?」
「は、はぁ……。坊主が何を言いたいのかよくわからんが、俺が連れてく店の女たちは男を喜ばせることに自信を持ってるよ。それが誇りなのかどうかは知らんが」
「わかった。その人たちが奴隷じゃなくて、プロとしての誇りを持った職人かどうか、俺は自分自身の身を投じて確かめてみてもいい」
「んー? つまり?」
俺は扉をドーンと開いた。
「今すぐ出発だ!」
「畜生、いちいち面倒くさいやつだな!」
マーカスが久しぶりに俺の姿をみて喜んでくれていた。
「元気そうで良かったぜ。だがもう日も落ちちまってるし、明日の早朝に立つとしようぜ」
「良きに計《はか》らうとよい!」
「よーし、そうなったら明日に備えて飯だ! ほら、久々にみんなで飯にしようぜ!」
「うむ、良きに計《はか》らうとよい!」
間もなくDTを卒業することが確約された俺は、夕食時に相変わらず周囲で繰り広げられるイチャラブ波動にもそれほど影響を受けることなく、みんなとの久々の会話を楽しむことができた。
カレンの豊かなおっぱいがマーカスに押し付けられるのをみても、「俺も数日後にはあんなおっぱいを心ゆくまで堪能できるのだ」と思えば何でもなかった。
エルザから「こいつキモイ」という視線を送られても、娼館のお姉さんならプロとしてお客に不快な思いをさせることはないと自分を励ますことができた。
大陸狼族のミッシールが小さな体をヴィルに擦り付けながら「今日も子作りしよっ?」と言い寄るのを、ヴィルがまんざらでもなさそうに彼女の腰に手を回したときも――
警察に通報
しようとしたがスマホがなかった。スマホがあっても通じないが。
その後、俺は奥部屋に戻り、明日の出発が心待ち過ぎて身悶えしていた。
(キモチワルイ……)
ココロチンが冷たい機会音声で言った。
(ココロチンは成長期にある少年のマグマのようなリビドーを知らないからそんなこと言えるんだよ)
(ハァ……そうですか)
(こんなマグマを抱えたまま、毎日毎日毎日毎日、マーカスたちのイチャラブ波動をぶつけられたり、深夜にあちらこちらから聞こえてくるまぐわいボイスにさらされたら、これはもう拷問だかんな!)
(まぁ、百歩譲って理解したとしても、娼婦を買うというのは……まぁ、わたしが田中様の行動に口出しすることはできませんけど)
(それは俺だってココロチンに同意だよ。できればキチンとヒロインと巡り会って、いろいろなイベントをこなすうちに相思相愛になって結ばれる……結ばれたいよ)
(……それが良くないですか?)
「でも、そんなイベントこれまで一度だって発生したことなかったじゃないか!」
(ひっ! そんな大声上げないでください!)
(最初に出会ったのって山賊だよ! しかもお尻の危機だよ!? その後奴隷を助けたと思ったら野郎ばっかり! ハーレムパーティの男は……気の毒だったけど、ああいうパーティーって本来なら俺が作ってるはずなのに、チーム・ネフューは全員男じゃん! ゴブリン退治で助けた女性は街に戻って、マーカスたちが助けた奴隷は俺以外のハーレム要員になってんじゃん! なってんじゃん!)
(あっ、はい、はいそうですね)
(なのに俺ときたら毎日毎日毎日毎日子コボルトの子守で、その間にネフューはあの銀髪エロエルフと月明かりの下でエッチらおっちらしてんじゃん? ええ、ええ絵面は綺麗ですよ? 綺麗ですね! 俺だってそんなのが良かったよ!)
(お、落ち着いて、分かりました、分かりましたから)
(なのに俺ときたら毎日毎日毎日毎日、マーカスたちが部屋で子作りに励んでいるR18音声を聞かされてるんだよ? ヴィルなんか都条例違反だぜ! マーカスだって都条例違反じゃん!)
俺はいつの間にか泣いていた。
(ご、ごめんなさい。田中様がそんなに悩んでいたなんて、ホントにごめんなさい。わかりました。わたしはもう何も申しません。田中様の思うがままに頑張ってください! ファイっおー!)
(グスッ、グスッ、ありがとうココロチン。怒鳴ってゴメンね。でも俺ももう我慢の限界なの。このままじゃ自分が壊れちゃうかもしんないの)
(え、ええ、わたしは田中様を応援しますよ! そのための支援精霊ですから!)
(ありがど……)
俺はココロチンに慰められ、そのまま寝落ちしてしまった。
そしていよいよ翌朝、いよいよ俺は、いよいよ前世からの因縁であるDTを、いよいよ打ち払うために立ちあがったのだった。
「おい、坊主! みんなで色々と話し合ったんだけどよ。その……なんだ、お前にさ、そろそろ大人の男になって貰おうつうか……」
俺の方が大人になって折れろっていうのか? そうか宣戦布告するんだな?
