異世界転生ハーレムプラン ～ 最強のスキルが【幼女化】ってマジですか？～

第14話 コボルト捕獲

　コボルト達の宴会が盛り上がってきた頃、森の木々の間から静かな歌声が聞こえてきた。だが酒と食べ物に夢中なコボルトたちは特に気にすることはなかった。

　だがヴィルは自分の頭を押さえて耳を塞ぐ。離れたところで集落を見張っている俺とマーカスは蝋で作った耳栓をした。

「夜のとばりがひろ広がりて ヒプノースの手は瞼にかかる とく眠れ とく眠れ」
　
　ネフューが風上で甘い香りが立ち上る香炉を揺らしながら魔術【ヒプノースの眠り】の呪文を繰り返す。

　そのうちにコボルトたちの頭がうつらうつらとふらつき始め、ひとり一人とその場に横になり寝息を立て始める。

　その場にいる全てのコボルトが眠ったことを確認するとヴィルが手を振って俺たちに合図をする。

　俺は素早く集落に移動してコボルト達を【幼女化】する。

「【幼女化】！【幼女化】！【幼女化】！【幼女化】！【幼女化】！」

（魔力デポジットが不足しています。リセットまであと39分48秒）

　とりあえず5人の幼女ができた。

「うーん。見た目はほぼ人間の子どもですね」

　犬耳と尻尾があることを除けば、見た目は人間の幼女そのままだった。どうやらこのスキルは年齢を下げるというものではなく、あくまで幼女に変化させるというものらしい。

（そうです。まさに田中様向けの変態スキルなのです）

　頭の中に声が聞こえてきたが俺は無視した。マーカスと一緒に、細身の木を組んだだけのシンプルな集落の建物を壊して焚き木を組む。火を点けて燃え上がり始めると集落にあるものすべてを火の中に投げ入れていった。

　40分が過ぎた時点で再度【幼女化】を繰り返す。これで10匹。残りのコボルトはまだ眠っている。

　リーダーを始め雄っぽいコボルトは全て幼女化したので、あとは雌と子どもしか残っていなかった。とりあえず最大の危険は乗り越えたと考えて良いだろう。

「これ全員連れて行くつもりか？」
「えっと……殺しちゃうの？」
「うーーーーーん」

　マーカスが首をひねる理由はわかる。何せ幼女だからな。

「コボルトに戻った状態でもなんとか荷馬車に乗れなくはないな。帰りはヴィルが御者で、ぼくとマーカスが歩けばなんとかいける」
「そ、そうだな。数が多い方が坊主のレベルも早く上げられるもんな」

　さらに40分が過ぎ、さらに5匹のコボルトを【幼女化】したとき、俺はあることに気がついた。

「あれ？ 確認したコボルトは16匹じゃなかった？」
「そうですがどうしました？」

　幼女を一か所に運んでいたネフューが応える。

「おかしいな。もう一匹はどこへ……」

　ザッ！

「兄ちゃん！」
　
　ヴィルが警告を発したときには、俺の上にコボルトが伸し掛かっていた。顔に大きな傷跡のあるそいつは俺を恐ろしい形相で睨みつけ、手にした短剣で俺を刺そうとしてくる。

「【幼女化】！」

（魔力デポジットが不足しています）

　ココロチンの声が聞こえたけれど、混乱していた俺は何を言っているのか理解することができなかった。

　コボルトは小柄な体躯からは想像できない力で俺を押さえつけ、短剣を振り下ろしてくる。俺はなんとかその手を掴んで軌道を逸らせる。

「【幼女化】！【幼女化】！【幼女化】！【幼女化】！【幼女化】！【幼女化】！」

≫ 魔力デポジットが不足しています。
≫ 魔力デポジットが不足しています。
≫ 魔力デポジットが不足しています。
≫ 魔力デポジットが不足しています。
≫ 魔力デポジットが不足しています！
≫ 魔力デポジットが不足しています！！
（他のスキルの発動を提案します！）

　頭の中にはココロチンの焦った声が聞こえると共に、マーカスたちがこちらへ駆け寄ってくるのが見えた。しかし、俺はコボルトの腕力に力負けして短剣が喉元に突き刺さりつつある。

「【女体化】！」

（雌体に対し【女体化】は無効です）

「【巨乳化】！」

≫ コボルトＰを巨乳化しました。残り時間 01:58:57
≫ EONポイントを70獲得しました。

「【巨乳化】！【巨乳化】！【巨乳化】！【巨乳化】！【巨乳化】！」

≫ コボルトＰを巨乳化しました。残り時間 01:58:57
≫ EONポイントを70獲得しました。
≫ コボルトＰを巨乳化しました。残り時間 01:58:57
≫ EONポイントを70獲得しました。
≫ コボルトＰを巨乳化しました。残り時間 01:58:57
≫ EONポイントを70獲得しました。
≫ コボルトＰを巨乳化しました。残り時間 01:58:57
≫ EONポイントを70獲得しました。
≫ 魔力が不足しています。

　俺は意識を失った。



　～ しばらく後 ～

「……主、生きてるか！ 坊主！」
「兄ちゃん！ 兄ちゃん！ しっかりしろ！」
「魔力が回復すれば時期に目を覚ますよ」

　どうやら俺は気絶していたらしい。

「だ、大丈夫。まだ生きてるよ」
「兄ちゃんーー！」
「心配したぜ。身体の具合はどうだ？」
「うん。問題なさそうだよ」

　そう言って俺が身体を起こすと、目の前にはコボルトの死体がひとつ転がっていた。

「これは……俺を襲ってきたコボルト？」
「ああそうだ。俺が止めを刺した」

　マーカスが自分の剣を見せながら言った。

「兄ちゃんの魔法でこいつの胸がどんどん大きくなって、身体を起こした隙にマーカスさんが剣でやっつけたんだぜ！」
「威張れるような戦果じゃないけどな。まぁ坊主が無事で何よりだ」

　こうしてコボルト掃討クエストは完了したのだった。

　まぁ討伐したのは１匹だけどな。

　捕獲した１５匹――の幼女を馬車まで運ぶ作業が、このクエスト最大の難関だったことは言っておこう。