「その……お前もそろそろ女を覚えた方がいいんじゃないかって結論になってさ、それでお前を娼館に連れていくことになったんだが」
ほぅ? 俺は扉の前で構えていた【幼女化ビーム】の体勢を解除する。
詳しい話を聞こうじゃないか。
「街にいたときは、俺も結構あちこちの娼館に通って良い店は知ってるんだ。だから、坊主もきっと満足のいく相手で男になれるはずだ」
「マーカス!」
「おっ、おう! どうした坊主」
「俺が奴隷制度を嫌っているのは知ってるよね?」
「おっ、おう。そうだな。そんなことを言ってた……ような?」
うん。口に出しては言ったことはないかな。
「女性に無理やり何かを強制するのも嫌いだよ。そんなの絶対に許せない」
「う、うん。それは当然だな。さすが坊主だ」
「娼館も言ってみれば女性にエッチな行為を強制してるんじゃないの? それって奴隷ってことじゃないの?」
「うっ……そうなのか、まぁ確かにそうともいえなくも……」
「でもお金はキッチリ払うんだよね?」
「へっ? もちろん払うが?」
「十分に支払われたお金の対価として、娼館の女性たちはエッチなことをしてくれる、それでいいんだよね?」
「そ、そうだな」
「労働に対して正当な報酬が支払われている。それって奴隷なのかな?」
「へっ?」
「それってちゃんとしたプロの職業なんじゃないのかな?」
「はっ? ま、まぁプロには違ぇねぇが……」
「それって凄いの?」
「そりゃ、まぁ、あらゆる手練手管を仕込まれてるからな。凄いっちゃ凄いな」
「プロとしての技術に誇りを持った彼女たちが正当な報酬を受けているのなら、それはもう職人であって奴隷なんかじゃないのでは?」
「は、はぁ……。坊主が何を言いたいのかよくわからんが、俺が連れてく店の女たちは男を喜ばせることに自信を持ってるよ。それが誇りなのかどうかは知らんが」
「わかった。その人たちが奴隷じゃなくて、プロとしての誇りを持った職人かどうか、俺は自分自身の身を投じて確かめてみてもいい」
「んー? つまり?」
俺は扉をドーンと開いた。
「今すぐ出発だ!」
「畜生、いちいち面倒くさいやつだな!」
マーカスが久しぶりに俺の姿をみて喜んでくれていた。
「元気そうで良かったぜ。だがもう日も落ちちまってるし、明日の早朝に立つとしようぜ」
「良きに計《はか》らうとよい!」
「よーし、そうなったら明日に備えて飯だ! ほら、久々にみんなで飯にしようぜ!」
「うむ、良きに計《はか》らうとよい!」
間もなくDTを卒業することが確約された俺は、夕食時に相変わらず周囲で繰り広げられるイチャラブ波動にもそれほど影響を受けることなく、みんなとの久々の会話を楽しむことができた。
カレンの豊かなおっぱいがマーカスに押し付けられるのをみても、「俺も数日後にはあんなおっぱいを心ゆくまで堪能できるのだ」と思えば何でもなかった。
エルザから「こいつキモイ」という視線を送られても、娼館のお姉さんならプロとしてお客に不快な思いをさせることはないと自分を励ますことができた。
大陸狼族のミッシールが小さな体をヴィルに擦り付けながら「今日も子作りしよっ?」と言い寄るのを、ヴィルがまんざらでもなさそうに彼女の腰に手を回したときも――
警察に通報
しようとしたがスマホがなかった。スマホがあっても通じないが。
その後、俺は奥部屋に戻り、明日の出発が心待ち過ぎて身悶えしていた。
(キモチワルイ……)
ココロチンが冷たい機会音声で言った。
(ココロチンは成長期にある少年のマグマのようなリビドーを知らないからそんなこと言えるんだよ)
(ハァ……そうですか)
(こんなマグマを抱えたまま、毎日毎日毎日毎日、マーカスたちのイチャラブ波動をぶつけられたり、深夜にあちらこちらから聞こえてくるまぐわいボイスにさらされたら、これはもう拷問だかんな!)
(まぁ、百歩譲って理解したとしても、娼婦を買うというのは……まぁ、わたしが田中様の行動に口出しすることはできませんけど)
(それは俺だってココロチンに同意だよ。できればキチンとヒロインと巡り会って、いろいろなイベントをこなすうちに相思相愛になって結ばれる……結ばれたいよ)
(……それが良くないですか?)
「でも、そんなイベントこれまで一度だって発生したことなかったじゃないか!」
(ひっ! そんな大声上げないでください!)
(最初に出会ったのって山賊だよ! しかもお尻の危機だよ!? その後奴隷を助けたと思ったら野郎ばっかり! ハーレムパーティの男は……気の毒だったけど、ああいうパーティーって本来なら俺が作ってるはずなのに、チーム・ネフューは全員男じゃん! ゴブリン退治で助けた女性は街に戻って、マーカスたちが助けた奴隷は俺以外のハーレム要員になってんじゃん! なってんじゃん!)
(あっ、はい、はいそうですね)
(なのに俺ときたら毎日毎日毎日毎日子コボルトの子守で、その間にネフューはあの銀髪エロエルフと月明かりの下でエッチらおっちらしてんじゃん? ええ、ええ絵面は綺麗ですよ? 綺麗ですね! 俺だってそんなのが良かったよ!)
(お、落ち着いて、分かりました、分かりましたから)
(なのに俺ときたら毎日毎日毎日毎日、マーカスたちが部屋で子作りに励んでいるR18音声を聞かされてるんだよ? ヴィルなんか都条例違反だぜ! マーカスだって都条例違反じゃん!)
俺はいつの間にか泣いていた。
(ご、ごめんなさい。田中様がそんなに悩んでいたなんて、ホントにごめんなさい。わかりました。わたしはもう何も申しません。田中様の思うがままに頑張ってください! ファイっおー!)
(グスッ、グスッ、ありがとうココロチン。怒鳴ってゴメンね。でも俺ももう我慢の限界なの。このままじゃ自分が壊れちゃうかもしんないの)
(え、ええ、わたしは田中様を応援しますよ! そのための支援精霊ですから!)
(ありがど……)
俺はココロチンに慰められ、そのまま寝落ちしてしまった。
そしていよいよ翌朝、いよいよ俺は、いよいよ前世からの因縁であるDTを、いよいよ打ち払うために立ちあがったのだった。
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